2024年オンラインギフト総括!今、ECで売れるギフトの3つのポイント【ギフトモール セミナーレポート】

ECのミカタ編集部

2024年12月にECのミカタが開催したカンファレンス「2024年のEC業界を総復習する2日間」にギフトECの大手、株式会社ギフトモール(本社:東京都中央区)ギフトモールオンラインギフト総研所長の小川安英氏が登壇。通常のECとは異なるギフト市場の動向や、顧客の需要に応える方法を解説した。

2024年末のギフト市場動向

ギフト市場の規模は約10兆円にのぼる。中でもギフトEC市場は、2024年の累計が3兆円市場となる見込みの成長領域だ。小川氏は顧客行動の変化を中心に、ギフトECのトレンドを紹介した。

「2023年に初めて、楽天やAmazonなどのECモールがギフトの販売チャネルとして1位になりました。顧客層は40代女性が最多で、30代女性、30代女性と続きます。反対に百貨店は20代の女性が1位、10代の女性が2位と、ギフトを贈った経験の差が購入場所の差に表れているように見えます。贈られたURLから好きな商品を選べるソーシャルギフトは20代の26.4%が利用しており、30代以上の年齢層も含めると、全体の平均は16.5%になります。

2024年に成長したギフトのジャンルは体験ギフト、電子チケット、デジタルギフトカードの3種。これらは受け取り手が商品や受け取りのタイミングを選ぶ権利を持つジャンルです。具体的な商品では、私たちが『推し活ギフト』と呼んでいる”推し”を応援したり祝ったりするギフトがZ世代女性の9.2%で利用されるという行動が目立っています。贈られるギフトの性質やジャンルが変化していることが2024年の特徴なので、販売や商品開発に活かしていただければと思います」

画像提供:株式会社ギフトモール(カンファレンス登壇資料より)

売れるギフトが持つ3つのポイント

ギフトは自分で消費する自家需要と選び方が異なる。品質やコストパフォーマンスが重視される自家需要に対して、ギフトはパッケージングや口コミが購買動機に占めるウェイトが重くなる。小川氏はそれを踏まえて売れるギフトの作り方と売り方を紹介した。

パーソナライズで特別感を演出
「最初のポイントはパーソナライズです。名入れやメッセージなど、世界に一つのギフトを贈りたいという需要は、59.8%の人に当てはまります。スマホから簡単にパーソナライズギフトを注文できるようになりました。

たとえば100人の卒業生に対してPTAが個人の名前を入れて当日の内に発送するなどのサービスを展開している会社は売上を伸ばしているようです。実際にギフトモールでも名入れなどのパーソナライズド商品と売上は比例して伸びています」

画像提供:株式会社ギフトモール(カンファレンス登壇資料より)

「分ける」と「包む」で付加価値を生む
ギフトは中身だけで良い自家需要と異なり、企画力と包装の業務プロセスが付加価値と販売力を高めるという。

「次のポイントは『分けると包む』です。物価高を受けて実用的なギフトを贈るニーズは高まっていますが、たとえばお米をそのまま送るのは味気ないですよね。ギフトモールの『引っ越し挨拶ギフト米 2合』という商品は、オリジナルのメッセージを袋のテンプレートに施します。注目すべきは付加価値。伊賀米コシヒカリは10kgで6470円、300gで140円くらいが相場ですが、ギフト商品化することで300gあたり520円になります。さらに『引っ越し挨拶ギフト米 2合』は10個、20個という単位でニーズのある商品です。

画像提供:株式会社ギフトモール(カンファレンス登壇資料より)

付加価値の付け方として1000円相当のお菓子をリュック状に組み合わせた4380円の子ども向け商品『お菓子リュック』、花束機能と需要の高いスイーツギフト機能を両立した『ベルレーヌブーケボックス』などがあります」

多様な法人需要への対応
法人ギフト領域は約11兆円のギフト市場のうち2.7兆円を占める。シーンは社内の記念や褒賞から、謝礼、成約の記念品などさまざまだ。小川氏によると、法人からも個人ギフトと同じようにパーソナライズの需要が増えているという。

画像提供:株式会社ギフトモール(カンファレンス登壇資料より)

「法人ギフトは大口で、実用的な商品が発注される市場。食料品、ギフト券、日用消耗品の3種が対象の社内外を問わないトップ3です。1500円の価格帯であればコーヒーやお米、潜在など、6000円であればモーニングセットや名入れタオルなどが選ばれています。法人といっても、部活、PTAの記念品などの需要もあります。物流の2024年問題対策として、一括で受け取りたいという需要も上がっており、百、千の単位で発注されるニーズに応えることが、法人需要への対策として重要でしょう」

ギフトは消費者が「買って便利」で終わらない商材だ。「贈って嬉しい」と感じてもらうための工夫として、包装やパーソナライズによる付加価値の演出が欠かせない。ギフトのEC市場は拡大しているが、消費者の要求も同時に高まっている。今まで以上に贈り手と貰い手、両方に特別感を演出できるギフト体験の創出が求められている。

小川 安英
株式会社ギフトモール ギフトモール オンラインギフト総研 所長
京都大学卒業後、1998年株式会社リクルート入社。『リクナビ』『じゃらん』の商品企画責任者などを経て、リクルートホールディングスFinTech推進室室長、リクルートマーケティングパートナーズ取締役、リクルートファイナンスパートナーズ代表取締役などを歴任。人材、旅行、金融にまたがる幅広い領域で、新規事業開発、アライアンス戦略、グループ会社経営管理に携わる。ギフト領域におけるイノベーションを目指し、株式会社ギフトモールに参画。