「受注が正解ではない」――コマースメディアが目指す、顧客と「徹底的に向き合う」営業のこだわり
ECサイトの構築から運用代行、コンサルティング、物流に至るまで、EC事業にまつわる全ての業務をサポートするコマースメディア株式会社。同社の大きな特徴は、祖業であるEC支援事業だけでなく、仕入れや商品企画を含めた販売事業を展開している点にある。
2026年には設立10周年を迎えるコマースメディアでは現在、さらなる事業拡大を目指して営業職(アカウントセールス)の採用を積極的に進めている。支援と販売の両軸で実績をしっかり上げる同社の人材採用・育成戦略とは? 代表取締役の井澤孝宏氏と販売企画部の小林俊也氏に、採用強化の背景や同社ならではの“コマースメディアの仕事の醍醐味”、そして今後の事業展望を聞いた。
一気通貫の「EC支援事業」と、幅広い「販売事業」の相互作用
――御社はEC支援事業企業としてスタートされ、現在は自社で販売事業も手掛けています。まずは、全体の事業概要から教えてください。
コマースメディア株式会社 販売企画部 Poled事業責任者 小林俊也氏(以下、小林) 私たちは「EC・流通に関する全ての領域」を担っている会社です。お客様のご要望に応える形で、サイト制作、運営代行、受注処理、物流代行、そしてカスタマーサポート(CS)へと支援領域を広げてきました。 現在は、こうしたクライアントワークを行う「EC支援事業」と、自社で商品を仕入れ・製造・販売する「販売事業」の二本柱で経営しています。EC支援事業と販売事業の売上比率はおよそ半分半分で、バランスの取れた事業構造になっています。
――「EC支援事業」について詳しくお聞かせください。
小林 具体例をあげると、電話とFAXでしか注文を受けていなかった飲料品メーカー様から「ECを始めたい」とご相談をいただいたケースがあります。この時は、まずShopifyで自社の公式サイトを構築し(※)、その後、楽天市場やYahoo!ショッピング、Amazonなどの展開も支援しました。
フルフルでのサービス提供の他にも、楽天市場での売上に苦しんでいる企業様には楽天市場における運用を支援しますし、将来的に「自社ECを外注せずに運用したい」というお客様にはEC内製化の支援もします。
――「販売事業」についてはいかがでしょうか。
小林 自分たちでコーヒーの生豆を仕入れて焙煎・販売まで行う「ILMIIO ROASTERY Lab.(イルミオロースタリーラボ)」を展開したり、韓国発のベビー用品ブランド「Poled(ポレッド)」を扱うPoled Japanの日本総代理店を務めたりしています。他にもスポーツクラブ支援としてグッズの提案もしていますし、小規模ながら実際に商品を販売する実店舗も運営するなど、取り扱うブランドやサービスは続々と増えています。
※コマースメディアは2017年に「Shopify Experts」を取得。2022年には「Shopify Plusパートナー」の認定を獲得している

「ILMIIO ROASTERY Lab.」公式サイト。自分だけのオリジナルブレンドコーヒーが作れるサービスも展開している
お客様に徹底して伴走し、成功に貢献する「アカウントセールス」を募集
――今回、新たに「営業職」の採用強化に至った背景・目的をお聞かせください。
コマースメディア株式会社 代表取締役 井澤孝宏氏(以下、井澤) これまで、コマースメディアには「営業職」というポジションがありませんでした。それは、ありがたいことに、多くのお客様からインバウンドでお問い合わせをいただき、それに対応する形で事業が成長してきたからです。
しかし、今後、会社としてさらなる事業拡大を目指す中、私たちから「こういう打ち手が必要ではありませんか」と能動的に提案する体制を強化したいと考え、営業職の採用を強化しています。
井澤代表取締役。コマースメディアは2016年に設立後、現在は東京本社のほか、札幌・大阪・福岡に拠点を構える
――新規の案件を獲得する「営業」とは、少し役割が異なるのでしょうか。
井澤 私たちが求めているのは、単に“契約を取ってきて終わり”という営業ではありません。私たちは「クライアント伴走型」でサービスを提供しており、その企業様と長く、一緒に事業を伸ばしていくことを重視しています。そのため、最初の接点を持つだけでなく、その後の関係構築や継続的な提案を行い、お客様のビジネスの成功にしっかり向き合っていく「アカウントセールス」のような役割を期待しています。
小林 基本的に、入社後はインバウンドのお問い合わせ対応からスタートします。「こういうことをやりたい」というご要望に対して、単に見積もりを出すだけでなく「その目的であれば、こちらの施策のほうが効果的です」「今のフェーズなら、まずはここから始めましょう」といったすり合わせを行い、提案の質を高めていきます。テレアポを何百件もかけるような、プッシュ型の営業をお願いするつもりはありません。
――現時点で「営業」ポジションを設けていないとのことでしたが、今後はどのような体制作りを目指していらっしゃいますか。
小林 現状、専任の「営業」という職種が存在しないので、各部門のマネージャーがプロジェクトごとに責任を持って対応しています。そのため、今回入社される方には、“コマースメディアの営業の型”を一緒に作っていただくことになります。「決められた業務をこなすより、基準やルールを自分で作り上げていきたい」という方にとっては、とても面白いフェーズだと思います。
小林氏は、ECの実務は未経験だったが、コマースメディア入社後にクライアントの支援業務に携わり、現在は「Poled」事業の責任者を務める
経営に近い視点でEC全領域のスキルを身につける
――貴社で営業職として働いた場合に、どのようなスキルを身につけることができるのでしょうか。
井澤 お客様のビジネスの成功に直接関わるため、経営に近い考え方、スキルが身につきます。私たちの担当領域は広く、お客様の役に立つ提案を行うためには、サイト制作やコンサルティング、運営、物流といったECの全工程を理解しなければなりません。ビジネスの上流から下流までを網羅しているため、上位レイヤーと話ができる人材に成長できます。
――「EC支援事業」と「販売事業」の両方を展開していることも、担当領域の広さにつながっていると言えそうです。
井澤 そうですね。今回は主にEC支援事業における採用ですが、自社製品の卸先を開拓する担当者もいますし、当社ではプロジェクトの兼務を推奨していて、将来的には「クライアントワークをしながら自社製品も売れる」人材になってほしいです。縦割り組織での固定された業務ではなく、広い領域を担える環境に惹かれて入社する人も多くいます。実際にコマースメディアでは1年前と同じ仕事をしている人はほとんどおらず、自分の担当領域を広げていくことに楽しさを感じられる人がマッチすると思います。
――EC業界未経験でも活躍できる環境でしょうか。
井澤 もちろん可能です。ECの知識はあるに越したことはありませんが、それよりも「クライアントの成功に向き合う意思」や「営業としての経験」を重視しています。特に「売って終わりにしたくない」「もっと顧客に深い提案をしたい」と感じている方には最適な環境です。

ベビー用品「Poled」の公式サイト。自社サイトや主要ECモールでのオンライン販売はもちろん、実店舗での取り扱いも拡大している
スムーズな社内コミュニケーションで柔軟な働き方を実現
――リモートワークのような働き方はできるのでしょうか。
小林 私たちは福岡や札幌にも拠点があり、リモートワークが浸透しています。週に1回、出社を推奨している曜日を設けていますが、強制ではありません。リモート中心で働く人もいる分、ツールを活用した管理は徹底しています。Notionを使って案件ごとのタスクやスケジュールを細かく可視化していますし、工数管理ツールとGoogleカレンダーを連携させて、「誰が・どの案件に・どれくらい時間を使っているか」をデータ化しています。これにより、「効率化できる余地があるか」「適切な業務量になっているのか」といった分析ができ、リモート環境でも健全にプロジェクト運営を進めています。
――社内の雰囲気やカルチャーについても教えてください。
小林 良い意味で“職人気質”な人が多いですね。自分の担当業務を着実に、高いクオリティで遂行することに喜びを感じるメンバーが集まっています。一方で、案件ごとに部署横断のチームを組むので、社内のコミュニケーションは活発です。一つの案件に対して、運営部、制作部、販売企画部のメンバーが集まり、部署の垣根を超えて連携しています。
時には支援を断ることも。「本音で」お客様と向き合い続ける
――御社は来年で設立10年目を迎えます。今後の事業展望をお聞かせください。
井澤 創業当時、EC市場はまだ「お店(実店舗)」の立場が強く、ECに携わる人材の価値も定まり切っていない時代でした。そこからコロナ禍を経て業界は激変し、私たちもその変化に対応しながら成長してきました。当初思い描いていた「支援事業と販売事業の両立」は実現できましたが、まだまだやりたいことは尽きません。今後は「物流」や「製造」にも、さらに深く入り込んでいきたいと考えています。
――事業領域を拡大しているフェーズだからこそ、働くメンバーのスキルアップやキャリアにもつながるということですね。
小林 コマースメディアの営業では、お客様と対等の立場で会話できます。ECの全てを担っているので提案できる幅は広いですし、それがクライアントのためになるのであれば「今はECに注力するのをやめましょう」と止めることもあります。当社としては失注の扱いですが、それが正しい場合はいいんです。本音で話してお客様の成功に向けた支援ができるのは、コマースメディアだからこそです。
井澤 私がよく言っているのは、「会社のやりたいこと」と「個人のやりたいこと」が重なる部分を大切にしようということです。「好きなことでは稼げない」「稼ぐためには好きなことは我慢する」といった二元論ではなく、その両方を満たせる場所は必ずあるはずです。しっかり稼いで会社の基盤を作りつつ、その上で自分たちのやりたいことを乗せていくといった働き方ができる場所でありたいと思っています。
東京本社内に設置されたコーヒーの焙煎機。さまざまな種類の生豆も並ぶ


