有名モール三社出展店舗、福袋徹底比較
◆この記事のまとめ
・「ECのミカタWEB」編集部で、Amazon、Yahoo!、楽天、三社出展店舗の福袋を購入
・到着スピードから中身まで、詳細を比較検討
・共通して見られる傾向、および福袋商法の目指すべき位置とは……
Amazon、Yahoo!、楽天の三社出展店舗の福袋買ってみた
年が明けてもうすぐ半月が経とうとしている。正月モードもだいぶ薄れ、全てが日常進行に戻った感のある今日このごろ。皆様はいかがお過ごしであろうか。
毎日EC業界ニュースに接していると、ちらほらと「福袋」に関するニュースを見受けることが増えた。中身に納得がいかなかったり想像以上だったりと内容は賛否両論であるが、福袋ユーザーのレスポンスが形にまとまりだすのはこの時期なのかもしれない。
「そういえばここ何年か福袋買ってないな……」
ふと、そのような思惑が脳裏をよぎる。最後に買ったのがいつで何が入っていたのかも思い出せない。ヒモ付いて喚起されるのは「この値段でこんな物が!!」的な嬉しい福袋ニュース……これだけ売れ続け話題に上がるからには、ユーザーの心を掴み唸らせる何かがあるのだろうか。
そこで、「ECのミカタWEB」編集部で、Amazon、Yahoo!、楽天の三社に出展中の店舗それぞれから福袋を購入してみることに。「何が入ってるか分からないもの」「なるべく同じ価格帯のもの」「カテゴリーは統一する」の三つの前提条件を設け、編集部で弾きだした結論「インテリア雑貨で5,000円くらいの福袋」を探してみた。意外と、中身の見えない(分からない)福袋を探すのに時間がかかったものの、AmazonよりA社、Yahoo!よりB社、楽天よりC社の福袋を選択する。
2015年1月5日23時
に同時に購入ボタンを押した。
まずはどこが一番早く到着するか、タイムトライアルから始めてみよう。
到着ランキングの結果
数日後、続々編集部に到着するダンボール達。パッと見はさすがに普通で、特に福袋感は感じない。「インテリア雑貨」というカテゴリのためか、大きめのサイズ感のものが多いようだ。
到着までのタイムランキングは以下の通り。
1位Amazon「A社」、2位Yahoo!「B社」、3位楽天「C社」
第一位:Amazon「A社」(2015年1月7日13時到着)
第二位:Yahoo!「B社」(2015年1月8日11時半到着)
第三位:楽天「C社」(2015年1月8日12時半)
以上の結果となった。スピードではAmazon「A社」が他に丸一日の差を付け堂々の1位に。
Yahoo!「B社」と楽天「C社」は僅差でYahoo!「B社」が勝利した。
外観比較
パッと見、当たり前ながら平均的なダンボールである。紅白柄に筆記体で「福」一文字が入っているようなものは実店舗用なようだ。もし、ネットで買った福袋がド派手なダンボールで送られてきたらおもしろいと思うのだけれども。
いざ開封!!
いよいよ開封だ。開けた瞬間のインターフェイスは割とどれも同じ感じ。強いて言えばAmazon「A社」だけ御覧のように異彩を放っているかな、という。
それでは、第3位の楽天から順番に中身をチェックしていこう!
楽天「C社」~なんかすげーイイ匂い!~
入ってたもの
・ティーライトキャンドル
・ボディーバー(石鹸)
・アロマキャンドル✕2
・マグカップ
・ルームフレグランス(スプレー式)
~合計6点~
開けた瞬間「あ、なんか外国の匂い」的なイイ香りが漂う。重さとイイ香りの正体はこれらキャンドルグッズであった。中でもアロマキャンドルにひときわ注目が高まり、これ、普通に買ったらそれなりのお値段するんじゃない?的な非常にしっかりした物である。「White Christmas」とちょっと時期はずれなプリントが施されているが、それもまた愛嬌であろう。
元の店舗が、アロマ系の商材に特化した所なだけにストレートなラインナップである。全体的に女性向け、といったところであろうか。
続いて第2位のYahoo!を見てみよう!
Yahoo!「B社」~物量特化型パッケージ~
入ってたもの
・ボールペン✕2
・付箋✕4
・ノート
・カレンダー✕2
・2015年手帳
・ポチ袋✕2
・メモ帳
・レターセット✕2
・ジップパック
・歯ブラシセット
・歯ブラシ単品
・入浴剤
・マグカップ
・ランチボックス
・版画集
・ボディタオル
・プラスチックコップ
・毛布
・タオル
・ペッドボトルカバー
・キッチンポケット
~合計28点~
筆記用具、キッチン雑貨から版画集まで、幅広いジャンルを網羅するとともに物量で勢いを見せるYahoo!「B社」。イチオシ商品という感じではなく「とにかくたくさん詰めてみました!」的なアプローチのようだ。実用性高めの物が多く、柄などこだわらなければ男性でも使える物が多く嬉しいが、前提条件であったはずの「インテリア雑貨」の定義が曖昧になったような気も。
元の店舗が、シネマ系のキャラクターグッズに特化した売りであるらしいのだが、あまりその傾向は見て取れなかった。
いよいよラスト、第1位のAmazonを見てみよう!
Amazon「A社」~Theシンプルイズベスト~
入ってたもの
・ヘンプ地収納ボックス
・木製ペン立て
・カガミ
・フォトフレーム
・ポーチ
・ブランケット
~合計6点~
際立った特徴などはなく、ごくシンプルなラインナップ。唯一、直にダンボールに商品が入っていなく、「HAPPY BAG」というワンクッションがあったものがこちら。普通であるが、一点一点のクオリティは平均して高めである。全品即実用可能で、編集部で取り合いになること間違いなし。中でもブランケットは、自宅の暖房の効きが悪く極寒になりがちな島名宅では重宝しそうだ。写真立てには「父親とキャッチボールをしている幼少時の写真」など入れてデスクに飾れば映画に出てくる軍人みたいでかっこいい(私はそんな写真はもっていないが)。
ユニークかつ個性的な雑貨商材がセールスポイントである元店舗であるが、キワモノに走るのではなく万人受けする堅実な物がチョイスされている印象を受けた。
以上で、三社出展店舗、全ての福袋の開封が終了した。
総評
全体を振り返り思うことは、各モール出展のABC三社とも、きちんと福袋を企画して力を入れてやったのかな?という疑問であった。リピートを意識して販売をするのなら、もう少しラインナップにもひねりがあっても良かったはず。ECという直接店舗の顔が見えにくい売り方で福袋を販売するということがどういうことかを、しっかり考える必要性を感じた。
モールが違えど同様の結果が出たということは、福袋の値段帯にこのような傾向が見受けられるということなのかもしれない。
例えば今回のラインナップでも、商品一点一点に値札を付けたままにしておき「お得感」を喚起する仕組み、一点目玉商品を入れそこに付随して小物を封入する、など、考えられる施策は多くある。期待値が高まりがちな福袋だけに、落差として「がっかり感」に結びついてしまう可能性も大きい。一度がっかりしたユーザーは、もう一度同じ福袋を買おうとはなかなか思わないだろう。時期物で売れやすい商材であるが、安易な売り方をすることで平常時の商品購入にまで悪影響を及ぼしてしまうこともある「諸刃の剣」であることを忘れてはならないはずだ。
つい先日も、某カーグッズショップがネットショップで販売した福袋の、謳い文句と実際の乖離が激しく、購入したユーザーの間で炎上し業者が販売ページを削除して逃げるというニュースがあった。期待値が高まっている分、それを裏切った際のリスクもまた大きいという実例である。
ただ商品を詰めるだけでなく、ユーザーが納得できるポイントも同時に落としこむことが大切なのだ。今回編集部で購入した福袋にしても、一点一点はいい品であるのに統一感のなさなどから本来の商品の魅力が半減してしまっている感覚もある。福袋を買うユーザー心理を自身に置き換えて考えれば、自分が買って嬉しい福袋を企画する思考にいきつくだろう。あくまで買ったユーザーを喜ばせる物を販売しようという気持ちありきであることを、忘れてはいけない。
まとめると、福袋を売るときは同じ商品を入れるにしても、ただ入れればいいということではなく、季節物商材であることをしっかり認識し、ユーザーを喜ばせるポイントをきちんと盛り込むことが大切である、ということになる。
工夫をせず赤字覚悟で高額商品を詰め込むという手段も1つではあるが、余程の資本力がなければ価格競争に参入することは賢い手段ではない。それよりも、自社商品でいかに企画を練り込み、ユーザーに驚きを提供できる福袋を作るかということの方が重要なのでないだろうか。
後日談では、楽天「C社」の福袋店からショップレビュー記載依頼含む「いかがでしたか?」メールが届いた。こういう小さな心使いもユーザーは嬉しかったりする。
今回、唯一ダンボール直入れでなく、特別な「HAPPY BAG」に入れるワンクッションがあったAmazon「A社」が企画面でも優れていたかな、と思い、なんとなく袋を眺めていたら……あ、あれ!?
あることに気が付いた。
間違い探し(おまけ)
ヒント:今年の年号を西暦で答えよ。
こういった、笑っちゃうようなサプライズも、福袋の魅力の1つではないだろうか。
※今回購入した福袋は、Amazon、Yahoo!、楽天の各モールよりランダムに選んだ店舗の同カテゴリー商品です。不特定多数の中から無作為に選択した店舗の商品のため、各モール全体の主義主張等を反映する品ではありません。
たまたま編集部で購入した福袋の中身の結果であり、全ての福袋が同様の物であるということではありませんのでご了承ください。
企画/写真/文:島名タスク