専門知識・初期設定不要! 誰でも簡単に打ち手につながるデータ分析ができるかっこの「いろはに分析」
ユーザーのさまざまな行動をデータで可視化できるのがECの強みだが、「宝の山」であるデータを十分に活用し、売上向上のための打ち手につなげているEC事業者はむしろ少数派ではないだろうか。「データ活用に取り組みたくても、知識がなく、やり方がわからない」、そんなEC事業者の悩みを解決するべく開発されたのが、かっこの「いろはに分析」だ。誰でも簡単に打ち手につながるデータ分析ができる秘訣はどこにあるのか。かっこ株式会社データサイエンス事業部 リードデータサイエンティスト 根本景太氏と同社 データサイエンス事業部 兼 プロダクト研究開発ディビジョン リーダー 山科佑太氏に話を聞いた。
かっこのデータサイエンスの知見とEC事業者のニーズを凝縮
――かっこ様はデータサイエンスサービスや不正検知サービスを通じて、データの蓄積・活用をされてきました。日本のEC業界におけるデータ活用の現状をどう見ていますか。
かっこ株式会社 データサイエンス事業部 リードデータサイエンティスト 根本景太氏(以下、根本) データ分析にチャレンジしたいものの、そもそも社内にどういったデータがあるのかきちんと把握ができていない、どうすれば蓄積されているデータが売上向上につながるのかわからない、取引データと会員データなど、異なる種類のデータを有機的に結びつけることができないため、活用を諦めてしまっているといった事業者様が多く見受けられます。
かっこ株式会社 データサイエンス事業部 兼 プロダクト研究開発ディビジョン リーダー 山科佑太氏(以下、山科) データの蓄積はできていても、データを加工・集計して示唆を取り出し、具体的なアクションに落としていくための道筋が立てられていない事業者様が多いと感じますね。
―― 11月に、新たにマーケティング支援サービス「いろはに分析」をリリースされました。どのような経緯で開発されたのでしょうか。
根本 かっこでは、データ分析に基づいて「リピート率増加」をはじめとした利益向上のための課題を解決するデータサイエンスサービスをご提供しています。その中で、年商数百万円規模の大手アパレルEC事業者様をはじめ、数々の事業者様に対して、毎月定例で分析レポートを提供する活動を長年行ってきました。こうしたかっこの知見と経験を凝縮し、さまざまなEC事業者様が共通して必要とするデータ分析内容をダッシュボード化したのが「いろはに分析」です。
データの加工や初期設定不要! データアップだけで分析可能に
――「いろはに分析」の特徴を教えてください。
山科 「いろはに分析」はデータ分析の専門知識がない事業者様のお悩みを解決するためのサービスです。そのため、難しい初期設定やデータの加工をすることなく、データをアップロードするだけで、データ分析の知識がなくても、誰でも簡単にデータ分析ができるように設計しました。「売上状況の集計・可視化」「RFM分析」「CPM分析」「商品分析」など、さまざまな分析機能が搭載されており、従来はデータ分析の知識がないとできなかったような分析も簡単に実施することができます。
もう一つの大きな特長が、直感的に画面を操作するだけで、誰でも具体的なアクションにつながる分析ができることです。データを集計してもなかなか施策・戦略につながらないという課題を抱えている事業者様が多いので、直感的な操作で課題発見から具体的な打ち手につながる分析を完結できるようにしたところが「いろはに分析」の特徴であり、強みでもあります。
――データ分析の知識や初期設定なしで、誰でも簡単にデータ分析ができるサービスは、これまでなかったのでしょうか?
根本 一般的なデータ分析ツールはBI(ビジネスインテリジェンス)と呼ばれるものが多く、使いこなすにはデータ分析の知見に加えて、分析メニューの設計や複雑な初期設定が必要でした。そもそも分析を開始するための環境の構築に、知識と時間と手間が必要なのです。その点、「いろはに分析」なら、データサイエンティストがいなくても、データさえアップロードすれば、その日から基本的な機能をすべてお使いいただけます。
直感的な操作で課題発見から課題解決のための分析まで
――「いろはに分析」でどのような分析ができるのか、具体的に教えてください。
山科 大きく「売上向上の課題を発見するための集計」と「課題解決のための分析」の2つのフェーズに分かれています。
「売上向上の課題を発見するための集計」では、売上を「会員数×購買単価×購買回数」に分解することで、売上の変動に最も大きな影響を与えているのがどの要素なのか、グラフをパッと見ただけで視覚的に把握できます。
さらにその要素も分解することで、売上向上の課題を深ぼることができるようになっています。
例えば会員数の場合、「新規」「離反回避」「既存」の3つに分解できます。
新規顧客または、既存顧客のうち1年以上ぶりに購買があった会員
・離反回避
当月から12カ月前の月での購買を最後に購買がない会員
・既存
当月以前、11カ月前までのどこかで購買があった会員
【図1】はいろはに分析の画面の一例なのですが、売上の推移(【図1】の上のグラフ)を見ると、2年前から半年前まで上昇し、その後減少していることがわかります。その傾向は会員数(図1の下のグラフ)でも見られることから、会員数の変動が売上に影響しているとわかります。
そこで、会員の構成要素の推移を確認すると、2年前〜半年前までの売上の伸びは新規(図2の下のグラフ)の増加と連動していて、ここ半年の売上の減少は、既存(図3の下のグラフ)の減少と連動しています。
このことから、現状を整理すると、「ここ半年の売上は減少傾向で、理由は2年前と比較して、新規は増加したものの、既存が減少しているため」ということが見えてきます。
よって、売上をあげる上での課題は、
• 増えている新規が定着しておらず、既存化していない
とわかります。
「課題解決のための分析」では、把握した課題を解決するために「誰に」「どんな商品を」「いつ」お薦めすれば良いのかを明らかにするための分析ができます。
例えば新規の定着に課題がある場合、「誰に」については、新規会員の属性(性別・年代)を確認することで、明らかにすることができます。
「どんな商品を」については、その層に人気の商品やその商品とよく併売されている商品を見ることができるため、それらを参考にお薦めする商品を考えることができます。
「いつ」については、2回目の購買が初回購買から何週間後に行われることが多いかを確認できるため、それを参考にお薦めするタイミングを考えることができます。
上記の分析の詳細は、ホームページ上にある動画で確認できますので、ぜひご覧ください。
――「いろはに分析」はどのようなEC事業者にマッチすると考えていますか。
山科 大前提は会員制度があることです。商品数が少ないと打ち手のバリエーションが少なくなってしまうので、数十SKU以上の商品を販売されている事象者様のほうが、分析が生きてきます。
根本 売上規模として上限や下限はないと考えています。実は、大手の事業者様でも取引の履歴を活用した分析まではうまくできていないケースをよくうかがいますし、なかなか自社内でデータ分析のリソースを確保することが難しい中小規模の事業者様にも、大手の事業者様にも幅広く使っていただきたいですね。
低コストでメールアドレスの有効性判定を可能に
――かっこ様は9月にメールチェックサービス「Mail Validator(メールバリデーター)」もリリースされましたね。こちらはどのようなサービスなのでしょうか?
根本 「Mail Validator」は、メールアドレスに不備や不審な点がないかを確認できるサービスです。目玉の機能が、そのメールアドレスが送信可能かどうかを判定する有効性判定で、取得して数時間から数日で利用できなくなる使い捨てドメインの判定や、不正メールとして使われやすいエイリアスメールの判定、タイプミスの判定も可能です。
APIを構築すればリアルタイムでの判定ができるため、会員登録時のチェック強化や不正対策、定期的なデータクリーニングなどに活用いただけます。不正検知サービス「O-PLUX」にも同様の機能がありますが「メールアドレスの判定だけしたい」という声が思いのほか多かったので、メールチェックだけを切り出してサービス化しました。
――「いろはに分析」同様、お客様の声や現場の課題から生まれた顧客起点のサービスなのですね。類似サービスと比較して、Mail Validatorにはどのような優位性があるのでしょうか?
根本 ひとつは圧倒的にコストが安いことです。初期費用が2万円で、月額費用は審査件数が10万件以内であれば 1万円以下でご利用いただけるので、非常にコストパフォーマンスが高いと自負しています。APIを使った実装ができるため、手間をかけずに自動審査ができるのも強みです。現状、類似サービスは海外発の製品ばかりなので、日本語で問い合わせができるのも、安心してご利用いただけるポイントではないでしょうか。
「データサイエンスの民主化」で誰もがデータ分析ができる未来へ
――「いろはに分析」の機能・サービスの拡充など、データサイエンス事業における、かっこ様の今後の展望をお聞かせください。
山科 かっこのデータサイエンス事業部は「データサイエンスの民主化」を掲げ、データのプロフェッショナルでなくても、誰でも気軽にデータ分析ができる社会を目指しています。「いろはに分析」もその一助となるべく、お客様の声をどんどん吸い上げて、機能やサービスに反映させていきたいです。
根本 おかげさまでかっこは不正検知サービス「O-PLUX」の認知度が高いので “守り”のイメージが強いと思いますが、データサイエンスを通した“攻め”も得意分野です。「いろはに分析」の機能を超える高度なカスタマイズを伴う分析をご希望の場合は、当社でデータをお預かりして課題解決に導くデータサイエンスサービスにてご支援が可能です。今後も“攻め”と“守り”の両面からEC事業者様の成長に貢献していきたいですね。