EC事業者なら知っておきたい! Googleショッピング広告の基本

松原吉輝

ユーザーの検索結果に画像付きで商品を表示するGoogleショッピング広告は、比較的低コストで多くの潜在顧客にリーチでき、コンバージョンの向上が期待できる、EC事業者にとってメリットの多い広告の一つです。本記事では、Google ショッピング広告の概要や運用のポイントについて解説します。

Googleショッピング広告とは

Googleの検索画面上部や、Googleショッピングタブに表示される画像つき広告です。
※「スニーカー」など調べた際に、「商品画像+価格+ショップ名」で表示される

Google Merchant Centerに商品情報を登録することで、ショッピング広告への掲載や無料リスティングへの掲載が可能になります。
どの商品が表示されるかは、Merchant Centerに登録されている商品データに基づいて決定されます。リスティング広告のようなキーワード検索に連動した表示形式ではありませんが、除外キーワードの設定は可能です。

キーワード指定はできませんが、Googleリスティング広告等に比べクリック単価は安く、また無料リスティングでの掲載もできるため、EC事業者にとってメリットの多い広告の一つです。


■有料広告
クリック課金(おおよその目安:30円~100円)
オークション形式のため、商材によっては単価が高くなる
ブランド別や商品カテゴリ別にグループを作成し、グループ毎に入札単価を設定することも可能

■無料リスティング
Googleショッピングタブ内のみに表示(表示形式は有料広告と同じ)
Merchant Centerに商品データを登録すれば無料リスティングに掲載可能

 

Googleショッピング広告のメリット、デメリット

■メリット
・コンバージョンに繋がりやすい
広告をクリックする前に、ユーザーは商品画像や販売価格など検討に必要な情報を知ることができ、また他社商品との比較ができます。結果、興味関心度の高いユーザーが広告をクリックするため、コンバージョンを獲得しやすいです。

・広告の露出度が高い
検索キーワードと関連性の高い商品であれば、季節やトレンドにあった商品など複数商品が広告表示されるので、自社の商品がユーザーの目に触れる機会を増やすことができます。


■デメリット
・手間がかかる
Merchant Centerへの商品情報登録はもちろん、その後も価格や在庫に変動があった際は都度情報を更新する必要があり、商品数が多い場合の手動更新はかなりの手間になります。
Merchant Centerと連携できるカートシステムであれば、情報更新を自動化することが可能です。またシステム導入による自動化も可能ですが、やはり一定のコストはかかります。

・入札キーワードの調節ができない
リスティング広告の場合は、配信キーワードを指定し、入札金額を設定できます。しかし、Googleショッピング広告の場合はキーワード毎の入札調整はできず、広告費用は一律となります。特定の商品に広告費をかける、といった調整の自由度がリスティング広告等よりも低い点がデメリットです。

 

Googleショッピング広告の設定方法

①Google Merchant Centerのアカウント作成

②Google広告アカウントと連携

③商品フィード(商品情報)の登録
商品フィードの登録は、1商品ずつ手作業で行うか、スプレッドシート等で一括アップロードで行います。

④ショッピングキャンペーン作成
1日の予算や、1回の出稿で使用する商品数、キャンペーンの優先順位などを設定します。

※キャンペーンの種類
通常のキャンペーンとP-MAXキャンペーンの2種類があります。P-MAXの大きな特徴は、「Google広告の全ての配信面に1つのキャンペーンから配信可能」「AIによる自動運用で作業工数を大幅に削減できる」という2点です。
「Performance Max(パフォーマンスを最大化)」の略称で、コンバージョンを最大化するためにAIが広告運用を最適化してくれるので、広告の設定に時間を割けない場合にもおすすめです。

▼通常キャンペーン
・広告掲載箇所   :Google検索(テキスト、画像、ショッピングタブ、検索パート            ナーサイト)
・ターゲティング  :通常のオーディエンスターゲティング
・入札方法     :自動、手動
・除外キーワード設定:可能
・オーディエンス設定:キャンペーン毎に設定
・キャンペーン優先度:同一アカウントで通常とP-MAX両方利用の場合、P-MAXを優先

▼P-MAXキャンペーン
・広告掲載箇所   :ディスプレイ、YouTube、Gmail含めたGoogle広告全ての配信面
・ターゲティング  :地域のみ設定可
・入札方法     :完全自動
・除外キーワード設定:不可
・オーディエンス設定:オーディエンスシグナルのみ設定可
・キャンペーン優先度:同一アカウントで通常とP-MAX両方利用の場合、P-MAXを優先

 

Googleショッピング広告の運用ポイント

■データフィードの更新、入力、不承認への対処

・最低1日1回の更新
在庫切れ商品の広告を配信したり、新商品の広告配信機会を逃す、広告と商品ページで価格が異なる、といったことが起こらないよう、可能な限り高頻度でデータフィードを更新すると良いでしょう。
前述の通り、カートシステムとの連携やシステム導入での自動化で、更新の手間を大幅に削減することができます。

・任意項目の記入
データフィードの入力項目には必須 / 任意があります。必須項目を入力していれば、広告配信は問題なく可能ですが、広告効果をより高めるために、入力できる任意項目は漏れなく記入しましょう。

・商品タイトル(商品名)、商品説明文、商品画像の最適化
商品タイトルや説明文は、Googleがどの検索キーワードに対してどの商品広告を配信するかの、判断材料になっています。「どの検索キーワードに対して商品をPRしたいか」を考えて商品タイトルや説明文を設定しましょう。
クリック率が低い場合は、ECサイトと同様、商品画像を変えてみるのも方法の一つです。例えばサイドテーブルなら、ソファや椅子の横、本やコップが置かれた商品画像にすることで、ユーザーにサイズ感や部屋に置いた際のイメージがしやすくなるでしょう。

・不承認商品の原因と対策
データフィードに登録された商品情報に不備がある場合、不承認となり広告は配信されません。不備があった商品と項目を確認し、修正を行いましょう。
不承認や、データフィードとECサイト情報の不一致は、アカウント停止にも繋がる恐れがあるので、不承認の確認・修正は漏れなく対応しましょう。



■Google広告の設定と配信成果の計測

・GoogleAnalyticsとの連携
ショッピング広告に限らず、広告運用やECサイトを運営する上で様々なアクセスデータを収集、分析するためには、GoogleAnalyticsは必要不可欠です。
ユーザーの基本属性やサイト内での動き、アクセス経路などが分析できるので、SEO対策やサイト改善にも役立てることができます。

・計測タグの設置
広告に計測タグを設定することで、広告成果を適切に計測することができます。タグが古いと正確に計測できない可能性もあるので、最新バージョンになっているか確認しましょう。
また、自社ECサイト上にもタグの設置が必要なので、漏れなく対応しましょう。


・配信データの確認と予算調整
WEB広告全般に言えることですが、配信状況はこまめにチェックしましょう。日の設定予算に対して発生した広告費が少ない場合は、入札単価が低すぎる可能性があります。また逆に、予算消化が早すぎる場合は、入札単価が高すぎる可能性があります。日々の配信状況を確認し、入札単価や予算の調整を行いましょう。

※インプレッションシェア損失率
「予算不足で広告が表示されなかった回数の割合」のことで、この数値が0以上であれば、損失が発生していることになります。入札単価を上げることで表示機会が増え、損失率を改善できます。予算増額についてはクリック率や転換率なども踏まえて判断しましょう。

・除外キーワードの設定
商品に関連した幅広いキーワードでの広告配信がGoogleショッピング広告の特徴ですが、中には購入に繋がりにくいキーワードも存在します。
配信データと自社商品の特徴、ユーザーニーズを確認しながら、適切に除外キーワードを設定しましょう。除外キーワードが多すぎると配信数が減ってしまうので、設定数には注意が必要です。


■広告成果を測る主要指標と広告改善

▼主要指標5つ
・CTR:クリック率
クリック数÷表示数✕100
平均3~5%

・CPC:クリック単価
広告コスト÷クリック数

・CVR:コンバージョン(CV)率
コンバージョン数÷クリック数✕100
平均2~3%

・CPA:獲得単価
広告コスト÷コンバージョン数

・ROAS:費用対効果
売上÷広告費✕100


リピート購入を前提としない商品の場合は、一度の広告配信で利益を確保できるように目標設定を行う必要があり、クリック率・CV率を高め、広告単価を下げることが理想となります。
一方で、化粧品のようなリピート購入を前提とする用品の場合は、LTV(Life Time Value=顧客生涯価値)を考慮して、最終的に利益が出るような目標設定を行います。


▼PDCAサイクル
Plan(計画):目標設定とKPI
Do(実行):広告設定と運用
Check(評価):データ分析とレポート作成
Action(改善):フィードバックをもとに広告の最適化

これらを効率的・効果的に運用するには、
・客観的に評価する
・計画をやりきる
・評価基準の明確化
が大切です。


WEB広告で大切なのは、配信成果を常に確認・分析し、改善を繰り返していくことです。そして、適切な分析を行うためには、一定量の広告配信データと適切な目標設定が重要です。特に配信初期においては、分析に必要なデータ自体が不足しているので、一定期間は途中で止めたりせず配信を行い、データを集めましょう。
また、過度に成果を期待しすぎてしまったり、高すぎる目標設定を行ってしまうと、適切な分析ができなくなってしまいます。
各主要指標の平均値や、自社商品の原価率などを元に配信予算や目標を設定し、PDCAサイクルを回していきましょう。

 

まとめ

商品画像と価格が表示されるGoogleショッピング広告は、比較的低コストから運用が可能で、クリック前にユーザーが商品を比較検討できるため、興味関心度の高いユーザーを呼び込むことができる広告です。設定や運用には工数がかかりますが、適切なデータ更新と定期的な効果測定・改善を行うことで、ECサイトのコンバージョン獲得に繋げることができます。Googleショッピング広告を上手に活用し、売上UPに繋げていきましょう。



EC運営においては、SEO対策、広告、SNS、LINEなど様々なプロモーション施策を複合的に実施できるのが理想的です。

ぜひ、プロモーションでお困りの方はGIVE&GIVEまでお問い合わせください。


著者

松原吉輝

マーケティング会社にて大手・中小合わせて500社の支援を事業責任者として行う。その後、経営再建のために15名ほどの会社の社長業を担い、2016年に「EC運営代行」のGIVE&GIVE(株)を創業。
クライアントは大手・中小企業とあり、楽天市場では優良店を次々と輩出。現在はECの枠を超えたマーケティング、ブランディング、プロモーション支援まで行う。
2021年、未就学児~中学生への教育支援事業として「協育・共育プラットフォーム」を提供す(株)weclipを設立。世田谷区の起業家支援プログラムのメンターも行う。他に、カベウチサービス、飲食業、アルコールアイスクリームブランドの開発・販売も行う。

HP(https://g-give.co.jp/