加速度が増す ECの進化 今を知り未来に備える ECのミカタFESTA

石郷“145”マナブ

ネット通販が市民権を得るに至ったのはごく最近の話である。でもその進化は年々、加速度を増している。だから今に目を向け、未来を予測し、行動しなければならない。早くからECの可能性に着目していた「ECのミカタ」は、15周年の時を迎え、そこで何をするのだろう。やっぱり彼らはその祝賀ムードに酔うことなく、次の時代への備えと挑戦を見せてくれた。それが「ECのミカタFESTA」である。

変わりゆくメーカーの姿

会場に足を踏み入れると、数多くのEC支援企業のブースが立ち並ぶ。皆一様に想いを込めて、自らの価値を説く。

時間がなくあまり回りきれなかったが、そこには未来への気づきがある。例えば、日立物流なら「レコビス」というサービス。それに準え、彼らは、今までにはない「メーカーの姿」を教えてくれた。

昨今、メーカーの考え方に変化が現れていると。商品をECで販売する以外に、レンタルを始めて、お試し需要など、新しい可能性を模索するところが出てきたというのだ。とはいえ、レンタルも楽ではない。なぜなら、返品された際の物流の対応などが複雑で、通常とは大きく異なるからだ。それで彼らは、メーカーの関連会社としての知見を活かし、レンタル用の物流サービスを提供するわけだ。

ECの価値によって生まれた、今の時代らしい新しい動きそのものである。

メタバースとECの融合

今の時代を実感したい。その意味では「池袋ミラーワールド開発中」のセミナーはそれに相応しい内容といえよう。言うなれば、メタバースの世界とECとの融合である。この日の登壇者は二人。テレビ東京 ビジネス開発局 コミュニティ事業部部長 吉澤 有さん。そしてGMOメイクショップ 常務取締役 古屋 智久さんである。

始まるなり、会場内の巨大なモニターに、映し出されたのは池袋駅。とは言え、それはリアルの池袋駅ではない。それを忠実に模したバーチャル世界である。

これこそが「池袋ミラーワールド」。東京の豊島区とテレビ東京が開発をして、肝入りで推進している事業である。リアルのポテンシャルを活かしつつ、その可能性を更に広げる。例えば、テレビ東京で放映中の「世界卓球」に関連して、オリジナルの空間を用意している。

このように季節性を持たせて、変化にとんだ演出を提供できるのは、バーチャルならでは。リアルでかかるようなコストがデジタルであれば、要しないから、迅速に多種多様な新しいプロモーションが可能となる。

テレ東Xショップでメイクショップと連携

さて、ECはどこで融合するのか。このバーチャル世界の中では「テレ東 X(クロス)ショップ」というお店が存在する。これこそが、ECと連動していて、中に入ると、商品が陳列されているのだ。

地方の逸品などに巡り合える。こちらは、別府竹細工「渦」。勿論、それらも購入できる。

つまり、このようにして、テレビ東京は「池袋ミラーワールド」で仕掛けをし、盛り上げに寄与するほど、人は集まる。だから、そこでの価値を生かすべく、様々な事業者にECの出品を呼びかけるわけだ。プロモーションが盛り上がるほど、そこで商品を出すことのメリットが生まれ、出品が増える。商品が増えれば、今度は来場者にとっての利点となり、購入機会が増えて、出品者に還元される。

メイクショップを活用してテレビ東京は事業者に出品促す

ただテレビ東京は商品を持っていない。だから、彼らはGMOメイクショップの力を借りる。GMOメイクショップであれば、モール型でECサイトを構築できる仕組みを持っている。それを活用して、テレビ東京は全国のあらゆる事業者に対して出品を促すわけだ。するとテレビ東京と出品者、そしてGMOメイクショップのそれぞれの役割が、この街の活性化につながるわけだ。

かくしてメタバース上でのECが実現する。全く今までのECのあり方とは異なる仕様である。

ここにはアバターに扮して誰でも参加できるので、訪問してみると良いだろう。テレビ東京の吉澤さんは、今までのリアルでの商品の売り方が改めて見直される契機となると熱っぽく語る。例えば陳列。

一例として、スポ根にまつわる漫画の話をしてくれた。その漫画が陳列されている横で、なぜか消臭スプレーが販売されている。実は、その二つは親和性が高いとお店は言うのだ。こういう目的買いではない需要が、メタバース上、生まれていくだろうと。

予想できぬ未来である。ただ、これから更にデジタルの進化のスピードは加速する。だけど、それが推進されるほど、実はデジタルはより人間的な性質を強めていくだろう。ECのミカタが15年、歩んで見てきたその進化よりももっと想像し得ない未来が、これからの15年には待っている。同イベントでのオルビスのセミナーも記事にしてみたので、合わせてみてほしい。

今日はこの辺で。

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記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の記者出身で、ジュエリーディレクション、美容系卸、企画や営業を経験し、2015年~2018年にはECのミカタ編集長に。現在は独立し株式会社team145代表取締役 兼「145マガジン」編集長。
トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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