売上を伸ばしながらクレカ不正利用と悪質転売にも対応 PHOEBE BEAUTY UPが導入した「O-PLUX」とは
若い女性から圧倒的な支持を得るコスメブランド「PHOEBE BEAUTY UP」を展開するDINETTE株式会社。同社は2023年1月にかっこ株式会社が提供する不正注文検知サービス「O-PLUX(オープラックス)」を導入し、クレジットカードの不正利用や悪質転売への対策を強化した。不正対策業務を統括するCS部 部長 加藤博之氏に、不正が疑われる注文やチャージバックが「ほぼゼロ」になったというO-PLUXの実力や導入効果・成果について話を聞いた。
売上拡大に伴い増えてきた不正被害
――御社の事業内容や提供サービスについて教えてください。
当社は美容メディア「DINETTE」の運営や、コスメ関連のD2Cブランドを展開している企業です。主力の「PHOEBE BEAUTY UP」は2019年2月にローンチしたブランドで、まつ毛美容液やマスカラ・グリッター、スキンケアアイテムなどを取り扱っています。20代後半から30代前半の女性をターゲットにしており、自社ECとモールがメインの販売チャネルです。決済種別としてはクレジットカードが6割を占めています。
――不正被害にはどのタイミングで気付いたのですか。
決済代行会社から利用内容照会の連絡を受け、その時はじめてクレジットカードの不正利用被害にあっていることに気づきました。ちょうど売上が伸びている時期で、週に2、3回は問い合わせがあったと思います。「身に覚えがない高額な請求があった」と購入者様から直接連絡が来ることもありました。不正かどうか判断がつかない取引が毎週10~20件ほどあり、対応には苦労していました。
――当時の不正対策はどのような体制で、何を行っていましたか。
基本的には担当者の私が、1人で注文履歴を一件ずつ目視で確認していました。その他にも、決済代行会社からの調査依頼に対する回答文書を作成したり、電話対応や顧問弁護士に相談したりと、通常の業務をこなしながら1日に1~2時間ほど時間を不正対策に費やしましたね。不正対策は手間や時間がかかる上、非常にストレスの多い業務でしたので自社対応に限界を感じ、EC事業者間で評判の良かったO-PLUXの導入を決めました。
不正チェックの自動化・業務効率化を実現
――O-PLUX導入の決め手はなんだったのでしょうか。
まずはなんと言っても、高精度な不正検知がリアルタイムでできること。クレジットカードの不正利用と悪質転売の2つの対策が同時に行える点が魅力でした。サービスを利用している企業の数が多く、最新の不正手段や傾向がすぐにシステムに反映されるため、機能や検知精度が常にアップデートされていく点も導入の決め手になりました。
また、これまで多くの手間と労力を費やしていた不正チェック業務の自動化を図ることも目的でした。費用対効果を考えても確実に業務効率化につながるとわかったので、O-PLUXの導入はほぼ即決でしたね。
――かっこ様に相談してから導入までのスケジュール感を教えてください。
最初に打ち合わせをしたのが2022年の12月で、年末年始を挟んで2023年1月には稼働していました。前職でO-PLUXを使っていた者が社内に何人かいて、その効果を伝え聞いていたので、社内決裁にはまったく時間を要しませんでした。自社サイトを構築したECプラットフォーム「ecforce」とO-PLUXがAPI連携されていたので、システムを最初から構築する必要がなかった点もスムーズに導入できた理由のひとつです。
――導入後の成果・効果を教えてください。
導入当初は、審査結果NGが毎日10件前後でしたが、現在は1日で多くて2件程度まで減少。毎週のようにきていた決済代行会社からの問い合わせも、ここ2カ月ほどないですね。そして、多いときは月に10万円ほどあったチャージバックもゼロに。おかげさまで、売上を伸ばしながらも不正被害を抑えられています。導入の目的であった不正チェックの自動化、業務効率化という目標は達成できており、当社の成長においてO-PLUXの導入効果は大きかったと言えるでしょう。
リソースを再配分してコア業務に集中
――不正注文が減ったことで、社内体制や働き方に良い影響はありましたか。
不正チェックに要していた時間が大幅に削減できたので、空いたリソースを再配分できるようになりました。今まで取り組みたかったけどできていなかった業務、しなければならなかった仕事、忙しくて手が回らなかったアクションも実行できるようになりました。
私はCS部の部長を務めているのですが、O-PLUX導入後は本来の業務に集中できるようにもなりました。最近ようやくコールセンターの音声を聞く時間をとれるようになったので、これからはよりお客様に喜んでいただけるような施策を検討していきたいと思います。
――O-PLUXはどのような事業者におすすめですか。
当社がそうだったように、人力で不正対策・転売対策を行っている事業者にはおすすめです。まだ被害が顕在化していない企業は、先手を打つという意味で導入を検討してもよいかもしれません。また、O-PLUXはひとつの契約で複数サイトの不正対策ができるため、自社ECで複数のブランドを展開している企業にも合うと思います。
――日本におけるクレジットカードの不正利用被害額は右肩上がりで増えており、2023年は過去最高を更新しました。不正対策に終わりはないと思いますが、今後セキュリティ面での目標などはありますか。
おっしゃるとおり、不正の手口は年々巧妙化しており、自社だけで対策を取るのが難しくなっています。経済産業省が定めた「クレジットカード・セキュリティガイドライン」に基づき、事業者には2025年3月までにEMV3-Dセキュアの導入が原則義務づけられています(※1)が、当社はO-PLUXとの両輪で不正・転売対策を強化していきたいと考えています。
とはいえ、まだまだO-PLUXを完全に使いこなせているわけではありません。今後はより不正検知の精度を高めるため、O-PLUXで実際に検知した不正情報(ネガティブデータ)の共有、活用などにも取り組みたいと思います。
※1 出典元:「クレジットカード・セキュリティガイドライン」が改訂されました(経済産業省)