生産者とユーザーを繋ぐ“コーヒー”美味しさの秘密【店長のホンネ】

ECのミカタ編集部

本格的な美味しいコーヒーが飲める「堀口珈琲」。店舗でコーヒーの香りに癒されながら飲む人や自宅でリラックスをしながら飲む人がいます。いずれにしても、堀口珈琲のファンがそこには存在しています。そんな堀口珈琲のコーヒーへの想いを執行役員/店長 小野塚裕之さんに伺いました。

時期によって”おすすめ”が変わる!

 堀口珈琲のEC店舗が始まったのはおよそ20年前。当時は、現在のようにECが盛んではなく、EC店舗自体少なかった。その時の苦悩を小野塚さんは「EC店舗やネットでのカード決済が一般的に馴染みのないものだったので、なかなか多くの人に利用してもらう機会がありませんでした。」と話した。また、受注等の作業負荷が大きく、売上を向上させることは想像以上に困難だった。

 EC店舗での売上も伸びてきているそうだが、やはり、店舗に来て購入する人が多い。その理由として、小野塚さんは、”魚屋”に例えた。
「魚屋に行くときは、あらかじめ魚を決めて買いに行くのではなく、まずは魚屋に行って店主におすすめを聞いた上で買われる方が多いと思います。それとコーヒーも同様で、時期によって”おすすめ”が変わります。実店舗ならではの対面接客でできる旬のおすすめやお客様の好みに応じたおすすめをECでもできる限り目指しており、それがECの好調に繋がっています。その”魚屋”の要素をECにも取り入れています。」

ユーザーを増やすための堀口珈琲ならではの施策!

ユーザーを増やすための堀口珈琲ならではの施策!

 堀口珈琲のECサイトには、コーヒーを作っている生産者を掲載している。商品を並べて、説明を丁寧にしているECは多いが、堀口珈琲はそれはもちろんのこと、それ以上に生産者について丁寧に書いてある。その施策には、小野塚さんの想いがあった。
「何よりもコーヒーを作っているのは生産者であるため、その生産者の努力や「その努力を認め、堀口珈琲が高く評価している」という態度をユーザーに感じてもらうことが最も大切だと思います。画面の奥に生産者や我々ロースターが居て、品質のために努力している様子を感じてもらうことが美味しさに繋がると考えています。」

 さらに、もう一つ「お試しセット」という施策がある。これは、初回購入者のみが購入できる商品であり、50グラムのコーヒーが6種類付いている。値段は1,800円で、送料は無料だ。さらに、会員登録すると550ポイントが付く。この「お試しセット」が存在する理由は、”ユーザーに味を選んでもらいたい”からだという。
「直接店舗に来られる方は、スタッフの話を聞きながら自分の好みに合ったコーヒーを選びます。しかし、ECではそれができず、コーヒーに対する十分な知識をお客様が持ち合わせていない中で選ばなければいけないことも考えられます。それで、もし口に合わなかったら、もう堀口珈琲で購入して頂けなくなると思います。知識があって、自分で選んだコーヒーが口に合わなかったら、それは仕方が無いことです。しかし、知識が無く選んで「まずい」と思い込んでしまい、さらにその評価が広まってしまうことはどうしても避けたいことです。そういう意味でも6種類から自分の口に合うコーヒーを選んで頂きたいです。」

 「お試しセット」は低価格で提供していることもあり、初回購入者のほとんどが購入している。そのおかげもあり、直近の1年間では、ユーザーの数が増加しているそうだ。だが、そこで止まってしまい、2回目の購入に繋がらないユーザーも少なからずいた。そのことで、元々4割あったリピート率が下がってしまった。それを上げるための施策について、次のように語った。

「「お試しセット」にはクーポンが付いており、それを1ヶ月以内であれば利用できるという、2回目に繋げる施策をしています。また、会員登録と合わせて550ポイントが付き、次回注文時に利用することができるなどの施策も、お客様に満足して頂けているはずです。ただ、これ以上、クーポンやポイントを付けることはしません。やはり、商品の付加価値を下げることはしたくありませんので、これ以上に安くすることは考えていません。また、クーポンでお客様を繋げていると、終わりが無くなります。ただ、お客様に喜んでもらうためには、現状の施策は続けていきます。」

堀口珈琲が掲げる高い目標とは・・・

 堀口珈琲には”日本のコーヒーを美味しくする”という高い目標がある。コーヒーが本当に好きな”コーヒーマニア”も一般の人も美味しく飲んでもらえるようなコーヒーを目指している。さらに、今後は”リピート施策”と”ECサイトの利便性”に力を入れていくそうだ。そこには、やはり、ユーザーに”コーヒーを購入し続けて欲しい”と”ユーザーを楽しませたい”という想いがあった。

「ECでは、購入して頂いたユーザーの顔を見ることができないため、商品の感想を聞くなどもユーザーが迷惑に思わない程度にメールを配信していきます。メールを送る際も「何を購入したか」「どういう嗜好をお持ちか」「どこに住んでいるのか」等を区別し、ピンポイントに送ります。せっかく縁があって購入して頂く方なので、長く付き合っていきたいです。
 また、動画などのコンテンツを増やして、ユーザーをもっと楽しませたいです。弊社はECサイトとコーポレートサイトが別にありまして、ECサイトは商品を購入することが専門になっています。それだけでなく、楽しんでもらうためにも「コーヒーの保存方法」や「美味しいコーヒーの淹れ方」等を分かりやすく掲載していきたいと思います。」

 ”コーヒー”への強い想いがあるからこそ、ユーザーが集まる。さらに、コーヒーを作っている生産者をとても大切にしており、高く評価をしている。それほど、優秀な生産者が居るからこそ、美味しいコーヒーとなる。一度飲んでみると分かるが、ほどよい苦さと甘みが絶妙で美味しい。筆者自身、苦いコーヒーが飲めないが、堀口珈琲のコーヒーならば美味しく飲むことができた。それはやはり、”コーヒーへの深い愛情”が”美味しさ”に繋がっているからではないだろうか。


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