大手アパレル「NEWYORKER」”優良顧客”を生み出す顧客体験づくりを公開!
「NEWYORKER」を基幹ブランドに紳士服・婦人服の企画・販売を行う株式会社ダイドーフォワードは、株式会社空色が展開する「WhatYa(ワチャ)」を活用してWeb接客を強化している。このたびCV向上に有効な新機能が実装されたことで、より顧客にとって最適な買い物体験が可能になった。店舗での顧客対応力に定評がある老舗アパレルはいかにしてオンライン接客からロイヤルカスタマーを生み出しているのか――。空色の武石大樹氏とダイドーフォワードの横田浩之氏に、「WhatYa(ワチャ)」のサービス概要や新機能、顧客体験(CX)を向上させるポイントなどについて話を聞いた。
AIと有人のハイブリッドで最適なチャット接客を
――WhatYaとはどのようなツールなのか、まずはその概要について教えてください。
武石 「WhatYa」はECサイトやアプリ、SNSなどで接点を持つエンドユーザーと適切なコミュニケーションを行い、CVを向上させるためのWeb接客ツールです。AIチャットボットと有人チャットボットを組み合わせ、導入企業様の課題に合わせた施策が打てるのが特長です。クライアントの課題解決はもちろん、ワクワクできるサービス体験の実現を目指しています。
横田 空色様とは2017年からのお付き合いになります。「WhatYa」はAIと有人によるハイブリッド型のWeb接客ツールで、例えば一般的な質問にはシナリオベースでAIボットが自動返答し、細かい対応が必要なお問い合わせに関してはオペレーターが直接チャットでやり取りするなど、高品質な接客ができる点が導入の決め手になりました。
――2021年9月に顧客に合わせて最適なWeb接客ができる新機能「WhatYa Buttons(ワチャボタンズ)」をリリースしましたよね。
武石 新機能ではデータに基づいた複数のシナリオを用いることで、サイトページごとに購入を後押しする接客ができるようになりました。また、自動返答から有人チャットへの切り替えから、よりパーソナルなコミュニケーションが図れるため、CVR向上につながるアクティブユーザーの獲得に貢献できます。リリースにあたり、ダイドーフォワード様には「NEWYORKER」の公式オンラインショップの「商品ページ」と「お気に入りページ」、そして「カートページ」にこの機能を実装していただき、ButtonsのPoC(概念実証)にご協力いただきました。
――「WhatYa Buttons」を使ってみた率直な感想をお聞かせください。
横田 一番驚いたのは、有人対応に接続するチャット発生数が導入前の5倍に増えたことです。「WhatYaButtons」導入前の相談内容はCS関連が多かったのですが、導入後は商品関連のお問い合わせが7割を占めるまでになりました。有人チャットの担当は店舗で接客経験があるスタッフが務めているのですが、オンラインでも店頭に近い形でエンドユーザーとコミュニケーションできる機会が増えたことに大変喜んでいます。
CV獲得につながる最適なコミュニケーション
――「WhatYa Buttons」の導入で、具体的にはどのような効果が得られましたか。
横田 季節要因もあると思いますが、Buttonsの導入前後で客単価が22%増加しました。チャット機能の利用率が向上し、ボタンクリック数は1.7倍、リンククリック数は2.4倍に。サイト全体のCVのうち45~49%がチャット利用者であることもわかりました。これは購入者のうち2人にひとりがチャット経由で商品を購入したということです。ページごとに顧客のニーズを汲み取った最適な情報を提供できたことが要因だと考えられます。
――エンドユーザーの購入を後押しする施策がしっかり効いているということですね。
武石 例えば2万円以上の購入で送料が無料になるとして、1万6,000円分の商品が買い物かごに入っていたとします。この時に「WhatYa Buttons」では、「2万円以上で送料無料!他にもこちらの商品はいかがですか?」と、送料無料になる金額をお知らせするポップアイコンを出し、さらにそこから当該条件を満たす価格別の商品一覧ページに誘導することが可能です。エンドユーザーがメリットに感じる情報を適切な場所に、適切なタイミングで出し、そこからストレスなく次のアクションに移れる導線を示せることが、この機能の特長です。
――こうした“おもてなし”の接客がロイヤルカスタマーの醸成につながるのですね。
横田 そうですね。我々が目指しているのは“装いのコンシェルジュ”です。常にお客様の立場に立ち、お客様が望まれる情報をリアルタイムで提供するという実店舗での接客スタイルを、オンラインでも実現したいという思いがあります。オンラインの場合は実店舗と異なり、幅広いアイテムを取り扱ったり、24時間いつでも商品を販売できたりしますよね。こうしたオンラインならではのメリットを最大限活かしながら、ブランドに愛着を持っていただけるロイヤルカスタマーをひとりでも多く増やしていきたいと考えています。
オンラインでの購買体験のつまずきをなくす
――さまざまなチャットボットサービスがありますが、WhatYaの強みを教えてください。
武石 “体験”に基づいて作られている点だと思います。わたしを含め、「WhatYa」の開発チームはアパレル業界出身者が多いんです。店舗での接客経験があるスタッフが、どうすれば顧客目線でオンラインでの購買体験のつまずきをなくす接客を、機能に反映できるかを念頭に置きながら開発してきたという点で、ほかのツールとは差別化が図れていると思います。
横田 確かに、我々の事業のフロント側の理解度が高いという点では、一緒に仕事をしていて心地よさを感じますね。同じ目的意識を持った専門家がフォローしてくださるので、とても心強い存在です。
――どのような事業者が導入するともっとも大きな効果を発揮できそうですか。
武石 アパレルやインテリア、化粧品など、商品を選んだりショッピング自体を楽しんだりする商材には最適です。感性を刺激するというか、ひとりひとりの顧客と向き合いながらしっかり商品を売っていきたいという事業者様には価値を感じていただけるツールだと思います。
――ダイドーフォワード様は早くから「WhatYa」を導入するなどWeb接客に力を入れてこられました。顧客とのコミュニケーションを今後、どのように進化・発展させていきたいとお考えですか。
横田 実店舗とオンラインの垣根をなくし、用途に応じてお客様が自由に使い分けられるような環境を整えたいと思っています。いわゆるOMOということになりますが、お客様に関するデータを蓄積しながらシームレスな購買体験を後押しし、顧客体験(CX)を強化して参ります。
――空色様が考える理想のWeb接客とはどのようなものなのでしょうか。
武石 エンドユーザーにいかに心地良い体験を提供できるかということに尽きると思います。買い物をするときって、店の雰囲気やディスプレイ、流れている音楽、店員との会話などで心地良さが違ってきますよね。嗅覚や触覚も心地良さを構成する要因かもしれません。こうした店舗で感じるフィーリングやワクワク感を、オンラインの世界でも実現できるようになれば面白いと思うのです。「WhatYa」はその手段のひとつでしかありませんが、オンラインとオフラインの垣根を越えるトリガーとして、今後もブラッシュアップしていきたいですね。