レビュー投稿数300倍でECも実店舗も効果実感 東京シャツがReviCo導入でできたこと
ECにおける「レビュー」の重要性が理解されるようになって久しいが、レビューの活用はECサイトの購入率向上以外にも、さまざまな効果をもたらす。実店舗とECを運営する東京シャツは、レビューマーケティングプラットフォーム「ReviCo(レビコ)」導入で、レビュー投稿数300倍を達成。さらに、店舗スタッフによるスタッフレビューを活用することで、ECと店舗の双方に好影響が出ている。同社の取り組みについて、東京シャツ株式会社 E-commerce部 部長の加藤翔太氏に聞いた。
ECサイトのリッチ化を目指し、レビュー活用を強化
──東京シャツ様の事業内容についてお聞かせください。
当社は国内に120店舗を展開するビジネスワイシャツ専門のSPA(製造小売業)企業です。メインターゲット層は40~50代で、売上構成比は男性向け70%・女性向け30%です。
ECには2004年に参入。Yahoo!ショッピングにECサイト1号店をオープンしたのを皮切りに、2009年には楽天市場にも出店。2013年に自社ECサイトをオープンし、近年は特に自社ECに力を入れており、現在の売上全体に占めるECの割合は約20%。EC売上のうち自社ECが6割を占めるまでに成長しました。
──「レビュー」に注目したのはなぜでしょう。アパレルは販売サイクルが短い(レビューが集まっても販売終了となる商品が多い)中、どのような目的で始めたのでしょうか。
アパレルは販売サイクルが短いアイテムもありますが、やはり購入率を上げるには、レビューを通したECサイトのリッチ化が重要だと考えたからです。以前はカートシステムに備わっているレビュー機能を利用していましたが、積極的にレビュー投稿を促していなかったこともあり、レビューがほとんどない状態でした。せっかくレビューが投稿されたとしても、商品詳細ページの目立たない箇所への掲載だったため、レビューの活用強化は以前からの課題でした。
2022年11月にECサイトのリニューアルが決まり、その一環としてレビューもテコ入れをすることになりました。
──アパレルの中でも、御社で扱うワイシャツなどの商材では、ユーザー属性や買い方に特徴はありますか? また、そのために実践している取り組みがあれば教えてください。
当社が主力としているメンズワイシャツは、1商品につき10ほどのサイズ展開があります。首回り・袖丈を含むサイズがわからないと、素材や衿型、カラー、デザインなどを選ぶ次のステップに進めません。そのため、店頭で接客をする際は、まずはサイズを把握することがファーストアプローチになります。
それを参考にして、ECサイトでのレビュー投稿画面では、身長・体型・体重・普段の着用サイズを選べる項目を用意しています。プロモデルの着用画像だけではリアルなイメージが伝わりにくいこともあるので、自分と体型が近い方のレビューを参考にしていただくことで、購入のハードルを下げたいと考えたためです。
ReviCo導入でレビュー投稿数が300倍! 買い物体験が向上
──レビュー活用強化にあたって、ReviCoを導入した理由をお聞かせください。
ReviCoは、さまざまなカートシステムに導入が可能ですが、特に当社が利用しているカートシステムであるecbeingと親和性が高いため、導入にあたる大きな開発がなく、導入後の改修もしやすいため、レビューツールとしてはReviCo一択でした。
──ReviCoはもともとecbeingが開発したのですよね。だから導入がスムーズだったと。では、ReviCo導入により、どのような成果がありましたか。また、その要因はどこにあると考えていますか。
ReviCoを導入したことで、レビュー投稿数が300倍になりました。購入数に対するレビュー投稿者の割合は約8%にのぼっています。ReviCo導入前はお客様の自主的な投稿に任せる「待ち」の状態でしたが、ReviCo導入により購入から1週間後、未投稿者にはさらに1週間後、計2回レビュー投稿依頼メールが自動で送られるようになりました。レビュー依頼メールからReviCoが実施するプレゼントキャンペーンにも応募できるようになっているため、レビュー数の増加は定期的な自動メールとインセンティブによる効果が大きいと感じています。
──レビューが増えたことで、どのような効果を感じていますか。
商品詳細ページでレビューを閲覧したユーザーと、閲覧していないユーザーを比較すると、レビューを閲覧したユーザーの購入率は約1.6倍高くなっています。また、直帰率やセッション時間などにも良い影響が出ており、サイトの回遊性向上につながっています。
サイトリニューアル前に行ったアンケートから、当社のお客様が普段ファッションの参考にしている情報源の2位が「ショップスタッフ」であることがわかりました。ワイシャツというアイテムでもショップスタッフが2位というのは想定外で、メインターゲットの40~50代は、体型の変化もあってリアルな情報を求めているのだと感じました。
自分と似たような体型のお客様のレビューは、購入時の不安解消につながるはずです。当社ではスタッフレビューの活用にも力を入れているので、店舗スタッフの接客トークをレビュー化し、その内容に共感してもらうことで、安心感のある購入体験につながっていると考えています。
スタッフレビュー活用でEC・店舗の双方に好影響
──スタッフレビュー活用の背景をお聞かせください。また、どのようにスタッフレビューの収集・活用をしているのでしょうか。
店舗スタッフにレビューを投稿してもらうことで店舗とECの壁をなくし、店舗スタッフにもECサイトの売上に貢献している意識を持ってもらうために、全社的な売上強化の一環としてスタッフレビューの活用強化を決めました。各店舗に週1回以上の投稿を依頼しており、中には月50件ほどのレビューを投稿してくれている店舗もあります。
──スタッフレビューを活用することでどのような効果がありましたか。
サイト全体の購入率に比べ、スタッフレビューを閲覧したユーザーの購入率は約1.4倍高くなっています。また、男性スタッフのみ・女性スタッフのみの店舗もあり、異性のお客様を接客する際は、タブレットで他店の同性スタッフのレビューを見せることで、店舗の接客力強化にもつながっています。
店舗とECの垣根をなくし、さらなるLTV向上へ
──収集したユーザーレビュー・スタッフレビューはどのように活用していますか。
レビューを参考に購入のきっかけを作れるように、サイトTOPからレビュー一覧ページを設けたほか、未購入者向けにサイトの各所に一覧ページへのポップアップバナーなどを表示することで、導線を強化しています。レビュー一覧ページ内では、欲しい商品をより探しやすくするために自動タグ表示や絞り込み検索を設置しました。また、商品詳細ページでは、レビューランキングの掲載や、お客様の評価をチャート形式で表示するなど、わかりやすさを追求し、日々アップデートを行っています。
店舗では、お客様が悩んでいる際に接客で購入の後押しができますが、ECではそれができません。ユーザーレビューやスタッフレビューは、悩んでいるお客様の背中を押し、購入をアシストする役割を果たしています。
星1つ・星2つの低レビュー評価は、商品部やカスタマーサポート室など他部署にも共有していて、お客様の声に耳を傾けて、商品力向上やサービス改善に取り組むきっかけにもなっています。
──今後の事業の展望についてお聞かせください。またその中で、どのようにレビューを活用していきたいですか。
店舗とECのどちらか一方を利用するお客様よりも、店舗とECの両方を利用するお客様のほうが圧倒的にLTVが高いので、両チャネルを併用してくれるお客様を増やしていくことが会社としての今後のミッションです。そのためには、専門店ならではの商品の質・デザイン・種類の豊富さを武器に、店舗とECを連動させることが大切だと考えています。
ReviCoの活用で、店舗とECの双方にメリットのあるコンテンツが生まれていますし、お客様の生の声には思いがけない発見が隠れているので、レビュー施策は今後も重要な全社施策として取り組んでいきます。
ECサイトにおいては、さらに購入率が上がるレビュー活用を突きつめながら、お客様が安心して購入できる環境を整えていきたいです。