自社ECの決済は“クレカ+α”がマスト。統計が示す、いま求められる決済手段とは?
自社ECを運営するうえで必ず検討しなければいけないのが、「どの決済手段を導入するか?」という問題。特に近年ではさまざまな決済サービスが登場しており、その全てに対応することは難しい。EC担当者は優先順位付けに頭を悩ませていることだろう。
そこで本稿では、幅広い決済サービスを展開するSBペイメントサービス株式会社が行ったアンケートをもとに、傾向と対策を分析。ユーザーのリアルな声から得られた最新の決済サービス事情を、4つのモデルケースとあわせて紹介する。
よく使われる決済手段は? クレジットカード優勢だが変化の兆しも
本稿は、2020年12月に、SBペイメントサービス社が実施したアンケートに基づいている。調査対象者は、直近1年以内にネットショップで商品を購入したことがある2,533人の男女。10代~60代以上まで、幅広い世代を抽出した信頼性の高いデータである。
アンケート結果を見ていく前に、まずEC事業者が認識しておかなければならないのは、コロナ禍による消費者動向の変化だ。2020年以降、日本国内のみならず世界中でECの利用者数は飛躍的に増加した。それにともない、リアル店舗で現金を使う機会は減り、代わりにオンラインでのキャッシュレス決済市場が急速に拡大した。クレジットカードを持たない若年層のスマホでの商品購入も増加しており、オンライン決済のニーズは今後も高まっていくだろう。
withコロナ時代の消費者の購買行動については、こちらの記事(https://ecnomikata.com/original_news/29147/)でも詳しく紹介している。
こういった前提を踏まえて、まずは複数回答OKの「どの決済手段がよく利用されているか?」という質問から。
最も多く選ばれたのはクレジットカードで、その数は全体の8割弱と圧倒的。次点はPayPay(オンライン決済)。実店舗でもオンラインでも普及しており、着実に利用者数を伸ばしている印象だ。
一方でコンビニ決済、キャリア決済、代金引換なども、依然として一定数の利用者が存在する。クレジットカードを所有していなかったり、カード情報をWeb上で入力することに抵抗のある消費者から選ばれている。
決済手段は“クレカ+α”の時代へ。ID決済は要注目
続いては、アンケート対象者に候補の中からひとつだけ選択してもらう、「最も利用する決済手段は?」という質問。
こちらも最多はクレジットカード決済。高年齢層を中心にずっと利用されてきた、「使い慣れている」スタンダードな決済手段である。ほとんどのサイトで使用できるため、新しい決済手段を利用する手間も避けられる。不正利用への対策や補償サービスが充実しており、与信枠も大きいため、高額な商品の購入にも利用されやすい。
このアンケート結果を性別と年代をキーに見てみると、10代ではクレジットカード決済の利用率が極端に低く、その代わりにコンビニ決済などがよく利用されていることがわかる。また20代・30代においてもクレジットカード以外の決済手段のシェアが高い。50代・60代以上の女性が、コンビニ決済をよく利用している傾向も特徴的といえるだろう。
スマホの利用率に比例して、スマホ関連の決済の利用率は高くなる。そのため若い世代は、ふだん使っているスマホアプリに関連した、新しい決済手段を利用しやすい環境にあるようだ。また、モバイルユーザーにとって、キャリア決済やPayPay(オンライン決済)は、カード情報入力の手間がなく簡単に支払いができるのもメリットといえる。若者向けの商品を扱うEC事業者は、これらの決済を導入することをおすすめしたい。
ID決済の隆盛は、同社が2018年に実施した調査結果と比べても見て取れる。圧倒的1位のクレジットカードだが、そのシェアは近年減少してきており、PayPay(オンライン決済)決済や楽天ペイ、LINE Payなどがシェアを伸ばしている。
その大きな要因は、リアル店舗によって裾野を広げたID決済(QRコード決済)が、オンラインでも使用可能になったこと。ネットでもリアルでも利用すればポイントが貯まり、ポイント還元キャンペーンも多い。PayPayであれば、PayPayフリマ、PayPayモールといった系列のプラットフォームによる経済圏(エコシステム)の存在が、利用者数の増加に影響している。
EC事業者の視点でいえば、クレジットカード決済は当然のように導入必須であるが、もはや「クレカだけ対策しておけばOK」ではなくなったといえる。
支払方法の不一致が、ユーザー離れを生む要因に
次は「ネットショップで商品を買おうとした際に、ふだん利用している決済手段が使えない場合はどうするか?」という質問。
この結果、男女ともに約60%以上が、そのネットショップでは商品を購入せずに離脱することがわかった。いつも利用している決済手段が使えないと、ユーザー体験は著しく低下する。慣れない決済手段では登録が面倒だし、ポイントも貯められない。よほど急を要しない限りは購買意欲が失われ、もし同じ商品が他サイトでも購入できるなら、消費者は離れていってしまうのだ。
逆に普段利用している決済手段が利用できれば、そのまま気軽に購入してもらえる。EC担当者は自社の商品を購入してくれるユーザー属性に合わせた、決済手段を用意することなども含む、UI/UXの改善に取り組まなければならない。
おすすめの決済手段をケース別に紹介
市場の動向を受けて、EC事業者はどのような決済サービスを導入するべきか。ここでは4つのモデルケースごとに、おすすめの決済手段をご紹介。まず前提として、どんなケースでも必須なのはクレジットカード決済。その他の決済を、事業の状況に合わせて検討する必要がある。
・クレジットカード決済
・コンビニ決済
・PayPay(オンライン決済)
・クレジットカード決済
・コンビニ決済
・キャリア決済
・クレジットカード決済
・コンビニ決済
・クレジットカード決済
・PayPay(オンライン決済)
自社の規模や状況に合わせた決済手段を用意する
自社のEC事業が置かれているフェーズによっても、導入すべき決済手段は変わってくる。例えば立ち上げたばかりの段階なら、クレジットカード決済に加えて、ユーザー属性に合わせた支払方法を1~2つほど提供したいところ。
事業がある程度成長して軌道に乗ってきたら、さらにコンバージョンを高めるために決済手段を増やすという選択もある。既存顧客の単価アップやリピート改善のために、ポイント連携できるID決済を導入したり、新規顧客獲得のために狙ったターゲットに好まれる支払方法を用意するなど、その状況ごとに適した対応が求められる。
今回アンケート調査を実施したソフトバンクグループの一員であるSBペイメントサービス社は、オンライン決済をはじめとする、30を超える決済手段を一括で提供している。また、豊富な提携サービスも用意しているため、さまざまな事情を抱えるEC事業者にとって、良きパートナーとなってくれるはずだ。決済手段の拡充を検討している事業者は、ぜひ同社に相談してみてほしい。