成長タイミングを逃さない!効果的なOMS導入を徹底解説 【NE株式会社 セミナーレポート】

ECのミカタ編集部

業務の種類が多岐に渡り、その量も膨大なEC運営。目の前の業務に押しつぶされることなく、継続的な売上拡大を実現するためには、戦略的なOMS(Order Management System=受注管理システム)の活用が欠かせない。

そのOMSについて、NE株式会社 ネクストエンジン事業部 マーケティングチーム 八神鷹也氏は「OMS導入によって、今ある課題と未来の課題を同時に解決できる」と語る。OMS導入のメリット、そして自社に最適なOMSを選ぶポイントは? ECのミカタ主催のオンラインカンファレンスから、八神氏によるセッションの要点をレポートする。

業務効率化だけではない、OMS導入の効果

セッション冒頭で八神氏は、自らのEC運営経験も踏まえて、OMSの必要性を強調した。

「結論から言えば、EC運営の短期的な課題と長期的な課題を同時に解決できるサービスを早期に導入することがベストです。なぜOMSが必要かというと、OMSは煩雑な業務を自動化・効率化し、時間の余裕と拡大の基盤を作り出すからです。具体的には、大量の受注処理や繁忙期の深夜作業といった煩雑な作業を自動化したり、複数店舗をまとめて管理したりできるようになります。

運営者の心と身体の制限が緩和されるという点でも、OMSは重要な役割を果たします。私自身、過去にEC事業を立ち上げたときに、想像を超える業務の量と種類に泣かされました。当時OMSがあれば、もっと楽だったことでしょう」(八神氏)。

次に八神氏は、OMS導入のメリットを「クオリティ」「コスト」「デリバリー」の3つの視点から解説した。ポイントは下記となる。

●クオリティ:ヒューマンエラーを排除し、誤出荷や在庫登録ミスによる売り越しを防止。ミスを起因としたクレームが減少することで、スタッフの精神的負担も軽減。

●コスト:スタッフの残業時間の削減や繁忙期の臨時雇用コストの抑制、システム統一による教育コストの圧縮など、多方面でのコスト削減が可能に。

●デリバリー:受注処理から発送までのリードタイムを短縮し、迅速な配送を実現。問い合わせにもタイムリーに対応でき、ショップの評価向上も期待できる。

画像提供:NE株式会社(カンファレンス登壇資料より)

事例から学ぶOMS導入のタイミング:早期導入が成功への近道

続いて八神氏は、対照的なタイミングでOMSを導入した2社の事例を通じ、OMS導入の最適なタイミングを解説した。

●事例1:丸久株式会社
EC事業開始と同時にOMSを導入し、多店舗展開を成功

画像提供:NE株式会社(カンファレンス登壇資料より)

老舗アパレルメーカーである丸久株式会社は自社ブランドのever closetで楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーを3年連続で受賞(※1)。同社は、戦略的にEC事業開始当初からNE株式会社が提供するOMS「ネクストエンジン」を導入。低コストでの多店舗展開を目標に掲げ、物流や複数店舗運営における課題を事前に回避。「ネクストエンジン」の豊富な機能群を活用することで、少人数体制ながら効率的な運営を行い、急成長を実現した。

※1:ever closetは楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2021、2022、2023の「キッズ・ジュニアジャンル賞」を受賞

●事例2:株式会社サウナキャンプ
副業ECからの飛躍、OMS導入で事業規模拡大に対応

画像提供:NE株式会社(カンファレンス登壇資料より)

テントサウナの販売や関連イベントを手掛ける株式会社サウナキャンプは、元々副業としてEC事業を開始。当初は深夜作業もいとわなかったものの、事業規模の拡大に伴い、手作業での運営に限界を感じるように。「ネクストエンジン」導入後は、倉庫連携による業務の99%自動化を達成。本業や週末のイベント企画、メディア発信に注力できる環境を構築し、さらなる売上拡大を実現している。

事業立ち上げ時にOMSを導入した丸久と、試行錯誤の末にOMSを導入したサウナキャンプ、対照的な2社の事例を踏まえて、八神氏は「OMS導入は早ければ早いほど良い」と語る。

「重要なのは、今ある課題と未来の課題を同時に解決することです。業績拡大や売上向上、新商品開発のような新しいチャレンジは、心身ともに余裕がないとなかなかできません。OMSはそうした時間の確保にも貢献します。導入時期にかかわらず、導入後の効果は同じなので、OMSの導入は早いほうが良いと考えます」(八神氏)。

この主張を裏付けるデータとして、八神氏は月商100万円以上で、EC運営にシステムを導入した経験を持つ事業者100名へのアンケート結果(※2)の一部も公開。それによれば、回答者の92%がOMS(受注管理システム)を導入しており、さらに時期をみると「事業開始後1カ月以内の導入」が59%、「事業開始後3カ月以内」に広げると実に導入率 74%だった。

このことから、OMSがEC事業者にとって必要不可欠なツールとして広く認知されており、早期導入が一般的になっていることがうかがえる。

※2:調査概要/調査実施者:NE株式会社、調査方法:インターネット上でのアンケート調査、調査対象:月商100万円以上売り上げ、EC運営のためのシステムを導入したことがあるEC事業者、有効回答数:100名、調査期間:自社調査、調査期間:2023年10月12日~2023年10月23日

画像提供:NE株式会社(カンファレンス登壇資料より)

OMS選びのポイント:短期と長期、両方の視点から検討を

八神氏はさらに、数あるOMSの中から自社に最適なシステムを選ぶためのポイントを提示。短期的な視点と長期的な視点の両面から比較・検討することの重要性を強調した。

画像提供:NE株式会社(カンファレンス登壇資料より)

「OMSを選ぶ際のポイントは、『今の仕事』と『未来の仕事』を支援してくれるかどうかです。短期的な視点では、日々の業務を楽にする機能が充実しているか、長期的な視点では、提供会社の将来性、システムの安定性、進化、連携・拡張性を確認することが重要です。過去には、サービスが突然終了したケースもありました。事業が長く続いている、上場企業であるなど、将来性も確認しましょう」(八神氏)。

●八神氏が挙げた「OMSを選ぶ際のポイント」
今=短期的な視点

・日常業務の効率化に貢献する機能の充実度。“目の前の仕事”を楽にしてくれる機能が備わっているか

未来=長期的な視点
・提供会社の将来性:事業継続性、経営の安定性など提供会社の信頼性や将来性
・システムの安定・堅牢性:導入実績やセキュリティー対策、サポート体制など
・進化し続ける:システム・機能が継続的に進化、アップデートしているか
・サービス連携や拡張性:他のECシステムや周辺サービスと連携しているか

OMSは単なる業務効率化ツールにとどまらず、EC事業の成長を後押ししてくれる可能性を秘めている。「ネクストエンジン」の導入事例で示された通り、OMSの早期導入を前提とした事業計画・販売計画を立て、戦略的にOMSを導入することが、効果の最大化につながると言えそうだ。

八神 鷹也
NE株式会社 ネクストエンジン事業部 マーケティングチーム
高校在学中より映像業界でキャリアをスタートし、多岐にわたる業界業種で豊富な制作実績を積む。ホテル事業会社に入社し6カ月で支配人に昇進。直接顧客と関わるサービス業とデジタルで関わるクリエイティブ業の経験を武器に、ペットフードのEC事業立ち上げに携わる。様々な経験を通じて、顧客視点に立った企画立案・実行のスキルを磨く中で、EC業界の課題解決を志し、NE株式会社にジョイン。現在は、マーケティング担当として、セミナー企画やコンテンツ制作に従事。公式Xのつぶやきも担当 。