TSIホールディングスがECサイト構築にデマンドウェアを導入

 デマンドウェアのクラウドコマースプラットフォームの導入により、わずか6ヵ月間に7つのブランドのオムニチャネルサイトを立ち上げることに成功。
 クラウドコマースソリューションの世界大手Demandware, Inc.の日本法人、デマンドウェア株式会社(以下、デマンドウェア)は6月8日、総合アパレル大手株式会社TSI ホールディングス(以下、TSI)が、ブランドごとのWebサイト構築にデマンドウェアのプラットフォームを導入し、わずか6ヵ月の間に傘下のグループ会社が運営する7つのブランドのオムニチャネルサイトを立ち上げることに成功したことを発表した。

<導入先>

 TSIは、nano・universe(ナノ・ユニバース)、NATURALBEAUTY BASIC(ナチュラルビューティベーシック)など、2016年2月現在で34のブランドを擁し、国内約1,300店舗で展開する総合アパレル企業で、総売上は約1,670億円。ECが占める割合はおよそ12%の約200億円で、その売上は年々増加している。

<オムニチャネル>

 TSIでは、Eコマースにおいてはオムニチャネル化を目指し、ブランドごとに開設しているECサイトを「オムニチャネルサイト」と呼んでいる。そこでは店舗とのシームレスな連携を重視し、サイトでの店頭在庫確認や、サイト予約した商品を店頭で試着してから購入できる「在庫の一元化」と、サイトと店舗の顧客データベースを統合し、ポイントカードの共通利用や商品購入履歴を取得できるなどの「顧客の一元化」を可能にする機能が必要であった。

<課題>

 TSIおけるEコマースとデジタルマーケティング事業を担う、株式会社TSI ECストラテジー(以下、TSI EC)では、このブランドごとのオムニチャネルサイトの構築を、これまで国内の開発会社に発注しオンプレミスで行ってきたが、より迅速・容易にオムニチャネル化とグローバルEC化を推進できるプラットフォームを求めていた。

<解決・成果>

 TSI ECが、ユニファイドコマースを提供する、世界で代表的なクラウドコマースソリューションである「デマンドウェア」と出会い、導入したことにより、圧倒的に少ない工数でオムニチャネルサイトを次々と構築。2015年11月末に最初のサイト「JILL STUART (ジル スチュアート)」をオープンして以降、12月の「DVF(ダイアン フォン ファステンバーグ)」(日本語サイト)、1月の「VIVIENNE TAM(ヴィヴィアン タム)」、「ADORE(アドーア)」、2月の「HUMAN WOMAN(ヒューマンウーマン)」と、わずか4ヵ月の間に5ブランドのオムニチャネルサイトをリリース。

 続いて5月18日にJILL by JILLSTUART(ジル バイ ジル スチュアート)、31日には東京スタイルがリリースされた。従来のオンプレミス型では一つのサイト構築には、最短でも3.5ヵ月が必要だったことから、デマンドウェアのスピードは圧倒的といえる。

<グローバルEC化>

 2番目のポイントが、TSIの目指すもう一つの戦略「グローバルEC化」「クロスボーダーEC化」とのデマンドウェアの適性である。国内の開発会社に発注して個別にサーバーを構築する従来のオンプレミス型では、グローバルEC化の際、その国ごとに対応するローカライズが必要で、多大なコストと時間が費やされるが、海外展開に必要なあらゆる機能が実装されているデマンドウェアなら、スムーズに当該国での事業を開始できる。

 マルチカレンシーや中国マーケットに対応しているので、開発工数の削減と展開のスピードアップが可能である。

<総合評価>

 TSI ECの代表取締役社長・柏木又浩氏のコメントは以下の通り。

 「プラットフォームとして重要なのは“スピードと汎用性” です。デマンドウェアであれば、新たな要素やテクノロジーにスピード感を持って対応できます。オムニチャネル化を推進していくうえでは、今後別のソリューションやサービスとも柔軟に連携していく必要があり、汎用性のあるプラットフォームを選択しなければなりません。

 デマンドウェアは、その点でも優れていると感じました。将来を見据えた連携のしやすさという優位性も重要なポイントと言えます。最初のサイトのオープンからわずか4ヵ月間で5つのサイトを構築できたのは、デマンドウェアだからこそです」。常にトレンドやIT の変化へ俊敏に対応し、最新バージョンを提供し続けるデマンドウェアの姿勢が高く評価された。

<コンテンツ更新>

 TSI EC デジタルマーケティング部 部長の岸 武洋氏は「デマンドウェアは、CMS が非常にしっかりしており、変更や修正などもすべて内製化できるので、公開までのリードタイムを大幅に短縮できるとともに、手間やコストも削減できます」と語っている。

<コスト削減効果>

 TSI EC EC事業支援部 部長の鈴木雅也氏は、「クラウドサービスであるデマンドウェアは費用の中に固定費が含まれているので、保守や運用、サーバーメンテナンス、機材調達などの追加コストを削減することができます。実際に新規サイト構築に関わるコストは20%削減できました。しかも店舗連携などの効果も含めて考えれば、すでにそれ以上のコスト削減効果になっていると思います」と述べている。

<コマース成果の向上>

 同社による比較では、サイトでも店舗でも購入する顧客の単価が、店舗でのみ購入する顧客の約2倍から4倍という実証結果が出ており、オムニチャネル化の大きな成果である。さらにモバイルからの利用率は、以前のサイトでは60%程度であったが、デマンドウェアを導入したサイトでは80%を超えており、モバイルサイトの使いやすさによるものと判断されている。

 各サイトではオープン直後から好調な売上を記録しており、これまで直営のEC サイトがなかったHUMAN WOMANでは、初日に100 万円を超える売上があった。新規の顧客が違和感なくデマンドウェアのサイトで購買行動をしたことになる。運営初期から具体的な成果がさまざまな形で現れている。

<成果獲得の背景>

 前出の岸氏は、「デマンドウェアは、商品購入までのページ遷移数やナビゲーションなどが最適化されており、ユーザーインターフェイスもよく練られています。マルチデバイス対応のレスポンシブデザインですので、従来のように個別にモバイルサイトを制作する必要はありません。サイトのクオリティは非常に高く、お客様にとって非常に使いやすくなっています。今後店舗と連動したサービスなども始まりますが、お客様にさらなるサービスやメリットを提供できると思います」と語る。顧客のビジネスを最大化する仕組みに作り上げていることが、さまざまな具体的成果の獲得に繋がっている。

<サポート>

 デマンドウェアの代表取締役社長・北村 守は、「デマンドウェアが最も力を発揮する業種の一つであるアパレルの大手企業・TSI様でご採用いただき、国内初の大型導入例として稼動を開始しました。早速に成果を生み出し、またTSI様からも高い評価をいただき、大変うれしく思います。身近な国内拠点として、今後も同グループのコマースビジネスの発展と成果の最大化に向けて精力的なサポートを継続する所存です」と述べている。

<今後の展望>

 TSIではこれからもデマンドウェアをコマースプラットフォームとして、ブランドごとのオムニチャネルサイトを順次構築していく計画である。またクロスボーダーECの実装を順次スタートさせグローバルEC化の展開を開始する。加えて、さまざまなアプリケーションと連携するなどオムニチャネル化もより強化していく方針である。