YouTube広告の種類・運用ポイント

松原吉輝

YouTubeとは

Googleが運営する動画共有プラットフォームで、全世界のユーザー数は20億人以上と言われています。日本国内のユーザー数は約7,120万人、年齢・性別問わずユーザー層の幅は広く、動画のジャンルも音楽配信、教育コンテンツ、ニュースなど多岐にわたります。
ユーザーは投稿された動画を視聴したり、自身で動画を投稿・共有することができ、広告収入を得ることも可能です。

 

YouTube広告のメリット・デメリット

■メリット
・費用対効果
「一定時間以上の広告動画の視聴」「広告リンクをクリック」した場合に広告料が発生します。5秒以上視聴後にスキップできる広告が主流ですが、裏を返せば、5秒間で強く印象付けることができれば広告費用をかけずに認知拡大効果が期待できるのでおすすめです。

・ユーザー数
世界20億人以上、日本国内約7,120万人のユーザー数に加え、若年層からシニア層まで年齢層も幅広いです。また動画のジャンルも多岐にわたるので、ユーザーの好みや属性も様々です。
ユーザー層の厚いYouTubeは、商品・サービス問わず広告を配信できるプラットフォームと言えます。

・詳細なターゲティング
年齢、好み、地域、時間帯、キーワードなど、配信セグメントを細かく設定することが可能です。カスタムインテントオーディエンスというターゲティング機能では、ユーザーの検索情報を元に、Googleが定義したカテゴリ毎に購買意欲の高いユーザーに絞った広告配信が可能です。

・Google AdWordsとの連携
YouTubeはGoogleの提供サービスなので、AdWordsとの連携も強みです。YouTube広告に訪れたユーザーを追跡し、リマーケティングに活用することができます。
例えば、サイト訪問後にコンバージョンに至っていないユーザーに対して、YouTube動画広告を配信することも可能です。



■デメリット
・動画制作費用
画像広告に比べ費用がかかります。広告用の動画制作にかかる費用相場は30万円~というケースが多いです。ユーザーの興味を引く動画広告にするためには、動画のクオリティは必須と言えるでしょう。スライドショー形式などで費用を抑えることもできますが、訴求力が弱くなり、商品・サービスのイメージが下がる可能性もあります。

・スキップされる
せっかく動画広告を作成し配信しても、5秒でスキップ可能な広告であれば最後まで見てもらえずスキップされるケースもあるでしょう。冒頭5秒間でユーザーの興味を引けるかどうかが広告の成否を左右します。

・ユーザーにとってストレス
スキップ不可の広告の場合、見たい動画の視聴を妨げられてストレスを感じるユーザーもおり、広告商品・サービスに対するイメージダウンに繋がる可能性もあります。

 

YouTube広告の課金方法

CPV(Cost Per View:視聴単価)
広告動画が一定時間視聴される毎に課金される仕組み。30秒以上の視聴か、広告リンクをクリックされた場合に課金。


CPM(Cost Per Mille:表示単価)
広告動画が1,000回表示される毎に課金される仕組み。


CPC(Cost Per Click:クリック単価)
広告動画のリンクがクリックされる毎に課金される仕組み。

 

YouTube広告の種類

①インストリーム広告
動画の再生前後/再生中に配信される広告。スキップ可能な広告であれば、費用を抑えることも可能。スキップ不可の広告は、全ユーザーに対して最後まで動画が表示されるため、認知拡大に向いている。


・スキッパブル広告(スキップ可能)
5秒経過後にスキップできる

課金方法:CPV、CPC


・ノンスキッパブル広告(スキップ不可)
スキップできない15秒以下の広告動画

課金方法:CPM


・バンパー広告(スキップ不可)
スキップできない6秒以下の広告動画

課金方法:CPM


②インフィード動画広告
YouTubeの関連動画欄、検索結果、YouTubeモバイルページ等に表示される広告。通常の動画と同様にサムネイル画像+テキストで表示されるため、自然な広告としてユーザーの目に触れることができる。

課金方法:CPC


③マストヘッド広告
YouTubeのホーム画面の上部で最大30秒間、音声なしで自動再生される広告。ミュートアイコンをクリックすると音声が再生される。
YouTubeのホーム画面上部に掲載できるので、短期間で大規模なリーチが見込める。

課金方法:CPM


④アウトストリーム広告
YouTube以外のWEBサイト、ブログ、アプリなどで表示される動画広告。YouTube内では再生されない。動画コンテンツの視聴者以外にリーチ可能。

課金方法:CPV


⑤ディスプレイ広告
YouTubeのおすすめ動画一覧上部に表示される画像広告。WEBサイト、アプリにも掲載され、YouTube内外の幅広いユーザーにリーチ可能。

課金方法:CPM、CPC


⑥オーバーレイ広告
動画再生画面の下部に表示される横長広告。画像広告のため、動画よりも手軽に掲載できる。

課金方法:CPM、CPC



※効果的な動画の長さについて
・15秒以下の短い広告
商品やサービスの要点を端的に伝えられる短い広告は、リーチ拡大に向いています。

・60秒以上の長い広告
内容や構成に厚みをもたせることができるため、ブランドストーリーを伝えるなどのブランディングに向いています。

 

YouTube広告運用のポイント

①適切な目標設定
WEB広告全般に言えることですが、集客・認知拡大・購入・会員登録等、YouTube広告配信によって何を得たいかの目標設定が大切です。目標設定によって、アプローチするターゲット層は異なります。例えば、認知拡大が目的であれば配信ターゲットは幅広く設定し、購入が目的であればニーズが明確な顕在層がターゲットとなり、幅は狭まります。


②PDCAサイクル
・Plan(計画)
・Do(実行)
・Check(評価)
・Act(改善)

これらを繰り返すことで、広告効果を随時確認し、最適化に向けた改善点の発見と実行へと繋げていくことが大切です。
WEB広告運用でのPDCAサイクルの実施で大切なのは、前述した適切な目標設定です。特に広告配信初期においては、分析に必要なデータが不足していたり、過度に効果を期待しすぎてしまうことで、正しい分析や判断に繋がりにくくなってしまいます。

特に重要なKPI指標「CTR:クリック率」「CV:コンバージョン率」「エンゲージメント率」を確認しながら、広告効果を高めていきましょう。


※A/Bテストの活用も
広告のクリエイティブ、ターゲティング、フォーマットなどをA/Bテストし、広告効果を高めることも大切です。A/Bテストの注意点は、1箇所ずつ比較・検証することです。2つ以上の要素を変えてテストしてしまうと、どちらが結果に影響したか分析しづらくなります。




③動画のクリエイティブ
YouTube動画広告のメリットは、画像広告にはない訴求力の強さです。動画作り自体は、動画制作会社に依頼すれば一定以上のクオリティは確保できますが、「動画だから効果が出る」と漠然と動画広告を配信することはおすすめしません。
デメリットで触れた通り、動画広告はスキップされる可能性があり、冒頭5秒が勝負です。
・目を引くビジュアル、ストーリー
・短時間で魅力を伝えるフレーズ
・印象的な訴求、ユーモアを交える
これらを、自社の商品・サービスに合わせて組み立てる必要があります。動画だからこそ表現できる自社の商品・サービスの特徴は何か、どう表現すればユーザーに訴求できるか、競合他社はどのような動画広告かを分析し、動画の企画構成をしっかり練ることが大切です。


※視聴デバイスに合わせた最適化も
YouTube動画視聴者の多くがスマホで視聴するので、特にテキストサイズなどはスマホでの見え方を配信前に確認しましょう。

 

まとめ

YouTube広告は、認知拡大から購買まで幅広いマーケティングに対応でき、動画を活かした強い訴求ができるツールです。
YouTube広告の効果を最大限に引き出すためには、広告の種類と特徴を理解し、適切なターゲティングと動画クリエイティブの工夫、PDCAサイクルで定期的な検証・改善を行うことが重要です。
YouTube広告を効果的に活用し、ビジネスの成長に繋げていきましょう!




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著者

松原吉輝

マーケティング会社にて大手・中小合わせて500社の支援を事業責任者として行う。その後、経営再建のために15名ほどの会社の社長業を担い、2016年に「EC運営代行」のGIVE&GIVE(株)を創業。
クライアントは大手・中小企業とあり、楽天市場では優良店を次々と輩出。現在はECの枠を超えたマーケティング、ブランディング、プロモーション支援まで行う。
2021年、未就学児~中学生への教育支援事業として「協育・共育プラットフォーム」を提供す(株)weclipを設立。世田谷区の起業家支援プログラムのメンターも行う。他に、カベウチサービス、飲食業、アルコールアイスクリームブランドの開発・販売も行う。

HP(https://g-give.co.jp/