楽しさを仕掛け、喜びを届けるQoo10と小田急百貨店が若年層向け国内ECを東急百貨店が越境ECをスタートさせた真意とは?eBayグループが語る

柏木まなみ [PR]

2020年、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、実店舗をもつ多くの事業者がダメージを受けた。とくに大きな影響を受けたのが、百貨店だ。そんななか、小田急百貨店と東急百貨店はECにおいて新たな試みをスタートさせた。

小田急百貨店は、マーケットプレイス型総合ECプラットフォーム「Qoo10」に出店。東急百貨店は、越境ECプラットフォーム「eBay」に出店し、海外に向けたEC事業を開始した。

百貨店がECで販路を拡大していくことに、どういった意味があるのだろうか。それぞれの百貨店が出店を決めた理由とは。これらを紐解くカギは、Qoo10を運営しeBayを通した日本からの越境ECを支援するイーベイグループが握っているだろう。Qoo10を運営するeBay Japan合同会社 丸山氏とeBayを運営するイーベイ・ジャパン株式会社 住友氏にお話を伺った。

イーベイグループにおける百貨店動向

eBay Japan合同会社 Fashion営業本部 室長 丸山恵未

ーーまず、Qoo10とeBayがどういったプラットフォームなのか、説明お願いします。

丸山氏(Qoo10):Qoo10は、20代・30代の若年日本女性をターゲットにしているのが特
徴です。ターゲットにフォーカスした商品をそろえ、WebやSNS上でプロモーションを行っており、なかでもコスメやファッションのジャンルが伸びています。消費者は日本のユーザーですが、出店しているのは日本・韓国・中国をはじめて世界中の事業者です。

住友氏(eBay):大まかに説明すると、国内向けECプラットフォームを展開しているのがQoo10、海外向けECプラットフォームを展開しているのがeBayです。

越境ECプラットフォームのeBayは、アメリカやヨーロッパを中心に、190カ国へクロスボーダーに販売できるのが特徴です。日本の企業や個人事業主が、海外に販路を拡大する目的で利用しています。宝探しのように使う熱狂的なファンが多く、コレクションやブランド品などの趣味性が高い中古品が多く販売されています。

ーー小田急百貨店と東急百貨店は2020年から参入していますが、2019年以前から、百貨店が参入する話はあったのでしょうか?

丸山氏(Qoo10):以前は百貨店から声がかかることはありませんでした。ほかの事業者には取扱いがないような、百貨店独自の商品ラインアップに魅力を感じ、弊社から百貨店側にお声がけしました。

住友氏(eBay):2019年以前は、eBayも同様に百貨店と話をする機会はほとんどありませんでした。百貨店は対面販売をメインでやってきて、徐々に国内ECに参入していくタイミングだったため、越境ECに関してはまだ手をつけられていませんでしたね。

なぜ百貨店はQoo10やeBayに?抱えていた課題とは

ーー小田急百貨店は若年層、東急百貨店は海外をターゲットにECをスタートさせたのは、意外で驚きました。百貨店はそれぞれどういった課題を感じ、Qoo10やeBayへの出店を決められたのでしょうか?

丸山氏(Qoo10):小田急百貨店に足を運ぶ消費者や、自社ECサイトを利用する消費者の多くが「50代以上の、これまで百貨店を利用したことがある人」でした。

小田急百貨店は「若年層にも認知を広げたい」「将来的には若年層にも店舗に足を運んでもらいたい」と考えており、客層が20代・30代の女性であるQoo10を活用することになりました。2020年6月あたりに出店を決められ、2020年11月にスモールスタートし、2020年12月にプロモーションをかけながら本格的にオープンしました。

住友氏(eBay):新型コロナウイルス感染症拡大の影響はもちろんありますが、eBayで大きかったのはインバウンド需要の減速です。もともと東急百貨店は対面でのインバウンド購入実績が豊富だったため、海外に日本の商品のニーズがあることは身をもって感じられていました。東急百貨店は、日本から自国に帰った外国人が海を超えて日本の商品を購入できるよう、海外に向けた販売を検討されていたのです。

東急百貨店は、中国などのアジア圏だけではなく、ヨーロッパやアメリカでの展開も視野に入れていました。そういった背景もあり、欧米をはじめとして世界190カ国にリーチできる、グローバルなプラットフォームであるeBayを選んでいただきました。

2020年2月に出店が決まり、その後すぐに新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、準備のスピードを加速して、2020年11月にeBayでの出店をスタートされました。

百貨店がECの出店準備をするなかでハードルとなったこと

ーー出店準備を進めるなかで、ハードルとなったことはありましたか?

丸山氏(Qoo10):歴史のある百貨店ならではの商慣習と、数十年前に誕生したばかりのECの商慣習との違いはありました。これまで百貨店の実店舗や自社ECサイトを利用していた消費者は、ある程度百貨店への知識があるため「この商品は●●産のブランド牛肉」といった認識をしたうえで商品を購入していました。

しかし、Qoo10は総合ECプラットフォームで、客層は普段百貨店にはあまり馴染みのない若年層です。そのため、商品のイメージを決めるサムネイルのデザインや、購買意欲をそそるようなテキスト、商品販売までのスピード感など、これまで百貨店が行ってきた対面販売メインの売り方とは大きく異なるのです。

今後は、Qoo10の客層の心をより掴めるような店舗の作り方について、小田急百貨店と協力をしながら進めていけたらと思っています。

イーベイ・ジャパン株式会社 エコシステム&イノベーション マネージャー 住友貴行

住友氏(eBay):百貨店はメーカーではないので、自社製品を販売しているわけではありません。さまざまなブランドやメーカーが、百貨店という場所のなかで販売を行っているため、eBayで販売する商品を百貨店の一存で決められないのが懸念点でした。

eBayを活用するには、海外販売に協力してくれるメーカーやブランドを募らなければなりません。東急百貨店が契約を結んでいるさまざまな事業者に相談し、「世界にアプローチしていきたい」と思いを伝えたことで、その思いに賛同する事業者を集められました。

弊社側では、これまでのデータをもとにして「どういった商品を販売するべきか」など可能な範囲で情報提供をしつつ、一緒に準備を進めていきました。

百貨店と越境EC、百貨店と国内EC。それぞれの相性の良さとは

ーー今回、それぞれ百貨店と取り組みをスタートさせてみて、百貨店とECの相性の良さについてどうお考えですか?

丸山氏(Qoo10):百貨店と国内ECとの相性は良いと思います。百貨店は日本の主要な都市にあるので、地方に住んでいる消費者には馴染みがありません。しかし、ECを活用することで、住んでいる場所関係なしに全国の人に認知されやすく、購入も気軽にできるようになります。

あとは、百貨店の商品がECプラットフォームで販売されることで、プラットフォームが配布するクーポンやポイントなどで、実店舗よりも安価に購入できる可能性があります。すると、値段が問題となって普段なかなか購入できなかった商品も、手を出しやすくなるのです。

一度百貨店から商品を購入した消費者は、百貨店に対するハードルが下がります。そのため、「大切な人へのプレゼント」「自分へのご褒美」で良い商品を購入したいときに、百貨店に足を運んだり、Qoo10で百貨店の商品を探したりすることにつながるのではないでしょうか。

住友氏(eBay):日本の百貨店と越境ECの相性も良いと思います。越境ECとなると、バイヤーは海外の商品を海外の事業者から購入するため「この商品はどのようなセラーが販売しているのか」「安心できるセラーなのか」という部分を気にします。そのため、eBayではセラーに対するフィードバックをつけていて、評価を可視化しているのです。こうして得られるセラーに対する安心感が、購入の意思決定をする要因のひとつになっているのです。

その点、東京の大きな街に店を構える百貨店は、海外の人が目にする機会が多く、ネームバリューがあります。日本を代表するショッピングモールということで、海外の人は安心して注文できるので、百貨店は越境ECプラットフォームと相性が良いのではないでしょうか。

ーー小田急百貨店とQoo10、東急百貨店とeBayは、どういった相性の良さがありますか?

丸山氏(Qoo10):バレンタイン、母の日、お中元・お歳暮といったシーズンごとのイベントや、独自で企画している物産展のようなイベントなど、百貨店が開催しているイベントにおいて特にシナジーを生むと考えています。

今後は、Qoo10というオンラインの場所で、これまでオフラインで開催していた百貨店のイベントを開いていくつもりなので、場所問わず全国の人に参加してもらえるようになります。オンラインの場だと、参加者の規模が大きくなることが見込めるため、集客や売り上げという視点でメリットが大きいでしょう。

住友氏(eBay):「これからは、日本の良質で伝統的な商品を欧米に向けて販売し、販路を拡大していく」という東急百貨店のやりたいことと、eBayの特徴が合いました。アジア圏はもちろん押さえつつ、欧米まで視野を広げるという、先々を見据えたうえでの戦略が、世界190カ国へクロスボーダーに販売できるeBayとマッチしたのです。

最終的には、「日本の総合ショップ」としてeBayで全世界に進出していきたいと言ってくださっています。

国も越境ECを後押し? 2020年を走ってきて気づいたこと

ーー2020年を走ってきて、どのような気づきがありましたか? また、その気づきを今後どう生かしていきたいですか?

丸山氏(Qoo10):Qoo10でも、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、ECで販路を拡大しようと考える事業者の問い合わせを多くいただいています。

ほかのECプラットフォームですでに販売している事業者も、若年層にアプローチできることに目を向け「次はQoo10に出店しよう」とご検討いただいていますね。すでに実店舗をもつ事業者は、外出自粛の流れで落ち込んだ売り上げをカバーするために、ECへの進出を考えられています。

今回、小田急百貨店と取り組みをスタートさせたことで、Qoo10のなかで信用性のあるブランドや商品に対するニーズがあることを再確認できました。そのため、2021年は今回の経験をベースにしながら、商品ラインアップの充実など、さらに消費者にとって利便性の高い総合ECプラットフォームを目指していきたいです。

住友氏(eBay):新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、2020年は百貨店などの規模が大きい企業が、越境ECを検討する機会が増えている印象があります。また、政府から越境ECについて講演の依頼もあり、国としても国内ECだけではなく、越境ECにも力を入れていこうとする流れを感じます。

そういった流れのなかで、2020年、eBayではコロナ禍になる前から準備していた、個人事業主の出店者に対するサポートをスタートさせました。国内の経済が低迷するなかで、
多くの申し込みをいただいている状況です。

弊社は引き続き、法人出店者のサポートをしつつ、個人事業主のサポートにも力を入れていけたらと考えています。法律に引っかからない商品であれば販売できるため、海外販売を検討している方は、ぜひeBayの活用をご検討ください。

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記者プロフィール

柏木まなみ

1994年生まれのフリーライター・編集者。ビジネス系のテーマを中心にインタビューしています。“働く人”のウラ側にあるストーリーや、商品に込められた担当者の思いを伝えていきたい。人生のBGMはサザンオールスターズです。

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