食品の「新機能性表示制度」 ~その最新動向と企業戦略~

日経ヘルスビジネスカンファレンス2014~15

日経ヘルス主催、日本抗加齢協会の後援協力による「日経ヘルスビジネスカンファレンス2014~15」が品川グランドセントラルタワー3階「THE GRAND HALL」にて開催された。

プログラムは以下の通り。

•開会の挨拶
大阪大学大学院医学系研究所 臨床遺伝子治療学教授 森下 竜一氏

•内閣総理大臣補佐官 和泉 洋人氏
「機能性表示緩和の意義と方向性」

•消費者庁次長 川口 康裕氏
「食品の新たな機能性表示制度について」

•独立行政法人理化学研究所 ライフサイエンス技術基盤研究センター・センター長 渡辺 恭良氏
「抗疲労食品の機能性評価試験から見る新機能性表示制度におけるエビデンスと表示について」

•企業プレゼンテーション
新田ゼラチン ペプチド事業部 井上 直樹氏

•公益社団法人 日本通信販売協会理事 ファンケル代表取締役社長 宮島 和美氏
「機能性表示検討の大反省~本当に『消費者のため』だったのか~」

•中央大学人間総合理工学科教授 大橋 靖雄氏
「機能性表示の緩和に伴い必要となる試験の設計と進め方」

•日経バイオテクニシアエディター 河田 孝雄氏
「第3の『保険機能食品』と異次元のゲノム編集技術で機能性食品産業はさらに発展する」

•総括
大阪大学大学院医学系研究科 臨床遺伝子治療学教授 森下 竜一氏

•パネルディスカッション
座長:大阪大学大学院医学系研究科 臨床遺伝子治療学教授 森下 竜一氏
公益社団法人 日本通信販売協会理事 ファンケル代表取締役社長 宮島 和美氏
中央大学人間総合理工学科教授 大橋 靖雄氏
国際栄養食品協会 理事長 橋本 正史氏
公益社団法人 日本健康•栄養食品協会 学術情報部長 宅見 透氏
コーディネーター:日経ヘルスプロデューサー 西沢 邦浩氏

食品には、栄養面での働き(栄養機能)や、味覚や感覚面での働き(感覚機能)のほかに、生体生理機能を調整する働き(体調調節機能)があり、それぞれ、1次機能、2次機能、3次機能と呼ばれている。「機能性食品」の「機能性」とはここでいう3次機能のことであり、食品の3次機能に関する表示は一般に「機能性表示」と呼ばれている。現在日本国内で食品の機能性表示を行えるのは「栄養機能食品」および「特定保険用食品」とされている。
「栄養機能食品」は、栄養成分の機能の表示ができ、例えば「カルシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素です」などで、ビタミンやミネラルなどがあげられる。
「特定保健用食品」は保険の機能の表示ができ、例えば「おなかの調子を整えます」などで、食物繊維やオリゴ糖などがあげられる。

現状では、「国の規格基準に適合した栄養機能食品(栄養機能性表示)」「国が個別に許可した特定保険用食品(構造/機能性表示および疾病リスク低減表示)」の2つのみが機能性表示が可能とされている。
栄養機能食品は12ビタミン5ミネラルの栄養成分に限定され、特定保険用食品は食品ごとに有用性や安全性に係るヒト試験が必須であるため、許可手続きに時間と費用がかかり中小事業者にはハードルが高い。
という、それぞれの課題が存在している。その課題解決に向け、食品の新たな機能性表示制度の検討がなされており、国の審査を経ずに事業者の責任で表示できる新しい制度が来年から始まる。今回は、その最新動向と関わる全ての企業が取るべく戦略について、約5時間6セッションに及ぶ講演がなされるボリュームたっぷりのカンファレンスであった。

特定保健用食品やその他の機能性食品を含む、いわゆる健康食品などの市場規模は2兆円近いと推定されている。EC業界においても、美容食品や健康食品の市場は年々伸びており、関係企業にとって新制度スタートは無視できない展開である。
セミナー内容公開がNGのため今レポートで詳細をご紹介できないのが残念であるが、この業界分野に疎い筆者でも目からウロコな瞬間が多くある非常に濃密な話が相当数展開された。
今後、新たな制度が始まる前に同様の講演会は開催されるはずなので、少しでも関わりのある事業者は知見を深めるため参加してみるのも良いかもしれない。

カンファレンス最後に行われたパネルディスカッションでは、業界重鎮の登壇者たちにより裏話や噂も入り交じる興味深い談話が繰り広げられた。会場に笑いのどよめきが起こることも多々あり、和やかな雰囲気のままカンファレンスは終結した。
その後に行われた懇親会および名刺交換会では、立食パーティー形式で会場に訪れた多くの受講者をはじめ、登壇した講師もが参加しコミュニケーションを深めた。
異業種の出会いも多くあり、ビジネスのチャンスを広げる意味合いでも多くの可能性に恵まれたカンファレンスとなったであろう。


取材/写真/文:島名タスク