【eBayセラー成功事例】越境ECデミニミス・ルール撤廃時代の乗り越え方 長寿セラーから学ぶeBay公式配送サービス活用法

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ECのミカタ編集部 [PR]

株式会社GLIT 代表取締役社長/CEO 土橋巧氏(写真左)と、同社 ebay販売事業 統括責任者 杉村剛氏(右)

eBayに出店している優れた日本のセラーを表彰する「eBay Japan Awards 2024」で、SpeedPAK Awardを受賞した株式会社GLIT。eBay公式の配送サービス「eBay SpeedPAK(スピードパック)」を活用し、多くの国際配送を効率的かつ安定して行った点が評価された。eBayと自動連携し、低コストで安定した国際配送を実現するこのサービスを、同社はいかに活用したのか。創業者で19年を超える販売経験を持ち、現在同社のeBay販売事業を統括する杉村剛氏と、代表取締役社長/CEOの土橋巧氏に、SpeedPAKの活用メリットや成功のノウハウ、今後の展開などについて話を聞いた。

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トレカ・ゲーム・フィギュアで実績

──御社の事業内容について教えてください。

株式会社GLIT 代表取締役社長/CEO 土橋巧氏(以下、土橋) 当社はeBayなどを通じて、トレーディングカードやフィギュア、ゲーム機器、アパレル商材などを海外に販売しています。eBayでは複数アカウントで10のショップを運営しており、2021年度の「eBay Japan Awards」でCategory Growth Awardを、2024年度にSpeedPAK Awardを受賞することができました。

株式会社GLIT ebay販売事業 統括責任者 杉村剛氏(以下、杉村) 私は会社員として働きながら、2006年に副業としてeBayを始めました。最初は身の回りの不要品を販売していたのですが、国内仕入れ品の海外販売に切り替えたところ、思いのほかよく売れました。eBayで十分な利益を出せるようになったタイミングで会社を辞め、2016年にGLITを立ち上げました。現在は代表を土橋に譲り、私はeBay販売事業を統括しています。気づけばeBayに携わって19年目になります。

株式会社GLITのeBayストア「GLIT Store」より

──多くのプラットフォームの中から、なぜeBayを選ばれたのですか。

杉村 越境販売を始めるにあたって、AmazonかeBayかという選択肢がありました。Amazonはカタログ販売のように、どの出品者も同じページで競う仕組みですが、eBayは写真や商品ページの構成で他社と差別化できます。工夫次第で利益を伸ばせる点が魅力でしたし、バイヤーと直接やり取りできる楽しさもあります。プラットフォームの使い勝手もよく、自分に合っていると感じました。

──eBayを始めた当初から、想定していたかたちで商品が売れたのでしょうか。

杉村 実は最初から海外販売に興味があったわけではなくて、副業を探す中でたどり着いたのがeBayだったんです。スタートしてから1年ほどはうまくいっていたのですが、(2008年に)リーマンショックがあって、そこからしばらくは冬の時代でした。今考えると、あの頃が一番しんどかったですね。

──そうした“我慢の時期”を乗り越えて現在に至るわけですね。より多くのバイヤーに選ばれるために、どんな工夫をされていますか。

杉村 同じ商品でも単品ではなくまとめ売りをしたり、公式ツールの「eBaymag(※1)」を活用して米国以外の複数の国への出品を強化しています。新商品はいち早く出品し、発送も迅速に対応します。問い合わせへの返信もできるだけ早く行うように心がけています。

長く続けてきて、同じくらいの値段であれば当社で購入してくれるリピーターの方もいらっしゃいますし、直接やり取りできるeBayの強みを活かして新商品の案内などもお送りしています。特別なことではなく、基本を徹底してコツコツ積み重ねることが何より大事だと考えています。

※1:「eBaymag」はeBayが提供する無料の公式多国展開ツール。米国以外に、イギリス、ドイツ、オーストラリアなど最大8つのeBayサイトに同時に出品できる

GLITではバイヤーのニーズに合わせたジャパニーズカルチャー商品を幅広く取り扱う

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公式サービス利用で配送コストを40%削減

──いつから「eBay SpeedPAK」を利用されていますか。

土橋 2024年4月頃ですね。当時は別の出荷管理システムを使用していましたが、イーベイ・ジャパンの担当者様から「使ってみて改善点を教えてほしい」と声をかけていただきました。当時SpeedPAKはリリースされたばかりで、日本の運用に合わせて改善を重ねている段階でした。当社も実際に使ってみた感想をいくつかフィードバックしましたが、それらが迅速にサービスに反映され、セラーがより使いやすい仕組みへと改善が重ねられていったことを覚えています。

──セラー様の声を拾い上げながら、日本の運用実態に合った形にローカライズしているのですね。実際に利用して、どんな点に魅力を感じましたか。

土橋 SpeedPAKはeBayの販売管理システムと自動で連携するため、注文情報や追跡番号、配送状況がeBay上で確認でき、発送管理が非常にスムーズですね。「未着」や「配送遅延」といったトラブルが発生しても、セラー保護が自動的に適用されるので不利になりにくい点も安心。eBayが提供・管理する国際配送ネットワークを使うことで米国やイギリスなどへの発送をスピーディーかつ安定的に行えますし、Orange Connex Japanと連携していて国際送料を抑えやすい点も大きな魅力です。

「eBay SpeedPAK」は、物流企業であるOrange Connex Japan(オレンジコネックス ジャパン)社が開発した国際配送サービス「SpeedPAK」を、eBay公式の物流サービスとして日本のセラー向けに提供するもの。日本のセラーが海外のバイヤー(買い手)に商品を発送する際に利用でき、配送の可視化やコスト削減、配送スピードの安定化、充実したセラー保護を実現する。

「eBay SpeedPAK」を利用した海外発送の手順(画像提供:イーベイ・ジャパン株式会社)

──導入の成果・効果はありましたか。

土橋 以前使用していたシステムに比べて、配送コストを約40%削減できました。eBayのオーダーと完全にリンクしているので配送状況の確認にかかる手間も大幅に減りましたし、「eBay SpeedPAK – Ship via FedEx/DHL」というエクスプレスサービスを利用した場合には、FedExやDHLと個別契約するよりも米国向け配送が1~2日早くなるという声も頂戴しています。通関トラブルが少なく、安定して届けられるようになりました。

──今年8月からの、米国のデミニミス・ルール(※2)の撤廃措置は事業に影響しましたか。

杉村 これまで免税だった少額輸入品にも関税や輸入税が課されるようになり、その分セラーの負担が増えました。そのため当社では、米国市場への依存を減らし、イギリスやオーストラリアなど他国への展開を強化しています。競合の少ない市場で利益を伸ばせる可能性を探りながら、柔軟に戦略を切り替えることが重要です。変化の激しい越境EC市場で取り残されないよう、スピード感を持って対応しています。

※2:「デミニミス・ルール」は、米国に輸入される一定金額(800米ドル)以下の貨物に対して、原則として関税・輸入税を免除する制度。2025年8月29日以降、全品目で撤廃され、日本のセラーにも影響が及んでいる。eBayの米国向け発送:デミニミス・ルール撤廃に伴うSpeedPAKサービスの変更に関しては公式サイトを参照

「eBay SpeedPAK」は配送スピードや配送可能エリアなどに応じて「エクスプレス」と「エコノミー」が利用でき、「eBay SpeedPAK- Ship via FedEx」「eBay SpeedPAK- Ship via DHL」「eBay SpeedPAK Economy」の3つのサービスが展開されている。詳細は公式サイトを参照(画像提供:イーベイ・ジャパン株式会社)

激動の19年、続ける秘訣は「eBayを心から楽しむ」こと。仲間との出会いがここまでの成長につながった

──SpeedPAKはどのような事業者におすすめですか。

土橋 コンビニで1個口から配送できる「eBay SpeedPAK Economy」を利用すれば、比較的軽量で低価格な商品は、(前述の)エクスプレスサービスを使うよりも利益を確保しやすいです。もちろん“使い方”には工夫が必要で、何が正解かは断言できません。しかし、SpeedPAKはeBay公式の配送手段として、コスト削減やカスタマーサポート負担の軽減、セラー保護といったメリットがあることは確かです。特別な登録料や月額料金は不要なので、初めての方にも使いやすいのではと思います。

──eBayでのビジネスは来年20年目を迎えますが、事業を長く続ける秘訣はありますか。

杉村 この20年は本当に激動の連続でした。リーマンショックやコロナ禍、今回のデミニミス・ルールの撤廃など、何度も環境が変わりましたが、一度も「辞めよう」と思ったことはありません。やはり長く続ける秘訣は、eBayを心から楽しむことだと思います。商品の販売を通じて世界中のバイヤーとつながれることが純粋に楽しい――それが私たちの原動力です。バイヤーの方から喜びのメッセージや絵はがきをいただくこともあって、そんなときはeBayをやっていて良かったと、一層感じますね。

また、事業拡大に伴いスタッフが増え、それぞれの強みを活かしながら支え合えるようになった点も大きなポイントです。自分一人ではできないことも、仲間と一緒なら形にできるようになりました。実は、土橋は彼が学生だった頃から手伝ってくれた、いわば最初のスタッフなんです。eBayを通じて得た仲間との出会いや経験が、今のGLITをつくっています。これからも“生涯現役”で挑戦を続けます

杉村氏に届いた、バイヤーからの感謝のメッセージ

──最後に、今後の展望をお聞かせください。

土橋 まずはeBayでの売上をさらに伸ばしていきたいと考えています。デミニミス・ルールの廃止で一時的に落ち込んだ部分もありますが、年末商戦でしっかり回復を図ります。また、eBay Japan Awardsの受賞も目指して、25年、30年と長く事業を続けられるよう取り組んでいきます。

杉村 今後は米国以外の国への輸出にも力を入れていく予定です。すでに専用アカウントをつくり、年末商戦に向けて育成中です。これにより全体の売上を伸ばすとともに、新しい市場での展開を広げていきたいと考えています。

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