EC成長にリアル店舗の活用を マルイの出店サービス「OMEMIE」

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(左から)テナントサクセス推進室課長の清水将貴氏、チーフリーダーの池田翔氏

ECの利用率が高まる昨今。オンラインストアの数も急増しており、顧客にリーチしにくい状況が続いている。こうした現状に新たな風を吹き込むサービスが、株式会社丸井(本社:東京都中野区、代表取締役社長 :青野真博)による「OMEMIE(オメミエ)」だ。オンライン上で申し込みが完結し、簡単にマルイ店舗に出店できる同サービスは、ECと併用することで売上拡大のみならず、顧客とのコミュニケーションや更なるファン化も期待できる。「OMEMIE」の特徴や、EC事業者へのメリットについて、同社テナントサクセス推進室課長の清水将貴氏と、チーフリーダーの池田翔氏にお話を伺った。

簡単に、マルイ店舗でポップアップイベント。出店に関する各種サポートも充実

——まずは、「OMEMIE」のサービス内容について教えてください。

チーフリーダー・池田翔氏(以下、池田) 
「OMEMIE」はマルイ店舗への出店の検討から問い合わせ、契約までの手続きがオンラインで行える丸井独自の出店サービスです。ポップアップ型のイベントや出品型のイベントなどさまざまな出店形態をご用意しており、これまでリアル店舗への出店経験がない方でもチャレンジしやすいサービスとなっています。スタートして1年で、OMEMIE(オメミエ)を通じたポップアップイベントの開催は1000回を超えております。

——「OMEMIE」の独自性について教えてください。

池田 まずは、スペースの面積・設備・出店料などをサイト上で確認できる点です。商習慣上、特に出店料については開示していない商業施設が多いですが、当サービスではこれらをすべて開示することで、リアル店舗への出店が未経験のECプレーヤーの方や個人事業主の方も気軽に出店を検討いただけます。また、商業施設への出店時は電話問い合わせが必要だったり、手続きが煩雑だったりする場合が多いなかで、「OMEMIE」はオンラインで申し込みが完結します。

実際に「OMEMIE」をご活用いただいた方の感想として「出店時の問い合わせのハードルが下がった」「オンライン上で申込みができたため、出店までの手続きがスムーズにできた」といった声をいただいております。さらに、出店サポートも充実しており、売場経験豊富なマルイのスタッフが最適な場所の提案や売場づくりまでアドバイスさせていただくほか、必要な場合は販売員の手配も行います。

テナントサクセス推進室課長・清水将貴氏(以下、清水) 各マルイ店舗の出店料や、周辺のテナントを確認しながら検討できるのは大きなメリットになると思います。出店料を公表することに全く躊躇しなかったという訳ではありませんが、開示することで出店を検討する事業者の安心につながることを最重要視しました。

——実際にどのような業種の事業者が利用していますか?

池田 食品、アパレル、雑貨までさまざまです。EC事業者も多くいらっしゃいます。また、リアル店舗への出店は初めてといった事業者が半数以上を占めているのもOMEMIEの特徴です。通常、百貨店への出店では売上に対して手数料をお支払いただく形が多いですが、マルイ店舗への出店料は固定となっているため、商品・サービスのPRやサンプル配布、新商品のテストマーケティングや各種体験会など、売上を目的としないポップアップ出店がしやすくなっております。

清水 短期間の出店も可能で、1日から利用が可能ですが、イベントの効果やお客様の認知獲得を考慮すると、1週間前後〜のご利用をおすすめしています。

チーフリーダーの池田翔氏

リアル店舗の活用が、事業成長につながる

——「OMEMIE」のサービス開始の背景について教えてください。

池田 これからはより個人やスモールなチームが活躍していく時代になると思います。ECの世界では既にその傾向が顕著に見られる一方、リアル店舗への出店に関してはまだまだハードルが高いのが現実です。よって、OMEMIEは、オンライン上で、誰もがリアル店舗に挑戦できる環境を整えたいと考え、スタートしました。私たちは、これを「小売りの民主化」と呼んでいます。

——EC事業者がリアル店舗を持つことには、どんなメリットがあるとお考えですか?

池田 日本のオンラインショッピングでの消費は、過去10年で約4倍になったともされています(※1)。一方、オンラインストア数はその約10倍ともいわれており、ブランドはより埋もれやすく、お客さまにリーチしづらい状況になっています。こうした状況において、リアル店舗を上手く活用することが、EC自体の成長につながると考えます。実際にリアル店舗とオンラインを併用しているほうが、継続利用率や購入率が上がるというデータもあります。

清水 リアル店舗では商品に直接触れてもらえるのが大きいですよね。SNSでも、EC事業者に「ポップアップストアを出してほしい」といった声が多数寄せられていると聞きます。

また、ECをはじめたばかりの方は最初の売上を立てるのに苦労するといった声も聞きます。リアル出店をすることで、新規顧客の獲得やLTV(顧客生涯価値)の向上も狙えます。また、売上の増加だけではなく、顧客接点の拡大という視点も大切なポイントです。リアル出店を検討される事業者は、まず出店の目的を明確にしておくことが重要になってくると思います。

池田 お客さまとのエンゲージメントを深めたり、更なるファン化を促進したりするコミュニケーションの場としての利用、売上以外を目的とした出店も数多くあります。例えば、地方の特産物を都心で紹介することで認知を拡大した事例や、ブランドのインフルエンサーが直接店舗で販売する事例など、さまざまな顧客接点拡大のイベントが開催されております。

清水 そのほかに、接客時の会話から定性的なユーザーの声を拾えるのも、リアル出店の強みです。また、マルイへの出店実績そのものが、安心感の醸成やブランディングにも直結するといったお声もいただいており、出店者によってメリットはさまざまです。

※1: 総務省の「家計消費状況調査」によれば、2012(平成24)年の「インターネットを利用した支出総額」は平均6万923円、2021年(令和3年)の「インターネットを利用した支出総額(22品目計、平均)」は1カ月が約1万9188円なので1年で約23万256円

テナントサクセス推進室課長の清水将貴氏

商品を送るだけ!販売スタッフ・什器完備のスペースもあります

——EC事業者がリアル店舗を出店する際に生じる課題には、どのようなものがありますか?

池田 ECの開設に比べて、店舗への出店は契約書の締結など、プロセスが多く、煩雑です。これを理由に出店を諦めている事業者もいらっしゃいます。その点、「OMEMIE」は、オンライン上で簡単に申込から契約まで完結できるところがメリットです。

清水 初出店者はスペースの使い方や演出、接客に戸惑うこともあると思います。売場づくりや接客のサポートはもちろん、エリアや店舗の特性をご説明し、商品やサービスに合った出店場所の提案も行っています。

——「OMEMIE」を有効活用している事例を教えてください。

池田 新作商品のPRや、食品の実演販売、商品のニーズ収集など、新規客獲得をめざしてテストマーケティングを目的に未開拓のエリア・店舗への出店など、さまざまな活用事例があります。ワインや日本酒の試飲会や、健康器具のお試し利用、ファンとの交流イベントなど、リアル店舗ならではの使い方も好評です。

また、現在ではWEB広告費用も高騰していますので、CPAが上がったと感じているEC事業者の方も多いと思います。出店費用を「販促費」としてとらえ、リアル店舗を活用して新規顧客獲得を実現することもポップアップの活用事例としておすすめです。

清水 複数の出店者で区画をシェアすることで費用を抑えながら集客することも可能です。例えば、ハンドメイド作家同士で集合型イベントを実施することで、顧客の相互送客が実現できます。

池田 運営はマルイに任せて小さな面積で出店できる concept shops(コンセプトショップス)はEC事業者に特におすすめです。この形態は商品を送るだけで、出店中の販売や接客、お客様の声の収集をマルイのスタッフが担当します(※新宿・有楽町・上野・博多の4店舗で実施中)。少人数でECや商売をしている事業者にとって、販売員の用意や接客に対する抵抗がなくなるため、とてもオススメのサービスです。

店舗の運営経験が豊富なマルイスタッフが、最適なスペースや出店プランをご提案

「OMEMIE」が目指す未来

——「OMEMIE」の未来像を、どのように描いていますか?

清水 「OMEMIE」には、さまざまな可能性があると感じています。例えば、一般的な商業施設には類似性の高いテナントが入っていることが多いですが、「OMEMIE」では、これまで商業施設とは接点がないような事業者が多く利用しているため、店舗・フロアの差別化、テナントの多様化に貢献します。

さらに、今後「OMEMIE」に続いて多くの商業施設がスペースに関する情報や出店料をオープンにしていくことで、出店へのハードルが下がり、業界全体の活性化にもつながると考えています。分断して考えられがちなリアル店舗とECですが、お客様からすれば同じひとつのお店であり購買行動です。「OMEMIE」を通じ、お客さまの状況に応じて最適な出店方法を選択できる環境づくりに励み、出店サイトなら「OMEMIE」と最初に想起されるようなサービス認知の向上をめざしたいと思います。

池田 さまざまなブランドや商品がECやOMEMIEを通じたマルイ店舗の出店によって、世の中に発信されていけるといいなと思います。
またマルイもさまざまなブランドがイベント出店していただけることで、施設価値が向上し、店舗に来られるお客さまも満足いただけるかと思います。イベント出店してみたいけど、さまざまな壁によって躊躇されていた方は、ぜひ一度「OMEMIE」のご利用を検討いただければと思います。

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