消費者がメルマガを読みやすい時間帯や希望の配信頻度は? ECユーザー400人にアンケート FORCE-R調査

星野新【MIKATA編集部】

ECの販促・マーケティング施策として多くの事業者が活用しているメールマガジン(以下、メルマガ)。よりたくさんの人に読んでもらうために、担当者は日々さまざまな手立てを講じているはずだ。では受け取り手である消費者は、いつそのメルマガを読んでくれているのだろうか、そして理想のメルマガの配信頻度は? 

そんなメルマガに関して、“消費者の声”を活用したEC支援サービス「Commerce INSIGHT.」を提供するFORCE-R株式会社(以下、FORCE-R)がアンケートを実施。月に2~3回以上オンラインショップを利用する20代~60代の400人を対象に、メルマガが閲覧されやすい時間帯や業種別の配信頻度を明らかにした。なお、本調査結果はECのミカタ先行公開となる。

調査概要

■調査内容:「メルマガ」に関するアンケート調査。消費者のメルマガを開封するきっかけ、購読している情報の種類などに関する行動調査
■調査期間:2024年10月21日~10月22日
■調査対象:オンラインショップを月に2~3回以上の頻度で利用するユーザー。20代~60代/400名
■対象選定方法:アンケートをもとに、所定の条件に合致する対象者を抽出
■調査方法:インターネット調査
■調査主体: FORCE-R株式会社
※本調査は「Commerce INSIGHT」で実施したアンケート調査の一部

30~60代の約7割がメルマガきっかけでECで商品購入経験

本調査でメルマガをきかっけに通販サイトで商品を購入したことがあるかを尋ねたところ、67%が「ある」と回答。年代別の集計では、30~60代のおよそ70%が「ある」と回答したのに対して、20代は半数以上が「ない」と答えている。この違いについて、調査元であるFORCE-R株式会社の日比野陽介氏は「経験、体験の差」と考察する。

「前提として、30代以上の方はECサイトの公式LINEアカウントがない時代からECサイトで買い物をしており、その当時はショップからの連絡はメールが主流でしたので、そのメールをきっかけに購入にいたった経験があり、20代はLINEアカウントがすでに普及していた環境でECでの買い物を始めた可能性があります。実際に支援させていただいているショップでも、LINEアカウント開設前から購入している会員様はメルマガ経由の購入が多く、LINEアカウント開設後の会員様(20、30代が中心)はLINE経由の購入が多いです。このように、今回の調査結果は“経験、体験の差”が出たものだと思います。

また、別の調査で年代別に『メールとLINEどちらで情報を受け取りたいか?』と聞いたところ、回答した20代(50名)の50%が『LINEで受け取りたい』という回答でした。対して他の年代では、30代の65%、40代の70%、50代の90%が『メールで情報を受け取りたい』という回答でしたので、普段使い慣れているツールで情報を受け取りたいという気持ちの表れだと思います。この結果から、20代をターゲットとしているショップはLINEでの情報発信は必須と言えますね」
(日比野氏)。

「メールマガジンがきっかけで、通販サイトで商品を購入したことはありますか?」に対する回答を、年代で集計

朝・お昼どき・夜...メルマガが読まれやすい時間帯は?

続いて本調査では、1日のうちで「メルマガの閲覧が可能な時間帯」を質問。その結果「午前8時から12時台までの時間帯」と「18時から22時台の時間帯」が多いという結果が出た。これに対してFORCE-Rでは「ピークは20時台で、帰宅時間や晩御飯後の時間帯ということもあり全年代で20時台のメルマガであれば閲覧する可能性が高い」と分析している。

また、同社の日比野氏は個人的な見解としたうえで、「瞬間的な売上を望まないお知らせ、新商品の情報などは午前中に配信することで1日の中で見てもらえる可能性を高め、時間限定のクーポンを配信して売上に直結させたい場合は、20時台の配信が良いと考えます」と提案。今回の結果を見ると相対的に夜のほうが閲覧の可能性は高いが、競合他社も同じタイミングで配信する可能性があるので、商材やターゲット、訴求内容を考慮して、配信戦略を立てるべきだろう。

アパレル、食品、ギフトなど、ジャンルによって好まれる配信頻度は異なる

続いて、商品ジャンル別に希望するメルマガの配信頻度を質問。全体として「月に2~3本」「週に1本(月4本相当)」といった頻度が望まれていることが読み取れるが、注目したいのが商材ごとの違いだ。「自分の趣味に関わる商品」のメルマガは「週に2~5本」「週に5本以上」を希望する人の割合が他のジャンルよりも高いので、趣味に関わる商品を扱うショップは積極的に情報発信していくのが良いと言える。逆に「ギフト」関連のメルマガは「月に1本以下」が望ましいとする割合が突出して高い。これは月に何度もギフトを贈るニーズは高くないからだと思われるが、では少ない回数でユーザーを訴求するにはどのような工夫が必要なのだろう。日比野氏は支援経験に基づき、以下のような内容を推奨する。

「ギフトは月1本程度のメルマガ配信が望ましいという結果を見ると、その分、1本に情報をたくさん入れたくなると思いますが、メールで紹介する商品は1〜2個に絞ったほうが良いと考えます。商品を絞った上で、“実際に購入された方の使用用途や、どのような方に贈って喜ばれたのか”といったレビューを紹介できると良いと思います。わたしは基本的に、どのジャンルでも1メルマガ=1訴求(テーマ)が良いという考えで、支援させていただいています。

比較的成果が良かった配信内容としては、『アパレル』では季節に合わせたシチュエーションやお悩みとそれに合ったコーディネートの訴求、『食品関連』ではその時期だけの限定感を伝えたり、販売している複数商品を使ったおすすめメニューを紹介したり。『日用品』は特集のようなかたちで、複数商品を紹介できるといいですね」
(日比野氏)。

いよいよホリデーシーズン。メルマガはタイトル付けに注意を

今回の調査では、消費者にメルマガを読んでもらえやすい配信タイミングや頻度が判明。購買層や商材によって“使い分ける”ポイントも見えてきたが、それらを踏まえ、ホリデーシーズンのセールに向けてメルマガ施策で留意すべきことを日比野氏に聞いた。

「この時期は、各店舗が訴求を強めてきます。1人のユーザーの元にも複数のメールが届き、まずはその中で開封してもらわないといけません。そこで重要なのはタイトルの付け方です。クーポンやセールの訴求はユーザーの興味を引けるので、その内容がタイトルでわかるようにしましょう。

今回メルマガを調査したのは、普段から我々が事業者様から(メルマガについて)質問されることが多いことがきっかけでした。皆さま、時間をかけてネタを考え、メルマガを作成していると思いますので、成果につながるよう、この調査結果を参考にしていただければと思います」
(日比野氏)。