通販大手“ベルメゾン“がAIチャット接客ではなく有人チャットを選んだ理由

ECのミカタ編集部 [PR]

コロナ禍において、通信販売が社会的インフラとして重要な役割を担うようになった昨今、「ベルメゾン」を展開する通販大手の株式会社千趣会(以下、千趣会)がEC運営において重要視しているのは接客だ。インテリア部門を中心に、ママ&チャイルド部門、ファッション部門でもチャットサービス「WhatYa(ワチャ)」を活用しながら有人でのチャット接客を行っている。なぜ今、こうしたお客様とのコミュニケーションに力を入れ始めたのか。同ツールを提供している株式会社空色との取り組みについて、千趣会のベルメゾン事業本部 生活編集企画部 部長の鎌谷賢太郎氏とベルメゾン事業本部 販売チャネル企画部 市場開発1チーム マネージャーの久保慶太氏にお話を伺った。

「購入回数が少ない分、失敗がこわい」という不安を払拭するために

「購入回数が少ない分、失敗がこわい」という不安を払拭するために

――まずは御社の事業概要を教えてください。

鎌谷 千趣会は創業して66年になります。創業当初は働く女性向けに毎月商品をお届けする頒布会事業が中心でしたが、その後通販カタログ「ベルメゾン」を創刊し、これをベースに2000年にネット通販「ベルメゾンネット」を展開。ベルメゾンのターゲットは30〜50代の女性が中心で、洋服、雑貨、コスメ、家具・インテリア、ベビー用品、グルメなど幅広いジャンルの商品を揃えています。

チャット接客をスタートしたのは2018年で家具・インテリア部門から開始しました。それまでのECは商品を揃えてマーケティング手法で顧客と接点を持ち、商品詳細画面の中でコンバージョン(購入)して頂くというのが主流でした。しかし私はそうした一方通行的なECのあり方ではなく、店舗と同じようにお客様のお悩みを聞いたりニーズを伺ったりし、こちらからもご提案をした上で、納得して購入していただけるようなインタラクティブなECでありたいと考えました。

ベルメゾンが大事にしていることは「商品を通じてお客様に寄り添って暮らしを向上していただくこと」です。そこを踏まえて、家具・インテリアを購入されたいお客様にとって最適な買物体験はどういったことなのかという点を考えながら、お客様とのやりとりや大規模な顧客調査を通じて明確になったことがあります。

それは、家具やインテリアは人生のなかでもっとも購入回数が少ないジャンル、ということでした。自動車でも5~10年に1回くらいで買い換える人は多いと思いますが、たとえばテレビ台やカーテンなどは人生で1~2回しか買わないという人も少なくありません。

しかしながら、独立や結婚などライフステージの変化により住替えのタイミングになると、自分の好みを暮らしに反映したくなります。インスタグラムなどのSNSを参考にして、好きな家具のテイストを見つけたりして、なんとなくこういうのが欲しいという願望はあるけれど、「めったに買わない大物なので失敗したくない」「返品するにもコストがかかるので心配」「そもそも何を買えばいいのかわからない」などと感じているお客様が多いことに気付きました。

久保 またECに表示されている家具のカテゴリや名称もあいまいでわかりにくいですよね。棚ひとつとっても、「ラック」、「収納」、「キャビネット」などがありますが明確な定義がわからず、実際に探しているのはキャビネットなのに、ラックのページを訪問しているなどのギャップはよくあります。

鎌谷 つまりインテリアの場合、お客様は実際に商品を買う前に、ある意味で勉強しなくてはならないのです。弊社ではお客様にそういった勉強の負担をかけない買物体験を提供しようと考えました。もともと顔が見えない通販を本業としてきたので、できるだけお客様を深く知り、寄り添うことを大事にしています。「ベルメゾン」のお客様の多くはスマホでお買い物をされることもあり、UIとしても親しみやすいチャットで対応させていただくのが最適ではないかという結論になりました。

一緒に構築していく姿勢やマニュアル作り、KPI管理の知見も決め手に

一緒に構築していく姿勢やマニュアル作り、KPI管理の知見も決め手に

――数ある接客ツールの中で、「WhatYa(ワチャ)」を選んだ理由は?

鎌谷 チャットサービスを提供している空色様については以前からアパレルでの実績が豊富にあることを知っていましたが、2018年当時でインテリアは未経験。国内でもインテリアECにチャット接客の導入事例はほぼなく、当社と一緒にゼロから構築していく状況でした。他社も含めてお話を伺う中で、最も一体感を持ってベルメゾンが大事にしたい「お客様に寄り添う」買物体験を実現するというゴールに一緒に取り組めそうだと感じました。

チャットのツールだけでなく、オペレーターのマニュアル作り、KPI管理なども含めてマネジメントしやすい手法をお持ちだった点も魅力でした。
5月末に訪問して、8月から実装スタートという、タイトなスケジュールにも対応していただけた点も良かったと思う点です。

なぜ有人チャットを選んだかというと、並行してインテリアのAI提案を研究していたのですがインテリアはファッションと違ってジャンルやテイストやスタイリングなどのパターンが莫大で、画像認識ひとつとっても、ファッションならある程度パターンで読み取れるのに対し、インテリアは設置する空間を含めて無数のパターンがあるためAIで最適解を出すことが当時では難しく問題解決にはならない。逆に顧客体験を損なうと判断したからです。従って有人でしっかりと対応することが必要だと思いました。

久保 現在完全に実装しているのは家具・インテリア部門のみですが、ママ&チャイルド部門やファッション部門でもテスト実施中です。人生の中でも購入回数が少なく、ある程度勉強してからでないと買えない、という意味ではママ&チャイルド部門も同じ。お客様が購入前に感じる不安の解消に役立てたいと考えています。

社内オペレーターが丁寧にヒアリングし、お客様に合ったご提案を

社内オペレーターが丁寧にヒアリングし、お客様に合ったご提案を

――どのように「WhatYa(ワチャ)」を運用されているのですか。

鎌谷 社内に専門のオペレーターチームを構えてチャットに対応しています。
昨年までは、空色様にチャット接客の運用もお願いしていました。そこでチャット独自の接客ノウハウなどの知見を蓄積できたことと、今後を見据えたときに事業部門やコールセンター部門とのスムーズな連携構築も踏まえて、内製化したほうがチャット接客の有用性を高められ、お客様の体験価値も上げられると判断しました。

対応する上で重視しているのはヒアリングです。「手持ちのソファを使って北欧風の部屋にしたいんだけど・・?」など、何が欲しいかがまだ定まっていない方に対しても、ヒアリングをしていくことで必要な商品がわかり、ご提案することで納得してご購入いただけます。

ある程度買いたいものが決まっている方に対しては、基本的には不安を解消して購入の後押しをお手伝いするという形になりますが、会話をする中で、別の商品も必要だと気づいていただけることもあります。具体的な事例としては、家具の相談でチャットに来られたお客様との雑談のなかで「北国に引っ越したのだが、思ったより部屋が寒い」という新たな悩みを引き出し、それならばとオペレーターが暖房器具やあったか寝具も併せてご提案したところ大変喜ばれました。

「WhatYa(ワチャ)」は画像や動画も送ることができるので「この家具はこの床の色に合いますか」とか「この部屋には何色のカーテンが合いますか」などのご質問にも画像を見ながらお答えすることができます。どのようなケースにおいても、単にイエス/ノーだけの回答をすることはしませんし、一方的に当社の商品の購入を促すこともいたしません。会話と心情を大切にしながら、お客様にとって最適な商品をご提案しています。

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濃厚な顧客接点を持つことで、再来訪などCV以外の効果も!

濃厚な顧客接点を持つことで、再来訪などCV以外の効果も!

――「WhatYa(ワチャ)」を提供する空色によれば、ベルメゾンのサイトを14日間計測した結果、チャット利用者は、その場で購入しなくても、他社サイトなどを比較した後、その内4割程は再訪し購入に至っているそうです。つまり、チャット利用すると、それだけ多くのお客様が戻ってきてくださるということですよね。

鎌谷 もちろん「WhatYa(ワチャ)」を導入する上で、CV向上も重視してはいますが、とくにインテリアの場合、必ずしもその場でクロージングするというケースは珍しい。失敗したくないので、いろいろなショップを見た上で、それらを比較して最適なものを買う方がほとんどである中、「ベルメゾンで提案された商品はよかった」「コスパもよかった」と感じ、また来訪していただくことを目指して、オペレーターが誠実に対応しているからこその結果だと思っています。EC全体とチャット利用者を比較すると、単価もかなり上がっています。

オペレーターの対応はお客様から非常に好評で、商品到着後のお客様から、オペレーターに対して「〜さん(オペレーター)がおすすめしてくれたソファが部屋にぴったりで、とても気に入っています。このようなご時世で大変ですががんばってください」などの嬉しいコメントを度々いただだいています。

「WhatYa(ワチャ)」導入により、従来の通販では得られなかったようなお客様との濃厚な関係性が構築でき、顧客体験を向上し、結果的にファンになってリピートしていただけているのだと思います。

チャットで得られたVOC(お客様の声)をヒントに、サイトのUI改善も

チャットで得られたVOC(お客様の声)をヒントに、サイトのUI改善も

――お客様との会話から、サイトの改善点なども見えてくるそうですね。

久保 昨年からは特に、ECでの買い物に不慣れなお客様も増えました。必要な情報は表示していても、お客様は隅々までは見ていないことも多く「カーテンの測り方がわからない」「測ってみたが本当に合っているのかわからない」などのお悩みを伺うことがありました。

そうした、お客様から見てわかりにくいポイントを伺い、チャットで対応することはもちろん、さらにその声を活かして、サイトの細かなUI/UXの改善にもつなげています。

VOCのデータはジャンル別のお悩みが見えてくるよう、いろんな切り口でタグをつけながら、かなり細かく分類して蓄積しています。フィードバックは「WhatYa(ワチャ)」を提供する空色様と毎月行い、気づいた商品だけでなく、別の商品についても共通する改善点があれば都度対処を行なっています。

――他にも「WhatYa(ワチャ)」をお使いになって感じる魅力があれば教えてください。

鎌谷 ツールそのものだけでなく、支援体制などもしっかりしているので、一緒に構築していくトータルのソリューションとしての使いやすさを感じますね。

「WhatYa(ワチャ)」は画像、動画の投稿もできるので、問い合わせに画像を要するものなどスマホベースのコミュニケーションにはフィットしています。

チャネルを問わず、お客様の不安を解消し、質の高い体験を提供していく

――今後の展望をお聞かせください。

鎌谷 当社のチャネルはカタログ、EC、店舗とさまざまありますが、どれもお客様にとってフラットで重要なチャネルであると考えています。チャネルを問わず、お客様の不安や困りごとをどう解決するかを真摯に考え、今後も「お客様に寄り添う」ことを大事にし、お客様のライフスタイル全てに対してコミュニケーションを磨き、質の高い顧客体験を提供していきたいですね。

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