2015年検索エンジンマーケティング業界ニュースを発表

株式会社アイレップ(以下アイレップ)SEM総合研究所※は、2015年の検索エンジンマーケティング(SEM)業界における10大ニュースを発表いたします。2015年もデジタルマーケティングで多くの話題を集めたSEMですが、業界の様々な動向により、認識・理解すべき知識の習得や長期的な戦略と施策の継続性が益々重要になってきていることから、企業の広告・マーケティング担当者をはじめとする関係者にとって目を離すことのできない1年となりました。

そこで今回アイレップ SEM総合研究所では、2015年のSEM業界における最重要な10大ニュースを選定しました。選定にあたり、日本のSEOの第一人者である株式会社アイレップ SEM総合研究所 所長 渡辺隆広を中心に討議を重ね、デジタルマーケティング領域専門のアイレップならではの視点で、特に影響度の高いものをセレクトしています。なお、この10大ニュースの選定は2006年からの恒例で10回目の発表となります。
※ SEM総合研究所(サーチエンジンマーケティング総合研究所):アイレップのR&D部門として2004年6月に設立。

<2015年検索エンジンマーケティング業界10大ニュース>
■検索アルゴリズムに「モバイルフレンドリー」基準を導入
2015年4月21日より、Google スマートフォン自然検索順位を決定する際に、「モバイルフレンドリー」という基準が導入されました。スマートフォンの画面でWebページがきちんと閲覧できるか、リンクをタップできるか等、SEO よりもユーザーエクスペリエンスの範疇に関わるものでしたが、検索順位に影響することと4月21日導入という事前アナウンスがあったことで、大きな話題となりました。同日以後、ほとんど話題にならなかったという意味でも2015年の大きなニュースの1つといってもよいでしょう。

■Micro-Moments (マイクロモーメント)
スマートフォンの普及に伴って私たち生活者の行動も大きく変わりました。日常生活の中で「何かをしたい」と思った時に、パソコンではなくていつも手元にあるモバイル端末の画面にアクセスするようになりました。この行動変化を Google が定義した言葉が「Micro-Moments」(マイクロ・モーメント)です。スマホ時代におけるWebマーケティングを考えるうえで、理解しておきたい概念といえるでしょう。

■Chrome、重要なプラグインコンテンツを検出して実行を標準化
Google のブラウザChrome が2015年9月にリリースした CHROME 45 より、重要なプラグインコンテンツを検出して実行が標準化されました。Flash広告の多くが自動再生されなくなるということで、大きな注目を集めました。

■ハッキングスパム対策アルゴリズムの導入
近年、不正なハッキングによるスパムが増加していることを受け、Google が対策を講じ始めました。特に自然検索結果の品質に著しく影響を与えていたブランドやアクセサリと通販系クエリの掛け合わせにおいて、不正なスパムサイトが表示されないような対策が実施されました。しかしフィルタリングが強すぎたために、正規の通販サイトの多くも自然検索結果に全く表示されなくなる事象が一時的に発生し、一部の通販サイトが現在も影響を受けています。

■Yahoo!検索、SSL暗号化を実施
Yahoo!検索が2015年8月より、セキュリティ向上を目的とした検索の通信暗号化を段階的に開始しました。この影響により、一足先に検索にSSLを導入した Google 同様、Web解析などで来訪者が使用した検索クエリが参照できないようになりました。現在の SEOは検索クエリ単位ではなく、クエリインテントのグルーピング単位での対策に移行しており、実質的な影響は軽微ではないでしょうか。

■Google 、AJAXクローリングスキームを変更
2009年に Google が発表した AJAX のクローリングスキームが変更になりました。従来の方法は非推奨とされました。Google のレンダリング技術が進化したことが背景にあります。今後はプログレッシブ・エンハンスメントに準拠した Webサイトを構築することで、Google にインデックスされるようになります。

■アプリ検索の課題を解決する、App Indexing を推進
アプリのコンテンツをキーワードで検索できるようにする技術は、同ビジネスにかかわるどの企業にとっても大きな課題の1つです。Google は今年、App Indexing を推進し、スマートフォン検索利用者がWebもアプリも従来通りの検索方法でスムーズに探し出せるような方法を提供してきました。自社のAndroid だけでなく、iOS 向けにも徐々に App Indexing を展開してきています。アプリのストリーミング配信やアプリ単体のインデックスなど新しい試みも、特にアプリ中心にビジネスを展開し検索流入が大切な企業にとって、Google の動向に目が離せません。

■「候補の表示」から「回答の表示」が加速 Google ダイレクトアンサー
スマートフォンからの検索回数が大きく伸びる今、検索機能の拡張がスマートフォンニーズに基づいたものになってきています。昨年、今年と特に顕著なのが、検索クエリに対して(回答候補の)リンクではなく、回答を直接、検索結果画面に表示するアンサーの充実でしょう。用語の説明などを表示する「フィーチャードスニペット」や人物や企業、観光スポットなどについて詳しく表示する「ナレッジボックス」など、リンクをクリックしなくても欲しかった情報が得られるケースが増えてきました。Micro-Moments による「今すぐ知りたい」ニーズを反映しているといえるでしょう。

■Twitter、Google と再びデータ提供に合意
2015年2月、Twitter はリアルタイムでのツイートデータ(Firehose)の提供についての合意と発表しました。もともと2009年から2011年まで提携していた両社ですが、契約更新に至らなかったために当時提供していた Googleリアルタイム検索も提供中止となっていました。5月にはスマートフォンとタブレット検索に、8月にはデスクトップ検索の検索結果画面にクエリと関連性が高いツイートが表示されるようになっています。

■インターネット広告における「インプレッション効果」が新たに指標化へ
いままでインターネット広告の効果としてはクリックやコンバージョンに注目しがちでしたが、新たにインプレッション効果など「視聴」に注目が集まり始めました。インプレッション効果は企業の認知やブランドイメージなどが指標となり、事前に広告効果の標準的な目安を把握できる上、広告出稿後におこなう効果調査においても、比較対象として考察の材料にできると期待されています。