アリババB2Bのサポートで広島から世界へ発信 誤嚥防止の“医療用吹き戻し”

ECのミカタ編集部 [PR]

株式会社ルピナス 代表取締役社長 山本直愛氏

2022年は円安の影響もあり、再脚光を浴びることの多かった「越境EC」。しかしそれより以前から都市部だけでなく、地方の事業者も越境ECを活用し、新たな販路を見出し躍進しているケースも見られるようになった。一方で、言語の壁などから越境ECそのものに高いハードルを感じる事業者も依然として多い。その差はどこにあるのか。越境ECの経験ゼロからスタートし、自社開発した“医療用吹き戻し”「長息生活」の販路を大きく拡大している広島県三次市の株式会社ルピナス代表取締役社長 山本直愛氏と、そのサポートをしたアリババ株式会社 グローバルB2B事業部 松岡佳那氏に話を聞いた。

あの「吹き戻し」が、誤嚥防止のトレーニングキットに進化

──株式会社ルピナス様の事業概要について教えてください。

株式会社ルピナス代表取締役社長 山本直愛氏(以下、山本) 私たちは広島県三次市で、予防をキーワードとした口腔ケア用品などの販売と新商品の開発をしています。もともとは医薬品の卸から始まった企業でしたが、福祉用具貸与事業所を立ち上げて、介護の現場に深く関わるようになりました。その中で、フレイル(加齢による心身の衰え)、特に誤嚥の原因となるオーラルフレイル(口腔の衰え)を予防することの重要性を痛感し、「ピロピロ」とか「吹き戻し」と呼ばれている昔からある玩具に着目したのです。

──なぜ吹き戻しに着目されたのでしょう。

山本 フレイル予防のトレーニングはたくさんあるのですが、どれも高齢者には負担が大きく、つらくて続けづらいという声をずっとお聞きしていました。そこで「楽しみながら、呼吸力や嚥下力を鍛えられる」ツールを模索していたのです。「吹き戻しなら高齢者の方でも子供のころを懐かしんで楽しみながら、呼吸トレーニングに取り組んでもらえる」と気がつき、産学連携で大学と一緒に「長息生活」を共同開発させていただきました。

ルピナス「長息生活」

その後も「楽しみながら続けられるオーラルケア製品」に特化して開発し、甘くておいしい液体歯磨き「キララデンタルリンス」、フルーツ味の歯垢染め出し液「FRUITY」などを発売しています。例えば、脳性麻痺のお子さんなどは味が嫌だと口すら開けてくれなくなるので、口腔ケアがそもそもできなくなってしまうことがあります。ですから口腔ケアにたどりつくためのファーストステップとして、「おいしそうだから口を開いてみようかな」と思ってもらえることを目指して開発しました。

「長息生活」はご高齢者の多い病院や施設などに納入して使っていただいていたんですが、「自宅でも使いたい」「友達と取り組みたい」という人が増えていました。でも私たちは当時、直販チャネルを持っていなかったので、一番必要な方々に直で届けられないというもどかしさがつのっていったんです。代理店さんを通すことも検討したのですが、そうすると商品の値段が高くなり、必要な人が求めにくくなってしまう。それで、一番使いたいと思ってくださる方が購入しやすい仕組みを考えたところ、行きついたのがEC。その構想を練っていたときにタイミングよく、アリババグループのグローバルB2Bマッチングサイト「Alibaba.com」の営業の方からお声がけいただいたのです。おかげで国内向けD2C(消費者直接取引)サイトの立ち上げと、越境ECを同時に考えることができるようになりました。

フレイルケアを必要としている中国の方にも届けたい

──なぜ越境ECを始められたのでしょう。

山本 鳥取県に、嚥下トレーニングやオーラルケアにすごく力を入れている社会福祉法人こうほうえんという介護老人福祉施設があり、そこで「長息生活」を使ってくださっていました。このこうほうえんの先生が、中国の高齢者施設に口腔ケアの指導に行く機会があり、講習で「長息生活」を使ってくださいました。すると見た目に反してかなり本格的なトレーニングが行えるということで、大人気になり、「どこで買えるのか」とたくさんの人に尋ねられたと言われました。でもお話を聞いた時点では、どうやって中国の方たちに届けたらいいのか、私たちにはわかりませんでした。アリババB2Bさんからお話をいただいたのは、偶然にもそのタイミングだったんです。

中国でも高齢化は加速度的に進んでいますが、日本のようなオーラルケアやフレイル予防の重要性がまだ根付いておらず、どうしたらいいかわからないという人が多いと聞きました。そこで、中国のみならず世界を相手に越境ECを始めようと、本格的に考えるようになりました。私たちは貿易ができるような大きな会社ではないので、アリババB2Bさんにお声がけいただかなかったら、踏み出せなかったと思います。

おかげさまでは今では世界のいろいろな国から問い合わせが来て、驚く毎日です。

アリババ株式会社 グローバルB2B事業部 松岡佳那氏(以下、松岡) 「Alibaba.com」は190以上の国や地域のバイヤーが登録する 最大級のB2Bマッチングサイトです。1日に発生する問い合わせなどのアクション総数は約30万件、月間でいえば1,000万件にも上ります。ですから商談の問い合わせもいろいろな国から来るのが特徴です。

「長息生活」は1つ1つ丁寧に手作業で作り上げられている

世界中から、毎日熱心な問い合わせ 販路拡大を実感

──どういったエリアの国が多いのでしょう。

山本 アメリカが最も多く、次に中国やアジア圏、オーストラリア。ヨーロッパではイギリス、それにアフリカからも問い合わせがありました。「長息生活」はお子さんの虫歯の原因となりやすい口呼吸改善にもつながるのですが、海外だと日本のように歯科医療が気軽に受診できないケースが多いということも、この商品が注目された理由のひとつかもしれません。

──越境ECで難しいと感じたことはありますか。

山本 実は国内外問わずですが、私たちにとって最大の課題は、この商品が写真を見ただけでは何をするものなのか、伝わりにくいことです。吹き戻しと同じ形状の玩具がある国でも呼び名の違いは大きく、アメリカでは「Party horn」(パーティー用の笛)と呼ばれていると聞きました。もちろん吹き戻しの文化が全くない国となると、さらにどう伝えればいいのか、頭を悩ませます。ですので現状では、ひたすらメリットをお伝えすることにしています。

心がけているのは、普通のおもちゃではなく、負荷が段階に分けていて、高齢者の誤嚥の防止対策ができたり、お子さんの虫歯の原因になる口呼吸を改善できたり、お母さん世代でしたらほうれい線対策やダイエットにいいですよ、など、年齢層や分野を分けたPRにすること。ターゲットを分けた訴求自体は、もともと三世代にわたって使えることをコンセプトにしている「長息生活」としてはスムーズにできています。

「長息生活」から生まれた「長息美人」はパッケージも和風に仕上げている

アリババを使って中国本土向けの越境B2Cも

山本 2022年12月からは、Alibaba.com出展企業が利用できる「プラスチャイナ」というオプションで、中国国内向けの「Tmall Global(天猫国際)」にテストマーケティングで出品しています。まだ始めたばかりで数字は把握できていないのですが、20~30代がターゲットということなので、その年代の方にも知っていただけるのではと期待しています。

松岡 「Alibaba.com」でB2Bに進出している方限定で、気軽に中国国内向けのB2Cを始められるサービスとして2022年から新しく始めた販路開拓サービスが「プラスチャイナ」で、そちらを活用いただいて「Tmall Global」に出品していただきました。「Alibaba.com」はB2B向けですのでバイヤーの方が見るものとなっていますが、「Tmall Global」はB2Cなので、一般のお客様にも情報が届けられます。

山本 「こうほうえん」の先生も、今後、中国に行って指導する時に「『長息生活』はここで買えるよ」と教えてあげられる、と喜んでいらっしゃいました。

株式会社ルピナスは広島県三次市に拠点を置く

オンリーワンの商品なら、求める人は世界中にいる

──実際にAlibaba.comを使って越境ECを始められて、すごく効果を実感されているわけですが、地方発の越境ECはまだ少ないですよね。どんな企業さんにおすすめしたいですか。

山本 オンリーワンの商品を作っていらっしゃる企業さんですね。皆さん、良い商品をお持ちですが、知っていただければ求められる方が世界中で見つかる、というケースはとても多いと思います。ある意味マッチングさせるためにも、まずは越境ECに飛び込まれてみるといいと思います。

──越境ECに不安を抱いている方へアドバイスをお願いします。

山本 私たちのような小さな企業が海外を相手にECを展開することは、以前であれば考えもしないことだったと思っています。実現できたのは何でも相談できるアリババさんがサポートしてくださったからです。単に出展サポートをしていただくというだけでなく、例えば「(同じ英語でも)こう伝えれば、海外の人にはもっとわかりやすくなる」といったことを始め、様々な課題をいただき、そこで気づきを得させていただいています。WEBで定期的に面談をしていろいろ相談したり、わからないことがあった時に電話でアドバイスをいただいたり、日々手厚いサポートをしていただいています。本当に心強いパートナーだと思います。

PC1台、担当1人から始められる海外展開! Alibaba.comセミナーはこちら


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事