インスタのフォロワーを増やす5つのポイントは?EC店舗の運用法

古西なつ子

定員オーバーの大盛況となった勉強会

超一流の講師陣が惜しげなくノウハウを教えてくれる、と大人気のJECCICA勉強会が開催されました。第11回のテーマは『実践編 Instagram講座』。EC業界におけるSNSに精通した松本順士JECCICA理事が、2018年の最新版インスタグラム運用方法についてレクチャーしてくれました。松本理事は、4年で年商30億円のECサイトを作った経験を持ち、コンサルティング実績は1,000社以上。数々のクライアントを成功に導いてきました。インスタグラムのフォロワーを増やす具体的な方法と、運用のコツとは?

今なぜインスタグラムを活用するべきなのか?

今なぜインスタグラムを活用するべきなのか?

まず、WEBとECの全体の枠組みを理解しておきましょう。

モールも自社もやっている場合には、モールから自社サイトにユーザーを誘導していく必要があります。自社サイトが同等のサービスであれば、モールを利用している店舗でもモールCRMを活用してオンラインショップに寄せていくということです。

自社サイトに集客するのが最も望ましいので、そのためにブログや外部メディア、インフルエンサー、SNSを活用します。それらをコンテンツと連動させながら、「いかに自社サイトに寄せていくのか」というのがポイントになります。

スマートニュースやグノシーのようなニュースメディアやネイティブAdsは重要で、しっかりやっていきます。また、コンテンツをしっかり作れば、自然検索からオンラインショップに誘導できます。モールで商品を買って「良かった」と感じた顧客が、自然検索で検索した場合に自社のコンテンツに飛んでくるような動線をつくるわけです。

大きな会社は担当する広報などの部署とECの部署が別々で連携がとりにくくなることがありますが、メールや動画コンテンツなども含めて連動させていくのが重要です。

今、女子高生や女子大生が検索するのはグーグルではありません。インスタグラムやツイッターで検索します。そうした状況でインスタグラムやツイッターにアカウントがないというのは、SNS上に商品名やブランド名がつぶやかれないということになります。

店舗・ネットから自社サイトへ誘導するために知っておきたいSNSの特徴

店舗・ネットから自社サイトへ誘導するために知っておきたいSNSの特徴

ソーシャルメディアは特徴によっていくつかに分類されます。

例えば「5ちゃんねる(旧:2ちゃんねる)」は「興味・関心の繋がり」です。そして誰かが一方的に話すという意味で、一方向性の発信・情報になります。「価格.com」もこちらに分類されますが、最近は「360.life」など複数商品を比較し効果を検証する実践的なサイトのほうが好まれます。

インスタグラムは「Facebook」と同じで人と人とのつながりです。インスタグラムで一方的に自分の見せたいものを発信していても誰も興味や関心を持ちません。

インスタグラムやフェイスブックでECサイトが「50%オフキャンペーン開始」と単にやっても効果がでないわけです。交流や共感を得るための画像・テキストをアップして運用しないといけません。

新規顧客の獲得の入り口の一つとしてSNSを活用しますが、ユーザーとのタッチポイントを増やして連携させていくことがポイントです。

実店舗をやられている方ですと、たとえば来店してレジで会員登録するか確認する時にSNSを登録してもらうこともできます。ネットからの場合は、モールから自社サイトへ、流れをつくります。

自社サイトで売るためにどうするかをチャートで書いていくとわかりやすいと思います。

インスタグラムでチェックすべき指標は?

インスタグラムでチェックすべき指標は?

インスタグラムをやる上で、平均値、中央値は知っておいたほうが良いでしょう。

また、業界別のフォロワー数、エンゲージメント数も知っておいたほうが良いと思います。

例えばファッションだったら「10万くらいフォロワーがいるとエンゲージメントが1.85」等を知っていると、自分のアカウントと比較できます。自分のエンゲージメントが0.5だったら改善の余地がありますし、投稿自体が間違っている可能性もあります。

インスタは誰もがやらなければいけないものではないと思っています。インスタグラムの性質上、ファッションやメディアや飲食などは興味を抱かれやすく伸びやすいですし、日用品は難しい。ただ、日用品であっても活躍しているインスタグラマーに商品を提供して何かやるというのはありだと思います。

インスタの配信頻度ですが、モデルやインスタグラマーは一日に一回、食品やアパレルは営業日に毎日上げているところが多いです。インスタグラムでは今現在(※5/31)予約投稿できるツールはありません。大企業のご担当者に貸与のスマホで「休日に自宅で効果が高い20時21時に投稿してもらう」のは難しいでしょう。その部分で中小が差をつけられるし中小にも勝ち目があるところだと思います。

エンゲージメントはなぜ重要か

エンゲージメントはなぜ重要か

例えばグーグルの検索順位では、SEOが良いサイト、被リンクが多いサイトは上がっていきます。SNSも同様です。
インスタグラムでは、質が高く自分に関連する投稿、素晴らしい投稿をフィードに出していきます。フェイスブックやインスタグラムは「エンゲージメント」で質や関連を判断しています。

インスタグラムのエンゲージメント計算方法は次の数式で表されると言われています。

<エンゲージメントの式>
エンゲージメント率(反応率)=エンゲージメント(いいね数+コメント数)÷フォロワー数

ポイントは「フォロワー数だけ多くてもダメ」だということです。フォロワーを増やしてもエンゲージメントがついてこないと、質の悪いアカウントになってしまいます。「いいね」やコメントが増えないままフォロワーが膨大になっても、エンゲージメントは下がって最悪です。

大手のインスタグラムを分析していると、フォロワー数がガクッと下がっていることがあります。それはおそらくインスタグラムの基準で削除されたアカウントがあるからです。

ですからインスタグラムで重要なのは、フォロワー数を上げることよりも「いいね」や「コメント数」を増やすことです。エンゲージメント率が10%になれば、質が良い投稿とされて広がっていきます。

インスタのフォロワー数を増やすための5つのポイントは?

インスタのフォロワー数を増やすための5つのポイントは?

では、フォロワー数を増やすためにはどうしたらよいのでしょうか。

仕事でインスタグラムやる場合に重要なポイントは5つです。

・エンゲージメントの多い投稿が有利
・投稿してから早くエンゲージメントが得られるかがポイント
 →瞬発的に「いいね」がつくかどうかが重要
・ユーザーの滞在時間とアルゴリズム
 サイトの滞在時間と同じで、長いこと見ているかが重要。動画の再生回数も重要
・キャプションの重要性
・常に新しい機能をいち早くしよう
 テスト使用されて使えるようになっているが、誰も使っていないものは一般の人に新鮮に映り反応が良い。流行ってからやっても遅い

詳しく見ていきましょう。

ポイント1. エンゲージメントの多い投稿が有利

ポイント1. エンゲージメントの多い投稿が有利

インスタグラムのアルゴリズムはエンゲージメントに基づくようになっています。そのため、「いいね」数、動画の再生回数、コメント数、シェア数が重要になってきます。

「ブランドとしてコメントを返しません」というのはダメです。交流して共感を得るために、コメントを返して対話をします。

インスタグラムはコメントに返信するとまた再表示される仕組みになっています。

通常、投稿は投稿時にフィードの上に表示されますが時間とともに下がってきます。でも、コメントすることでまた記事がフィードの上に上がります。これを繰り返すことがポイントになります。

インスタグラムは、ファンの人が質問でき、それに企業が回答して会話できる場です。投稿して終わりにせず再生回数やコメントをチェックして、投稿に返信して会話することが重要なのです。

ポイント2. 投稿してから早くエンゲージメントが得られるかがポイント

ポイント2. 投稿してから早くエンゲージメントが得られるかがポイント

GUのようにフォロワーが多くインスタグラムにしっかり取り組んでいる企業は、反応がない投稿を削除します。質の悪い投稿があると、全体のエンゲージメントが下がってしまうので、上位のアカウントは反応が悪い投稿は消すのです。

判断の基準として、先ほどの業種ごとのエンゲージメント率が参考になります。

例えば新宿のあるサロンでは動画を頻繁に上げていますが、アップして一時間後に再生回数が5000にならなかったら消しています。

ポイント3. ユーザーの滞在時間とアルゴリズム

ポイント3. ユーザーの滞在時間とアルゴリズム

フェイスブックと同様に、ユーザーが投稿をどのくらいの時間見ているかが大切です。人気を測る指標として、投稿を見るのに費やした時間を見ています。

そのため「カルーセル広告」や動画が重要です。

カルーセル広告は、1つの投稿で複数の写真を同時に掲載できる形式です。1枚の写真より、スワイプして複数の写真を見るほうが、時間がかかります。動画も長すぎるのは問題ですが、10秒であれば10秒、視聴に時間がかかります。

投稿の滞在時間を長くすることで、インスタグラムのアルゴリズム上は、質の良い投稿にすることができます。

ポイント4. ユーザー間の相互作用の重要性

ポイント4. ユーザー間の相互作用の重要性

インスタグラムでは、高いエンゲージメント数が誇る投稿が優遇されるだけではなく、「いつも見てくれている人(フォロワー)」からのエンゲージメント率に基づいて投稿の法事範囲を制限もします。

インスタでは友達のものがフィードに上がってきやすいと思います。フィードには自分の好むコンテンツが並んでいます。フォロワーのエンゲージメントにより、より他のフォロワーの目にも触れやすくなります。

ポイント5. 常に新しい機能をいち早く使用

ポイント5. 常に新しい機能をいち早く使用

2010年にインスタグラムが誕生し、2013年に15秒の動画が投稿できるようになりましたが、すぐやっている人はあまりいませんでした。プロ系の人ばかりでした。

2016年に始まった「ストーリーズ」もSLYやMOUSSYなどはやっていましたがネット専業系のアパレルがやり始めたのは最近です。

今後の新機能では、「Shop Now」というショッピング機能があり(注:国内で6月5日に解禁)、本国ではCOACHやアバクロなどがどんどんテストしています。例えばバッグの写真をタップしたら価格とメッセージが出て商品が買えるようになります。インスタグラムから直接ECサイトの商品ページにリンクすることができるので、インスタグラマーが販売できるようになります。その時にEC事業者がやろうとしてもフォロワー数が少なくてできなくなりますので、しっかりちゃんとした運用ができるようにしておくといいでしょう。

大阪のアパレルブランド、株式会社パルでは、採用面接で「フォロワー数がどのくらいいますか?」というのを聞くそうです。

店頭に立つ人にカリスマ性があるというのが重要で、単なる店頭アルバイトではなく、自分の会社のブランドをフォロワーに押すわけです。このように考え方を変えているブランドも増えてきています。

新商品発売をインスタグラムのLIVE配信で盛り上げていくこともできるでしょう。

例えば東銀座にあるアパレル企業が「ゆうこす」を使って1時間LIVEしたら、2千万くらい売れます。そのくらいの規模感はあります。

ストーリーのアンケート機能で顧客に情報提供を求めることもできます。

イベントを開催するのであれば夜のうちにハイライトを引き立てるためにカルーセル広告を作ることもできます。このように新機能を知っていくことが重要です。

効果的なインスタグラム運用を実践するには?

効果的なインスタグラム運用を実践するには?わかりやすく解説する松本順士JECCICA理事

毎日投稿するのは必須だと思います。「いいね」数もフォロワーの伸び数も変わってきます。毎日投稿するためには、シリーズ化すると良いと思います。

「月曜は○○する」「火曜日は●●する」「金曜は週末だから××やる」とスケジュールを決めましょう。また、コメント返しは絶対しましょう。

ハッシュタグを30個などたくさんつける、というのも大切です。コピペでマンネリ化しないように付けていきましょう。投稿で写真に写っている被写体などどきちんと紐付けることです。

投稿から1時間に「いいね」や再生回数が増えなかったら削除。これは上級レベルなので真似しなくて良いと思いますが、通常の「いいね」数が1000なのに、100や200であれば消したほうが良いです。

また、ベンチマーク先は日々チェックして、いい投稿があれば真似るというのもポイントです。

そして注目を集めるためには、他の人がやっていない投稿を行うほうが良いです。投稿や広告の結果を検証してよければどんどん取り入れて使用していきましょう。そして新機能は即使用します。

これらは、片手間でできるわけではありません。分析してベンチマークして撮影して、どうして投稿するか考えると時間がかかります。また新しいものが好きではない人もダメです。インスタグラムの専任の担当者が必要だと思います。




とてもわかりやすい、内容の濃いレクチャーで、感激しました!

当日は、お手本にするインスタのアカウントの紹介、サクラのフォロワーが多いインフルエンサーの見分け方、画像選定のポイント、広告運用の具体的なコツなどここで紹介した以外に多くのノウハウを教えていただきました。

後半は、実際にインスタ運用を担当しているプロフェッショナルが登壇。便利なインスタアプリを紹介して実際の使い方もデモンストレーションしていただきました。

初めて知ることばかりで、参加者から驚嘆の声が上がっていました。

JECCICA勉強会は、一流講師に気軽に質問できるのも魅力です。この日も様々な質問があり、一つ一つ丁寧に答えていただきました。

内容についてのお問い合わせは以下からお願いします。
http://jeccica.jp/page-36/

(資料の出典はいずれも松本理事の当日配布資料)

【松本順士JECCICA理事(エスアンドティーパートナーズ株式会社代表取締役)】
17歳からWeb業界一筋。大学在学中より数々のECサイトを運営しレディースアパレルECにおいてわずか4年で年商30億円のECサイトを作った経験を持つ。
現在は1,000社を超えるコンサルティング実績を持ち、さまざまな業種にクライアントを抱える。コンサルティングのほか、サイト制作、広告、セミナー、人材育成などインターネットビジネスに関する事業をトータルで手掛けている。
URL: https://stps.co.jp/
https://jeccica.jp/page-2/page-34/

次回の勉強会は広告運用と楽天・ヤフージャンル別市場動向の二本立て

次回の勉強会は、豪華二本立て!
トータルWEBコンサルティング合同会社・芳賀宗彦氏、サヴァリ株式会社代表取締役・福田泰志氏のお二人にレクチャーしていただきます。

第一部ではキーワードの考え方、効果的な広告の作成方法などGoogle広告とYahooプロモーション広告の運用について講義していただきます。

第二部では、2017年の楽天市場・ヤフーショッピングジャンル別市場動向についてレクチャーしていただきます。

<詳細>
1部『Google広告(旧adwords)とYahooプロモーション広告の有効的な運用について』トータルWEBコンサルティング合同会社 芳賀宗彦氏
2部『2017年 楽天市場・ヤフーショッピングジャンル別市場動向と解説』サヴァリ株式会社 代表取締役 福田泰志氏
  
■7月23日(月)18:00~20:00、20:00~懇親会

■開催場所:清水さん PCルーム
東京都渋谷区(詳細は参加者に連絡)


他では聞けない貴重な話が聞けるJECCICA勉強会はJECCICA会員であれば参加可能です。
http://jeccica.jp/page-36/


内容の濃さが評判のJECCICA勉強会は、少人数でアットホーム。勉強会後の懇親会も一流講師陣を囲んで和やかな会話を楽しめます!!
お問い合わせ→http://jeccica.jp/page-36/

次回のJECCICAセミナーは「マーケティングの心臓部とも言われるSTP戦略」と「米国IRCE2018シカゴの報告会」の2本立て!

次回のJECCICAセミナーは「マーケティングの心臓部とも言われるSTP戦略」と「米国IRCE2018シカゴの報告会」の2本立て!

月1回開催されているJECCICAセミナー。
7月は2本立てで開催されます。

第1部では、川連一豊JECCICA代表理事が最新の米国EC状況についてご報告。データドリブンから進んだデータリード、パーソナライズからさらに進んだインディビジュアル、またデザインや検索対策の最新情報などをお伝えします。盛り沢山の内容で、聞き逃せません。

また第2部では、ECサイトがどんな顧客のニーズを満たすのか、どのような価値を提供して伝えれば、レスポンスが得られるのか。それを論理的に抽出する「STP(セグメンテーションン・ターゲティング・ポジショニング)の考え方と、ターゲットと訴求ポイントの構築セオリーを、JECCICA客員講師・鈴木準氏にレクチャーしていただきます。

どちらもEC関係者の必聴の内容です!!


<詳細>

日時
2018年7月20日(金)15時〜18時 (交流会 18時~)

第1部
IRCE2018の報告会「最新の米国EC状況をご報告」 
JECCICA 代表理事 川連一豊

第2部
レスポンスを得るキモは知れば知るほど「STP」!
JECCICA客員講師 株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント 鈴木 準


東京都港区西新橋1-10-2 日本
住友生命西新橋ビル 5F 株式会社Eストアー セミナールーム


お問い合わせ、お申し込みはこちらから
https://jeccica.jp/the-stp-strategy-also-known-as-the-heart-of-marketing/#content


著者

古西なつ子 (Natsuko Konishi)

出版社などを経て、ライターとして入社した会社でネット通販に携わるように。モール店舗運営、分析、OEM商品開発、LP作成、中国仕入れ、卸、ブログ関係の業務を行う。