今こそ「戦略設計」から見直す。一気通貫でECをサポートするネイビーコンサルティング
楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなど大手ECモール出身のコンサルタントらで構成するECコンサルティング・運営代行の「株式会社ネイビーグループ」。豊富な知見とデータに基づいた緻密なマーケティング分析で、利益を生み出すEC戦略設計に強みを発揮している。商品開発からロジスティックまで一気通貫でサポートできるサービス体制を取り、2021年の設立以来、着実に契約数を伸ばしてきた。クライアントから見えてくる昨今のECの課題、そこに対応したサービス展開と成果について、岡田駿之代表取締役CEOに話を聞いた。
売上・利益の歩留まりでEC事業者が体感する、EC成長の難しさ
━━EC支援を行う中で、最近クライアントからはどのような相談や依頼がきますか。
岡田 とりあえず始めてみたが全く売れない、商品は良いのだが、ECでの売り方がわからないなど、企業によって本当にまちまちです。
その中でも店舗として死活問題である「ある程度のところで売上が頭打ちになる」というような悩みは多くのEC事業者が抱えているように思えます。
コロナ渦を通してECの新規参入が増えたことは衆知の事実ですが、他業態では誰もが耳にしたことがあるような大手メーカーやブランドが、ECでは売上が歩留まりになり、利益を出すことができず鳴かず飛ばず、ということも少なくないです。
━━EC事業者がそのような状態に陥り、社内で「不採算事業」の烙印を押されてしまう根本的な原因はなんだとお考えでしょうか。
岡田 一言でいうことはなかなか難しいですが、大きなものとして、EC事業の全体像から戦略を設計した上で各フェーズでの施策を策定できていないことがあると思います。
また全体像を把握する際に、データドリブンな意思決定ができていないことも一つだと思います。自社のビジネスの現状課題を、運営している人間がなんとなく、もしくは全く把握していない場合もあります。普段の投資や人員配置も感覚で行われていたりという状態では堅実なECの成長は期待できないでしょう。
毎月赤字のEC事業が200項目の施策で月商1億ECに
━━そうした課題に対してどんな支援をするのでしょうか。
岡田 私が運営代行している全国展開の小売店のケースでお話しします。ECだけで月5000万円程売り上げていた会社でしたが、営業利益は毎月赤字でした。小売店は仕入れ販売で利幅が薄く、競合他社との価格競争に走ると利益がでない状況がありました。
まずどこにコストがかかっているのかを見るため、勘定科目をすべて洗い出したところ、一番高かったのが物流費でした。ECで注文を受けた商品を、在庫のある全国各地の店舗から出荷していたんです。
そこで、ECからの注文はどのエリアが多いのかをデータから調べ、受注件数の多いエリア店舗に在庫品を寄せて配送する形に変えました。この配送費の圧縮だけでコストが数%落ちました。
データを分析して、こうした細かい改善を重ねたことで、今ではしっかりと営業利益が黒字になっています。
━━このケースを担当されたとき、運営の根本的な課題はなんだと考えたのでしょうか。
岡田 システマティックではなく、属人化していたところです。EC担当者それぞれが何をしているのか共有されず、施策戦略や業務の優先順位もなく、とりあえずECをやってみようと始めて月商3000万円まできた、という状態でした。でもこれは、この会社に限らないことです。多くのEC事業者に当てはまるケースだと思います。
━━その課題に対してどのような提案をしていったのですか。
岡田 ECの売上はシンプルに言うと、アクセス数、サイト来訪者のうち購入に至った転換率、客単価で構成されます。その3つの要素を上げるために必要な施策として約200項目をリストアップし、EC担当者に分担してもらいました。
まず項目一つひとつに仮説を立てます。この施策を打てば、転換率が1%から1.5%に上がるといった予測を立て、実際の結果と比べてギャップを分析します。これを繰り返すことで、効果的な施策とそうでないものがわかってきます。効果の見られない施策はカットし、効果的なものは結果を分析してさらに伸ばしていく。そうすると予測の精度が上がり、これ位の売上になり、利益はこれだけ出せる、ということが担当者もわかるようになります。EC運営者のレベルアップが図れるわけです。こちらの会社では戦略設計から人の配置や育成、価格設定システムの導入など包括的にサポートしました。その結果、約8カ月間で月商5000万円から1.5億円に伸びました。
データに基づいた戦略・目標設計でECを成功に導くネイビーグループ
━━データに基づいた戦略設計の重要さは御社のサイトでも強調されています。
岡田 多くの事業者がECを始める際に考えることは、きれいなWebページをつくり、お客様に知ってもらうために広告を打つことだと思いますが、これは自社に目を向けた取り組みです。お客様は商品を比較検討して購入されるわけですから、扱う商品の市場や競合他社を見る相対的視点こそが大事です。その商品カテゴリーの国内市場規模や、そのうちECの売上規模がどのくらいで、どのチャネルで購入されているか。そうした状況下でどれだけのシェアが取れそうかなど、データに基づいた戦略・目標設計が非常に重要で、それがないと社長や決裁者は経営判断ができませんし、施策も打てません。
私たちはカテゴリーごとの売上ランキングデータを毎日集計して、独自のロジックや係数をかけて、市場規模やクライアント商品の売上予測を出せるシステムをもっています。そこは他社にない強みだといえます。
━━そうしたデータを活用して提案できる人材をそろえているということですね。
岡田 コンサルタントは属人的要素に左右されないように情報共有やレベルアップを常に図っています。受託案件の施策の成功、失敗事例はすべて、ExcelやPowerPointにしてデータ化し、全員が共有しています。さらに週1回、お互いがインプットしたノウハウを語り合う共有会を設けて横展開できる環境をつくっています。コンサルタントの質を認めていただいているからなのか、2022年7月現在の契約継続率は100%です。当社は基本的に半年ごとの契約更新でして、創業から1年半になりますが、解約はまだありません。大変うれしいことですし、これをキープするためにもプロの人材として認められる努力を欠かさないようにしたいと思います。
━━気通貫のサポートも強みとして打ち出されています。
岡田 新商品の開発サポートから、物流、コールセンターまでご紹介できます。商品開発ではクライアントからの依頼を受けて、まつげ美容液や除毛クリーム、アロマディフューザーを開発しています。当社のマーケットデータを使って競合を調べ、クライアントと打ち合わせをしながらカテゴリートップを目指す商品設計をします。ECモールのコンサルタント時代にご縁のできた原料メーカーに製造を委託し、価格設定やWebページのデザイン制作は内製で全て行います。
発売の段階では、インフルエンサーを使ったインスタグラムの投稿や口コミサイトの活用、それをWebページにも取り込んで、広告も打っていきます。商品の発送手段や顧客対応でお困りの場合は、提携先の物流会社やコールセンターをご紹介できます。クライアント企業には、その会社にしかできない仕事に専念してもらい、ECの戦略設計や運営サポートは当社が代行する役割分担を図って、売上と利益向上を目指していきましょうという考えです。
CEOは「楽天賞MVP」受賞者、大手ECモール出身者らで構成
━━ネイビーグループを2021年1月に設立された岡田さんですが、前職の楽天でも活躍されていたそうですね。
岡田 楽天市場事業部に7年間いて、モールに出店された約1500社の売上拡大のコンサルティングや、広告販売の営業をしていました。その間に全社的な表彰の「楽天賞」を2度受賞しました。一つは男性用サプリメント市場の成長への貢献です。男性用サプリや化粧品が伸び始めているトレンドを捉えて、商品開発や販売戦略を考えて出店企業に提案していったところ、市場が対前年比で約5倍に成長しました。もう一つは、楽天市場で医薬品の発売・販促を可能にしたスキームづくりを各部署や行政と調整、メディアプランニングと販売戦略のサポートを行った結果、単月1商品で5,000万円以上の実績を出しました。その実績に対して、約2万人いる全社員のトップに贈られる「楽天賞MVP」をいただきました。
━━スタッフも大手ECモール出身者が多いと聞きました。
岡田 業務委託を含めてスタッフは現在19名ですが、楽天、Amazon、Yahoo!ショッピングなどの大手ECモール出身者はコンサルタントのほかにも、Webデザイナー、システム開発者もいます。楽天物流に長くいたロジスティック専門のコンサルタントもいます。ホームページに掲載していますが、当社のコンサルタントが関わったEC事業者のサポート実績は合わせて延べ2,200社を超えます。経験豊富な人材による包括的サポートができるのが大きな特長です。
サービスの良し悪しを確かめられる「トライアルプラン」
━━質の高い人材とサービス内容をご紹介いただきましたが、料金が気になります。
岡田 ECを熟知したプロの支援サービスですので、料金プランは格安ではないですが、結果として得られる売上と営業利益を考えると、コストパフォーマンスは極めて良いです。費用対効果の目線で見ていただきたいです。ただし、そうはいってもサービスの良し悪しは実際に使っていただかないとわからないので、「トライアルプラン」を新設しました。EC事業の目標やKPIを伺い、達成に向けた戦略設計と施策を提案し、その実行を支援します。1社9万8000円で50社限定です。私たちのサポートの質をしっかりと見ていただきたいと思います。
━━最後に、今後の展開を教えてください。
岡田 当社は「ITとECで社会の不便を利便に変える」をミッションに掲げていますので、EC支援サービスの枠を超えた新たな領域にもチャレンジしていきます。例えば、最近は特定のだれかが使っているから、私もほしいなど「人軸」での購買行動が顕著になってきています。そこに着眼したマーケットプレイスの創設や、特定カテゴリにおけるCtoCサービス事業なども地道に進めているところです。最近では、キヤノンマーケティングジャパン様との業務提携で、我々がミッションとして掲げているまさしくITとECの融合による新規プロジェクト、がスタートするなど多角的支援を行っていっています。ITとECを組み合わせて、社会をより良く豊かにしていける事業を展開していきたいと思っています。