イーベイ・ジャパン主催「eBayセラー・ミートアップ」開催!第2弾の東京では50名のセラーが集結し、今後の動向に耳を傾ける。 商品増、カテゴリー拡大、「eBaymag」を通した多国販路拡大を支援
eBayセラー約50人が参加。今後の成長につながる情報を持ち帰った
オンラインマーケットプレイス「eBay」を通じた越境EC支援を行うイーベイ・ジャパン株式会社は、eBayに出店するセラー(販売者)を集め「eBayセラー・ミートアップ」を東京で開催した。専任スタッフが全国各地に赴いて開催され、今回は北海道に続く2回目の開催だ。ミートアップは2日間にわたって開催され、この取材を行った1日目には予定人数を超える50人以上が参加。eBayの直近のマーケットトレンドや海外で人気の出品カテゴリー情報、今後の発展の方向性など熱の入ったやり取りが行われた。
日本からの流通総額が4年で倍増ペース
成長に向けて投資すると表明したイーベイ・ジャパン岡田雅之代表
はじめに挨拶に立った同社の岡田雅之代表は「この数年間、セラーの皆さんにも私たちにもいろいろなことがあった。しかし、eBayでは日本から出品された流通総額が、4年間で2倍ペースと急成長し、国別では一番成長した。世界が求める商品を数多く供給し、セラーの評価が高く、日本への期待はさらに高まっている。米国本社の幹部が頻繁に来日するのはその表れだ」と話した。
今後の展開も「まだどういう形かは決まっていないが、越境EC販売に関する試みに対し、投資を拡大することになる。日本からの商品は未着が少ない、商品の信頼性が高い、セラーのレベルが高いなど日本の良さが評価されつつある。出品枠の制限の拡大や、日本セラーのSEO改善など、働きかけていく」とし、セラーに「自信を持って行こう」と訴えた。
3つの成長ポイント
「eBaymag」で最大8カ国に同時販売が可能
ミートアップを通して語られたのは、「商品量の増大」「商品カテゴリーの拡大」「多国へ販売で販路拡大」の3つの成長ポイントだ。今後、年末に向けて商戦が拡大していくこともあり、今、扱っているカテゴリーの商品仕入れ量を増やし、需要に応える事が大事だという。
まだまだ日本のシェアが低いカテゴリーは多い。またラグジュアリーブランドや世界的に著名なブランドの日本から出品される中古商品は、品質の良いものが多くコストパフォーマンスに優れ、ニーズは高い。セラーとしての評価が高まると、上位に表示されるなど販売がしやすくなるので、他のカテゴリーの商材も売りやすくなる。複数のカテゴリーを販売するセラーも増えてきており、日本全体からの出品量を増やしていきたいという。
また、多国販売自動ツール「eBaymag」(イーベイマグ)の利用を促進する。米国(eBay.com)への出品で、最大8ヵ国のeBayサイトで同時販売でき、翻訳、在庫管理も自動化される。市場が大きいイギリス、フランス、オーストラリアなどへ販売でき、各市場の特徴の違いから幅広い商品が売れると見る。今回のミートアップにはeBayオーストラリアの担当者が参加し、コレクターの売り上げ構成の高いオーストラリアの人気商材やカテゴリー、販売時の注意点などの情報を提供した。日本セラーへの期待の高さがうかがえる。
勝機は年末商戦と3月のタックスリターン
ファッションカテゴリーの代表的な商材
とはいえ、一番大きな市場はやはり米国だ。第4四半期は最大の山場となる年末商戦を控えており、その準備が大切だ。各カテゴリー担当が最近の人気商材や販売対策などを報告した。
ファッションカテゴリーでは2022年の年間成長率が22%増で推移しており、大きく売り上げを伸ばしている。けん引するのはラグジュアリーブランドの中古ハンドバッグや腕時計だ。最近はさらにスニーカーやジュエリーの人気も高まっている。ハンドバッグでは「ルイ・ヴィトン」や「シャネル」、腕時計では「ロレックス」「オメガ」「セイコー」が売れ筋だ。日本のセラーから出品される商品は品質が高く、米国や豪州で人気があり、300万~400万円の高額商品も取引されている。
スニーカーは米国で非常に売れており、「ナイキ」のエアジョーダンやエアマックスが人気だ。需要は高いが、出品数が少なくブルーオーシャンの市場と言える。日本のスニーカーは仕入れの難易度が低く、限定品などは高額で取引される。ジュエリーは「ティファニー」「カルティエ」のほか、「タサキ」「ミキモト」は日本の真珠ブランドとして認知度が高い。国内での仕入れがしやすく、チャンスがある。
ファッションカテゴリーの販売で注意が必要なのが偽物対応だ。バイヤーに疑われないように鮮明に撮影したブランドロゴや刻印を載せたり、商品内側のブランドロゴやタグの写真、シリアルナンバーの写真を明示したりすることが大切だ。ジュエリーは鑑定書や第三者の証明書なども商品の写真と一緒に載せるといい。写真が不十分であることにより偽物と疑われた場合は出品が削除されるので注意が必要だ。
様々なカテゴリーの商品が人気に
自動車パーツカテゴリーは米国eBayの中で大きなシェアを持つ。海外では車を自分で修理するのが一般的で、映画「ワイルドスピード」などの影響もあって日本車は良く知られている。日本車ブランドのエンブレムやヘッドライト、グリルなど外装の純正パーツは人気が高い。面白いところでは最近、米国の若者の間で日本の軽トラックが人気になっているという情報も報告された。
カメラではフィルムカメラ、レンズに加え、デジタルカメラも人気の傾向で、市場が拡大している。精密機械のカメラは、日本製の信頼性が高い。気になる情報としては、液晶の言語変換できるものが必須で、海外では富士フィルム製のカメラに内外価格差が大きくチャンスがあるという。米国以外にはオーストラリアで非常に人気が高く、特にカメラを販売するセラーにはeBaymagの利用がお勧めだという。
オーストラリアではカメラとレンズが人気
楽器、スポーツ用品のカテゴリーも成長が著しい。楽器は「フェンダー」「ギブソン」のエレキギターや最近ではDJ機器の人気が高い。スポーツグッズでは日本ブランドの人気が高い。ゴルフでは「ホンマ」「ミズノ」、釣り具では「シマノ」「ダイワ」などだ。最近はサイクリング分野で100万~200万円する高級ロードバイクなどが注目商材となっている。
コロナ禍以降、趣味にお金をかける人が増え、売れる商品にも変化があるので、マーケットを良く知ることが大切だ。
ポケモンカード以外にも商機が多いコレクティブルズ
eBayが得意とするコレクティブルズは日本から出品された商品の流通総額が2023年上半期で前年同期比11%増となった。トレーディングカード(トレカ)の29%増、ビデオゲーム本体の39%増がけん引する。トレンド色が強い商材で、スピード感が重要だ。例えば上半期だけでもポケモンカードの新シリーズ発売や大谷翔平選手のWBC、MLBでの活躍、スーパーマリオブラザーズの映画公開など、盛り上がる商材がいくつもあった。人気のカテゴリーで、日本で商品を仕入れやすいのに関わらず、日本からの売り上げシェアはトレカで10%、ビデオゲームで12%、アクションフィギュア5%と低く、売り上げを伸ばせるカテゴリーでもある。
トレカではポケモンカードのシェアが圧倒的に高いが、ドラゴンボール、遊戯王、ONE PIECEのカードなども十分、商材になる。人気のシングルカードは出品数が少ないので、高額取引になりやすい。米国では対戦系より、スポーツトレカの市場の方が大きいので、ここも狙い目だという。
今後、eBaymagの利用が広がるとレゴブロックが注目だという。世界的にコレクターが多く、ビンテージのコンプリートセットは人気が高い。
コレクティブルズのトレンド情報に聞き入る参加者たち
サポートも充実させるイーベイ・ジャパン
同社ではセラーのサポート、情報提供を強化している。セラー向けのポータルサイト「セラーポータル」内には越境ECで注意するべき項目やレポート、eラーニングによる学習、セミナーの開催など販売に役立つ様々なコンテンツを提供している。セラーサポートの裏方的存在のガバメント・リレーション部からは、越境ECに関する各国の規制など法務関係の情報や各国の商品トレンド情報を集約した「越境EC取引レポート」を出している。また越境EC事業者を代表し、政府との交渉や、同業他社との情報交換も重ねている。レポートには主要国だけでなく、インドや東南アジアなど新興市場の動向なども紹介されている。各国のeBayで、どのカテゴリーでどんなワードが検索されているかなどランキング表示しており、これから売れそうな商材の仕入れやカテゴリーの拡大、販路開拓の参考にして欲しいとした。
BBEの重要性を参加者に訴える
さらにセラーマネジメント部ではBBE(悪い購入体験)を減らす取り組みを進めている。①商品の未着、②商品が説明と異なる、③ニュートラル・ネガティブフィードバック、④品切れ等によるキャンセル、を軸にセラーの現状を評価し、改善につなげる取り組みだ。日本のセラー全体では今年2月時点で前年比25%BBEが改善し、マーケットプレイスの安全性、価値提供に貢献した。BBEの管理画面では同じカテゴリーのセラーとの相対評価も表示され、自分(自社)がどこに課題があるのかがわかる。アカウントの評価が改善するほど、上位表示されるなどSEOで優位になり、増収につながりやすくなるのでぜひ取り組んで欲しい施策だ。
また「eBayアカデミー」のコーナーにはeラーニング、ウェビナー、eBay Talks(ポッドキャスト)などがあり、越境ECの販売ノウハウを学べるコンテンツが充実する。
「本気さ」を感じる時間に
参加者からは「各カテゴリーマネージャーから直接話を聞けて良かった」「こういうモノも買うんだ、という発見があった。情報がブラッシュアップされた」「今後の方針が聞けた。盛り上げていくという言葉に本気さを感じた」「老後の趣味と収入のために始めた。色々な情報が聞けて良かった。何より社長と話せたのは良い機会を頂いたと感じている」といった声があり、セラーとして事業に前向きになれる情報が多かったと感じたようだ。なかには北海道の回に参加したセラーもいて、「アットホームだった北海道より、東京は熱量が高い。参加者も多く、刺激を受けた」と話した。
岡田代表は今回の取り組みに「本社のエグゼクティブレベルからは、日本への期待が高い。日本は外せない存在になっている。それが参加者に伝えられた。日本には世界中の人が欲しいと思う商品がまだ多く眠っている。どういう投資をするかはまだ決まっていないが、注力することは間違いない。さらにインバウンドで体験した日本の良さを、旅後にeBayを通じて、提供していくことが、LTV(ライフタイムバリュー)を高めることになる」と語った。