サプライチェーンの課題を把握する物流の健康診断「ロジスティクス・カルテ」

[PR]

佐川グローバルロジスティクス株式会社
グローバルSCM部グローバルSCM課 課長
佐々木 朋幸
佐川グローバルロジスティクス株式会社
グローバルSCM部グローバルSCM課 係長
篠﨑 詩乃

パンデミックの影響が長引くなか、世界情勢の変化に伴うコスト増大化や記録的な円安など、物流を取り巻く環境は依然として先行きが見通せない状況が続いている。このような変化に対応するためには、現状の課題やリスクを把握し、サプライチェーン全体での最適化が求められる。佐川急便を中核とするSGホールディングスグループの中で、ロジスティクス事業を展開する佐川グローバルロジスティクス株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:山本将典)では、2022年8月に物流診断サービス「ロジスティクス・カルテ」の提供を始めた。今回は、同サービスを担当する佐々木朋幸氏、篠﨑詩乃氏に話を聞く。

新たな課題が顕在化するいま、サプライチェーン全体での現状把握が重要

ー市況が大きく変化するなか、EC事業者の課題感はどういったところにあるのでしょうか。

新型コロナウイルスの流行をはじめ、過度な円安、物流コストや原材料費の高騰など、さまざまな事象が発生しており、EC運営に大きな影響を与えています。このような社会環境の変化や先行きの不透明感によって、従来問題視されなかった仕組みやシステムにおいて新たなリスクが顕在化しており、多くのEC事業者様が新たな課題に直面しているのです。

そのようななかで当社に対して、在庫の適正化や拠点配置の見直しなどに関する多くのお問い合わせをいただいています。一方で、コスト削減やサプライチェーン最適化のために、なにから手を付けていいのかわからない、という声も多く見受けられます。このようなEC事業者様において、どのような施策が効果的なのか、またその施策の効果を判断するためにも、まず現状を把握したい、というニーズが高まっているのです。

ーサプライチェーン最適化に向けて、EC事業者に求められる取り組みについて教えてください。

ECのサプライチェーンには、商品の調達から倉庫でのオペレーション、輸配送、販売に至るまでの物流においてさまざまな過程があります。例えば、倉庫の在庫量増加を抑えたい場合、一般的に取り組まれる対策がリードタイムの短縮です。ところがリードタイムの短縮だけを念頭において航空便を使ってしまうことで、かえって輸送費がかさんだ、といったことが起こってしまいます。

このように、サプライチェーン全体の現状を把握しないまま施策に取り組んでしまうと、かえって全体でのコスト増につながる、というケースも珍しくありません。このような事態を招かないためにも、サプライチェーン全体での現状把握を行い、そのうえで最適化施策に取り組むことが重要なのです。

サプライチェーン全体の最適化には、全ての部門での一貫した対応が必要です。そのため部門を超えて改革の必要性を認識し、足並みを揃えることが求められます。EC事業者様内での連携により、当社へ提供いただける資料やデータの質も変わってくるので、結果としては診断の精度にも影響してきます。

実際にカルテで使用した図表のサンプル

現状把握により荷主事業者の経営課題を明らかに

ー物流診断サービス「ロジスティクス・カルテ」について教えてください。

「ロジスティクス・カルテ」は、荷主事業者を対象に、お客様のサプライチェーンにおける物量やコストを整理、可視化するサービスで、いわば「物流の健康診断」です。お客様から請求書などのデータをお預かりし、サプライチェーンの可視化やコストの評価などを実施。データ授受からおよそ3週間で、健康診断と同じように、A3用紙両面1枚のレポートを作成します。

まず、頂いた請求書などのデータを8つの費目に整理。年間でのコストを把握し、該当する費目に振り分けます。そのうえで、売上に対するコスト比率や費目別割合などを算出。これにサプライチェーン全体を図式化したものを併記し、物量やコストを可視化します。さらに、ベンチマークとしての数値も合わせて記載し、お客様の現状の手段が適正かを判断しやすくしています。

この他に、お客様が抱えている課題を事前にヒアリング。お客様の経営課題に合わせた独自の診断やシミュレーションを行います。例えば、ある健康食品販売会社様は、事業継続計画(以下、「BCP」)への対応とコスト削減の実現に向けた改革を進めるにあたり、具体的な改善策を検討するためにご利用いただきました。その際には、拠点ごとの災害リスクや拠点配置によるリードタイムの変化など、拠点のBCP評価に加え、滞留している在庫の適正化についてのシミュレーションを実施。担当者様が診断結果をもとに、現場へのオペレーション改善を進めたことで、サプライチェーンの改善につながったというお声を頂いています。

他にも、倉庫のキャパシティと売上計画とを照らし合わせた計画のシミュレーションや、倉庫内のレイアウト、ライン作業のオペレーション改善など、お客様の課題に応じてさまざまな診断・評価を提案しています。また、すでに課題感を持っている荷主事業者様からお問い合わせいただくので、改善の時期を逃さないよう、診断結果はスピーディに提供できるよう努めています。

課題の抽出から取り組むことで、サプライチェーン全体での最適化へ

ーサービスの開始に至った経緯について教えてください。

すでに取引のあった、とある荷主事業者のお客様から、調達から消費地までの物流改善提案を求められたことがきっかけです。その際当社では、サプライチェーン全体を可視化し、具体的にどこにいくらかかっているのか、現状を把握することから取り組みました。この現状把握の提案には、お客様からも評価いただきました。そこで、独立したサービスとして提供できないかと、1年かけて具体化したのです。

とくに海外からの調達や海外への配送など、グローバル取引のある事業者様においては、調達がブラックボックスになるケースなど、サプライチェーンの現状把握に労力がかかるため、よりメリットを実感いただけると思います。

通常の営業では、お客様の課題に対して提案することがほとんどです。そのため提案する内容は、顕在化した課題に対する部分最適なものになりがちでした。しかし「ロジスティクス・カルテ」では、まずお客様の現状を把握し、こちらがお客様の抱える課題の抽出を行います。その課題を踏まえ、サプライチェーン全体での最適なソリューションの提案をSGホールディングスグループが連携することで実現しているのです。

他社様の業務改善サービスも部分最適にとどまるケースがほとんどなため、サプライチェーンを俯瞰したうえで提案できるところが、このサービスの強みだと考えています。サプライチェーン全体を可視化する機会は意外とありません。コスト診断とサプライチェーンの可視化により、どこに改善が必要なのか、判断できるようにしています。

お客様のニーズに合わせた多彩なオプションを実装予定

ーロジスティクス・カルテは他の物流コンサルサービスと比べると非常に安価ですが、安さを実現するための工夫があるのでしょうか。

コンサルティングの部分で利益を追求しようとしていない、という背景があると思います。現状を把握していただいたお客様には、当社のサービスを合わせてご提案します。その一部が受注につながれば、という認識です。

ーロジスティクス・カルテの今後の展望について教えてください。
まずは、お引き合いの多い業務改善のコンサルティングのサービス品質改善を目指します。今年度中にはオプションサービスとしてリリースしたい考えです。また帳票について、データ化・システム化されておらず、紙面で保管している場合でも対応できるよう、データ化の作業から対応するオプションサービスも実装予定です。さらに、脱炭素などの環境問題への対応について評価してほしい、というニーズもあるので、こちらも検討していきたいと考えています。

ロジスティクス・カルテの問い合わせはこちらから▶