楽天とUber、戦略的パートナーシップを発表 ポイント経済圏とモビリティ&デリバリーの融合で「タイパ」と「コスパ」を両立へ
(左から)Uber Japan代表 山中志郎氏、Uber Eats Japan合同会社代表 ユリア・ブロヴキナ氏、Uber Technologies, Inc. CEO ダラ・コスロシャヒ氏、楽天グループ株式会社 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏、楽天ペイメント株式会社 代表取締役社長 小林重信氏
12月9日、楽天とUberによる戦略的パートナーシップ発表会が開催された。両社トップが登壇し、楽天ポイントとUber/Uber Eatsのサービス連携を軸にした新しい取り組みを披露。生活者の利便性とお得さを同時に高める「新たな価値の共創」への意気込みを語った。
楽天・三木谷氏「今回の提携は第一歩」
「Uberと楽天のエコシステムを掛け合わせ、さまざまな可能性を広げていきたい」と三木谷氏
冒頭、楽天グループ株式会社代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏が登壇し、このたびの連携内容を説明した。楽天は国内で70以上のサービスを展開し、「楽天ポイント」の累計発行ポイントは5兆を突破している。
2025年12月9日から、今回の提携により、Uber/Uber Eatsアプリで楽天IDを連携すれば自動的に楽天ポイントが貯まり、楽天ペイ決済を設定すると最大2%のポイントが付与される仕組みを導入する。
三木谷氏は「今回の提携は第一歩。Uberと楽天のエコシステムを掛け合わせ、さまざまな可能性を広げていきたい」と強調した。楽天にとっては楽天ポイント経済圏の拡大、Uberにとっては楽天会員による利用増が期待される。
UberコスロシャヒCEO「日本の生活者に身近で便利な体験を」

続いてUber Technologies, Inc. CEOのダラ・コスロシャヒ氏が登壇。Uberは世界70カ国・1万5000都市以上で展開し、月間10億回以上の利用を誇る。日本市場ではUber Eatsが来年10周年を迎え、加盟店は12万を超える。
Uber Technologies, Inc. CEO ダラ・コスロシャヒ氏
コスロシャヒ氏は「楽天との連携を通じて、日本のユーザーにより身近で便利な体験を提供する」と述べ、さらに「Uberで貯まる楽天ポイントはUberが負担し、配達パートナーが負担することは一切ない」と説明。生活費高騰下で家計を支援する姿勢を明確にした。
Uber Eats Japan ブロヴキナ代表「3A戦略で成長加速」
日本語で「Uber Eatsのタイパと楽天ポイントのコスパ、どちらも手に入ります」と語ったブロヴキナ氏
Uber Eats Japan合同会社代表のユリア・ブロヴキナ氏は、成長戦略として「Anything(欲しいものがすぐに)」「Anywhere(全国津々浦々で)」「Affordable(もっとお買い得に)」の「3A戦略」を紹介。日本市場特有のニーズである「タイパ(時間対効果)」と「コスパ(費用対効果)」を両立させる方向性を強調し、楽天ID連携によるポイント付与で「Uber Eatsのタイパと楽天ポイントのコスパ、どちらも手に入ります」と日本語で語った。今後は楽天ポイントの利用機能も導入予定だ。

楽天ペイメント小林社長「支払い方法を問わずポイント付与」
楽天ペイメント株式会社代表取締役社長の小林重信氏は、Uber/Uber Eatsアプリで楽天IDを連携する方法などを発表。UberとUber Eatsのアプリには「楽天ID連携」ボタンが設置されており、ユーザーはそのボタンを押してログイン情報を入力するだけで設定が完了する。連携後は、タクシーを呼んだりデリバリーを注文したりするたびに楽天ポイントが自動的に貯まる仕組みだ。さらに、支払い方法として楽天ペイを選択すれば、最大2%の楽天ポイントが付与される。

また2025年12月中旬から下旬にかけて、ID連携とUber/Uber Eatsの利用によるポイントの付与や、楽天モバイルユーザーがUber/Uber Eatsを利用した場合にポイントがアップするなどの記念キャンペーンが披露された。
提携の背景は
質疑応答では、Uber Japan代表の山中志郎氏や事業開発部長の長坂駿太郎氏が登壇し、今回の提携に至った背景や、日本における事業成長への期待についてコメントした。
山中氏は「これまでUberはタイムパフォーマンスの高さを強みとしてきたが、楽天との連携でコストパフォーマンスも重視するサービスへ進化する」と説明。Uber Oneクレジットのポイント還元、決済ポイント、楽天ポイントの「トリプルポイント」によるお得感を強調した。

今回の業務提携は、楽天の強力なポイント経済圏とUber/Uber Eatsのプラットフォームを掛け合わせることで、ユーザー体験の向上と双方の事業拡大を狙うものだ。生活費高騰下の日本社会で、より価値あるサービスへと進化していくことが期待されるだろう。


