10年先を見据えたBASEの進化と改善 プロダクトの力で個人・スモールチームの成長を後押し
ネットショップ作成サービス「BASE(ベイス)」で、「グロースプラン」の料金改定とプロダクトの大幅アップデートが発表された。新機能の拡充はショップオーナーの成功を後押しするためには必要不可欠な英断だ。EC市場の急拡大が予想される10年先を見据えるBASEは何に投資し、どんな未来を描くのか──。プロダクトを提供するBASE株式会社の山村兼司COOに今回の機能拡充の概要や狙い、BASEが大切にする個人・スモールチームへの想いについて、話を聞いた。
累計ショップ開設は210万を突破! 「BASE」が伸びた理由
──まずは「BASE」の利用状況について教えてください。
「BASE」は誰でも簡単にネットショップが作成できるサービスとして2012年にリリースしました。特にコロナ禍以降にショップ開設の需要が急増し、累計ショップ開設数は2023年12月時点で210万を超えました。ショップの運営体制は個人が7割超で、4名以下の個人・スモールチームの利用が99%を占めていますが、近年は法人利用が増えています。また、76%のショップがオリジナルの商品を扱っているのも大きな特徴です(※1)。
――10年で200万ショップとは、かなり順調ですよね。成長の要因はどこにあるとお考えですか。特に個人・スモールチームの利用者に選ばれている理由は何でしょう。
最短30秒でショップを開設できる簡便性が、「BASE」の成長を支えた一つの要因だと思っています。面倒な手続きや書類提出が必要なく、クレジットカードやキャリア決済、後払いなどさまざまな決済機能を即日利用していただける点も、利用者拡大を後押ししました。料金プランは現在、初期費用・月額費用がかからず決済手数料のみで利用できる「スタンダードプラン」と、月額費用はかかるものの「スタンダードプラン」より安い手数料で利用できる「グロースプラン」(2022年4月提供開始)の2つとシンプルです。後者は売上規模が拡大したショップの成長をさらに後押しするためのもので、事業規模に合わせて最適なプランを選べるのは、ショップオーナー様の評価が高い部分です(※2)。
また、実は当社ではネットショップ作成だけでなく、資金調達サービス「YELL BANK(エールバンク)」や、購入者向けショッピングサービス「Pay ID(ペイ アイディー)」、またグループ会社よりオンライン決済サービス「PAY.JP(ペイドット ジェーピー)」などさまざまなサービスを提供しています。(※3)
──個人やスモールチームの方にとって資金調達や決済サービスなどは、個人だけではどうにもならない部分ですし、かなり心強いですよね。
オーナー様の業務負荷軽減・売上拡大につながるソリューションを多面的に提供できるからこそ、個人やスモールチームでビジネスをされている方々に、「BASE」を支持していただけているのだと思います。
※1:「BASE」を利用しているネットショップの運営体制は個人が71.7%、法人(団体)が28.3%。ネットショップで取り扱う商品はオリジナル商品が76.1%、セレクト商品が23.9%(いずれも「『BASE』オーナーズ調査 2023」より)
※2:「スタンダードプラン」の決済手数料は3.6%+40円(サービス利用料3%。月額費用は無料)、「グロースプラン」の決済手数料は2.9%(月額費用は「月払い」が5980円/月、「年払い」が5万9760円/年。サービス利用料0%)。「グロースプラン」のみ2024年1月16日から月額費用が改定され、「月払い」が1万9980円/月、「年払い」が19万8960円/年となる(決済手数料は2.9%のまま。サービス利用料0% )。それぞれ決済方法がAmazon Pay、PayPalの場合、決済手数料にシステム手数料相当額1%が加算される
※3:「PAY.JP(ペイドット ジェーピー)」はPAY株式会社が提供
「グロースプラン」の料金改定、決済手数料は2.9%のままで業界最安水準を維持
――そうした中ですが、2024年1月に「グロースプラン」の料金を改定すると発表なさいました。
はい。2024年1月から、月額費用を4980円から1万6580円(ともに年払いの場合)に改定させていただきます。
――でもこれは、単純に月額費用を上げた、というわけではないんですよね。よくよく見ると、機能がかなり追加されていて、さらに月商が上がれば上がるほどお得になると。
はい。決済手数料は2.9%のままで、料金改定後も業界最安水準を維持します。今回の価格改定は大幅な機能拡充に伴うものですが、価格に見合った機能・サービスを随時追加していく予定です。ショップの売上規模が大きくなっても使いやすい料金体系を維持させていただきましたし、月商が50万円以上あるショップ様なら「スタンダードプラン」より「グロースプラン」のほうがよりお得にご利用いただけます。
――なおかつ、スタンダードプランの価格は据え置く、と。
そうです。個人やスモールチームのチャレンジを後押しするという姿勢はこれからも変わりませんし、より多くの方々に長くプロダクトを使っていただきたいので、月額費用をいただかない「スタンダードプラン」については、拡充された全ての機能をご利用できるようにした上で、価格は据え置きました。
ものづくりが得意なショップオーナーと売ることが得意なショップオーナーのマッチングも
――料金改定と同時に発表した、大幅な機能拡充の詳細もぜひ伺いたいです。
「BASE」では今冬以降、さまざまな機能を実装またはアップデートし、ショップ様の成長支援を加速させていきます。
具体的には、AIを使った商品説明文やSNS投稿文の生成、お客様からの問い合わせ対応、ECサイトのデザインをアシストする3つの新機能や、越境ECの業務負担を減らす「海外販売代行 App」、お届け先の地域や商品の個数・重量に応じて送料を最適化する「送料詳細設定 App」といった機能を追加する計画です(※4)。
また、来春にはものづくりが得意なショップオーナーと、売ることが得意なショップオーナーを「BASE」内でマッチングして集客・販促につなげる「販売パートナー App」の実装や、ショップ独自の会員制度でファンとの関係を深められる「メンバーシップ App」のアップデートなどを予定しています。
※4:「BASE AI アシスタント」は2023年12月6日提供開始。「海外販売代行 App」は12月下旬提供予定。「送料詳細設定 App」は12月4日アップデート
「BASE」という同じプラットフォームを利用する仲間が、“競争”ではなく“共創”できる環境を整えたい
――「BASE」はもちろんのこと、コロナ禍を機にネットビジネスへの新規参入は増えましたが、この傾向は今後も続くとお考えですか。
増えたとはいえ、実は諸外国に比べると日本のEC化率は決して高くないんです。ですから、まだまだ伸びしろはあると思っています。「BASE」の利用状況を見ても、近年は副業などでネットビジネスに挑戦される方が急増しており、ECの世界ではまさに“個人が活躍できる時代”が到来したといえるでしょう。
「BASE」は、誰もが自分のブランドを持ち「自分らしい自由な生き方」を実現できるように、"これが自由に生きるコツ"というコアメッセージのもと、個人やスモールチームのチャレンジを後押しするプロダクトであり続けたいと考えています。
――「個人の挑戦を後押しする」という意味では、これからのEC業界で「BASE」が果たす役割はますます大きくなりそうですね。
ありがとうございます。ネットビジネスは相手の顔が見えないため孤独になりやすいのですが、「BASE」の強みは200万を超えるショップがあること、言い換えれば志を共にする200万人の“仲間”がいるということです。
新機能の実装でショップ同士のコラボレーションやマッチングは今後しやすくなるはずです。「BASE」という同じプラットフォームを利用する仲間が、“競争”ではなく“共創”できる環境を整えるため、進化と改善を続けます。
――11周年を迎えたBASEですが、最後に次の10年に向けた展望をお聞かせください。
今回大幅な機能拡充を行いましたが、今後も事業者様の成長支援のため、集客・販促の強化やショップオーナーへの資金調達・キャッシュフロー改善など幅広い分野で機能をアップデートしていきます。ただし、どんなに機能が多くなっても、個人・スモールチームを支援すること、そしてシンプルであり続けるということに変わりはありません。
「BASE」ではショップオーナー様にしかできない業務を“クリエイティブタイム”と呼んでいるのですが、個人やスモールチームのオーナー様は本当に忙しく、そこに時間を割くことがなかなかできないのが実情です。オーナー様でなくてもできる業務はテクノロジーの力で「BASE」が巻き取り、オーナー様のクリエイティブタイムを最大限創出していくことが、今後私たちに課せられたミッションです。