【前編】運用コストが軽減したMUUU。ShopifyベースのECソリューション「BiNDec」とは
人気ECカートシステム「Shopify」。そのエンタープライズ向けプランの「Shopify Plus」は、より多種類のアプリで機能拡張が可能となり、外部の決済サービスを使用する際の取引手数料も安価になるなど、特に一定以上の売上規模がある事業者にはメリットが多い内容となっている。
今回は、「Shopify Plusパートナー」としてEC構築・運用支援やアプリ開発を行う株式会社ウェブライフ、オンライン決済代行サービスを展開するSBペイメントサービス株式会社、そして実際に「Shopify Plus」で構築されたUUUM株式会社の公式オンラインストア「MUUU(ムー)」を運営するP2C Studio株式会社(UUUMグループ会社)の3社を招いて、「Shopify Plus」の導入事例や、強みを最大限に発揮させるソリューションおよび決済サービスについて語ってもらった(本記事は前後編の前編となります)。
<参加者>
P2C Studio株式会社 端山雅一氏
株式会社ウェブライフ 山岡義正氏
SBペイメントサービス株式会社 塩原和秀氏・鈴木虎太郎氏
コスト減・工数減に成功。「Shopify Plus」がもたらしたものとは
──まずP2C Studio株式会社の事業内容や提供するサービスについて教えてください。
P2C Studio株式会社 ECソリューショングループ ゼネラルマネージャー 端山雅一氏(以下、端山) P2C Studio株式会社は、インフルエンサー・マネジメントを行うUUUMのグループ企業です。P2C(Person to Consumer、PtoC)領域における「ヒトを起点としたブランドづくり、モノづくり」に携わる事業を展開しています。ブランド企画、商品開発、統合マーケティング、実店舗・EC販売までを一気通貫で実施し、EC事業では人気クリエイター・インフルエンサーの公式グッズを販売するオンラインストア「MUUU」や、各クリエイターのブランドサイトを運営しています。
取り扱うグッズはアパレルからキーホルダー、プロテインまでさまざまです。最近では、トップクリエイター、フィッシャーズが手がけるブランド「Dotene」の「お金グミ」などや、錦戸亮さん・赤西仁さんがそれぞれプロデュースする香水の企画販売にも携わりました。
──ECサイト「MUUU」を始めた経緯はどのようなものでしたか。
端山 背景にあったのは、アドセンス以外の収益体制を整え、クリエイターに新しい活動に励んでもらいたいという思いです。売上はもちろんですが、ファンの皆様にグッズをお届けすることで、エンゲージを深めてもらうことも目的としています。「MUUU」は2017年12月にローンチしたのですが、昨今ではアドセンス以外の収益を、ブランドグッズの売上が牽引するまでになっています。
──P2C Studio株式会社では、2021年2月に「MUUU」のシステムを「Shopify Plus」にリプレイスされています。「Shopify Plus」を選んだ決め手はどこにありましたか。
端山 もともとフルスクラッチでサイトを制作していたのですが、クリエイターやユーザーの使いやすさを追求するために、多大なコストと工数を要しており、リプレイスを検討するようになりました。株式会社ウェブライフの山岡様にご相談しながらさまざまなカートを検討した結果、
【1】現状のサイトでできていることがリプレイス後も同じようにできる
【2】工数やコストの負担を減らせる
といった条件に最もマッチする「Shopify Plus」を選択しました。
株式会社ウェブライフ 代表取締役 山岡義正氏(以下、山岡) フルスクラッチでランニングコストもかかっていた状況のなかで、「Shopify Plus」のコストメリットを感じていただけたと思っています。
事業展開のスピードUP。高負荷に強いのも魅力
──株式会社ウェブライフの山岡さんにお伺いします。最近のECにおける課題について、どのようにお考えでしょうか。
山岡 日本のEC化率は約8%ですが、これは10%を超えるアメリカや、30%を超える中国など(※)、米中と比較すると低い数字となっています。一方でコロナ禍も後押しし、ここ数年は日本でもECでの購買体験が日常のなかに定着しつつあり、店舗とWEBの隔たりなく楽しめる時代になってきているのを感じます。
こうした状況のなかで、課題として感じるのはやはりスピード感です。パッケージ型のECプラットフォームやフルスクラッチでECを構築するケースは多いですが、些細な修正でもコストや工数がかかるのも事実で、日本独特の商習慣や慎重さもスピードアップを妨げる要因になっています。例えば海外では3〜4カ月で「Shopify Plus」の導入からリリースまでが完了する一方、日本だとおよそ半年〜1年、大規模なECでは2年かかるケースもあります。
──他カートにはない「Shopify Plus」の強みとは、どのようなものでしょうか。
山岡 短期間での導入が可能で、かつ充分なソリューションが展開できる点だと思います。アプリは8000個を超えており、非常に早いスケジュール感でECストアを構築することが可能です。こうしたECプラットフォームは他になかなかないのではないでしょうか。また、瞬間的なアクセス急増にも強く、サーバーが落ちる心配がほぼないのも安心です。
(※)経済産業省『令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書』によれば、EC化率(推計)は日本8.78%、米国13.2%、中国は30%超となっている
https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220812005/20220812005-h.pdf
最適な機能拡張や実店舗との連携を実現。「BiNDec」とは
──株式会社ウェブライフでは、D2Cに最適化したECソリューション「BiNDec(バインド・イーシー)」を提供されていますが、どのようなサービスなのでしょうか。
山岡 「BiNDec」は、Shopifyをベースに拡張性ある独自アプリ「BiNDec App(バインド・イーシー・アプリ)」を提供しつつ、売上向上やコスト削減などあらゆる課題に合わせて最適なECの構築や運用を支援する法人向けのサービスです。
先ほどご説明したように強みの多いShopifyですが、ポイント機能や日時指定機能など、日本の商習慣から求められる機能が標準で付いていないという側面もあります。当サービスでは、そうしたニーズの高い機能を自社開発のShopifyアプリとして数十種類以上、提供していくため、お客様の状況に応じて、最適な導入機能を短期間で導入実施できます。また、サードパーティのShopifyアプリについても最適な機能を選定しコーディネートしており、海外のアプリであれば必要に応じて英語での問い合わせも代行しています。多様な課題に合わせてコーチングや相談までを実施するこのサービスは、「Shopify Plusパートナー」に認定された数多くの実績がある当社ならではのもの、と自負しています。
──実店舗との連携にも強いサービスなのでしょうか。
山岡 店舗受け取りをはじめ、リアルとオンラインの循環が進み、実店舗とECサイトの両方を運営する事業者様も増えています。こうした状況に応えるべく、当サービスでは実店舗とのPOSデータ連携、ポイントサービス、シークレットセールなど、顧客育成とLTVを向上させる販売促進を実施することが可能です。Shopifyも自らを「マルチチャンネル・プラットフォーム」と称しており、POSも機能アップしていくそうですので、リアルとオンラインの垣根をなくすサービスの進化がこれからますます楽しみです。(後編に続く)
後編内容
■「Shopify Plus」導入で「MUUU」に起こった変化
■セキュリティ面も安心。SBペイメントサービスの強みとは
■決済手段を拡張し、最高の「使い心地」を追究