返品発生時に迷わない!AmazonFBAの対応ガイド

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株式会社Cyber-records

Amazon FBAで商品を販売していると、返品が起きたときに「何をすればいいのか分からない」「手続きで時間を取られてしまう」と感じることはありませんか。返品は在庫管理や売上、評価に影響を与えるため、慌てずに対応することが大切です。この記事では、初心者でもわかりやすい基本の対応ステップから、FBA特有の返送・検品・再販の考え方、顧客対応のポイントまでをやさしく順を追って解説します。この記事を読んで、返品対応を落ち着いてスムーズに進められるようになりましょう。

基準と権限を整える

基準と権限を整える

最初に土台を整えておくと、いざ返品が起きても迷いません。ここでは「どこまで返金するか」「誰が決めるか」「何を見ればよいか」を明確にします。

■返金と補償の範囲を明らかにする
Amazonの返品ポリシーとFBAサービス契約を前提に、自社内での対応方針を決めておきましょう。新品として再販できる条件は厳格に運用することが重要です。

FBAの場合、購入者への返金処理はAmazonが主に担当します。私たち出品者の役割は、返送されてきた商品を確認して「再販できるか・返送するか・廃棄するか」を判断することです。FBA保管中の紛失・破損は補償対象となる場合があるため、補償申請の手順を把握しておきましょう。

■役割分担と権限の割当を決める
返品対応をスムーズに進めるには、誰が何をするのかを明確にしておくことが大切です。特に高額商品や安全性に関わる商品については、必ず管理者の承認を得るルールを設定しておくと安心です。

1.初動連絡担当:返品通知を確認して社内に連絡し、記録を始める人
2.検品担当:商品を確認して写真を撮り、チェックリストを埋める人
3.承認担当:再販・返送・廃棄・補償申請の最終決定を行う人
4.会計担当:返金や手数料の確認、在庫価値の調整をする人
5.管理者:重要な対外対応や判断を行う人

■必須情報とツールを定義する
返品対応で必要になる情報やツールを前もって整理しておきましょう。必須情報には注文番号、SKU、返品理由、購入者メッセージ、Amazonの一次判定、写真、検品結果などがあります。

写真やファイルの保存ルールを決めて共有しておくと、誰でも必要なときに探せます。

通知から倉庫受領までの手順

通知から倉庫受領までの手順

FBAでは返金処理はAmazonが行います。返品されたFBA商品はAmazonが一次受領し、倉庫内で「販売可能」か「販売不可」かの判定を行います。すべての返品商品が出品者に返送されるわけではない点を理解して運用を整えましょう。

■返品通知の受け取りとチケット起票の流れ
返品情報はセラーセントラルのレポートで確認できます。まず、注文番号、SKU、数量、返品理由、Amazonの一次判定をメモしておくことが重要です。

出品者がセラーセントラルで返送依頼を行うことも可能ですが、Amazonの判定により返送ができないケースがあるため、返送の可否は商品の価格や衛生面を基準に判断してください。

■倉庫での受領登録と写真記録の取り方
返品商品が到着したら、まず外箱の状態を撮影します。開封前の外観を残すことは補償申請や再販判断の根拠になります。

写真のファイル名は統一フォーマットで保存し、検品表からリンクできるようにしておくと確認作業がスムーズです。

■梱包やラベルの整合性チェック項目
返品商品を確認する際は、外箱・封の状態・付属品・ラベル・商品本体の状態をチェックします。特に衛生商品や食品は再販基準を厳しく設定してください。

1.外箱や袋の損傷や水濡れの有無
2.封の状態や貼り直しの痕跡
3.付属品の欠品確認(説明書、ケーブル等)
4.商品ラベルの一致とバーコードの可読性

状態判定の基準と証拠収集

状態判定の基準と証拠収集

返品商品を受け取った後は、体系的な検品と状態判定を行います。「再販できるか」を明確にすることが最優先です。

■判定カテゴリと具体的な判定基準
1. 新品として再販可能
・具体的な条件: 外装が完全未開封であり、破損がないこと。
・必要な証拠: 外装全周の写真。

2. 中古として再販可能
・具体的な条件: 開封済みではあるが、未使用で付属品が完備していること。
・必要な証拠: 本体と付属品の写真。

3. 不良品
・具体的な条件: 破損・欠品・動作不良があること。
・必要な証拠: 不良箇所の拡大写真。

4. FBA倉庫内での破損・紛失
・具体的な条件: 倉庫での取扱いミスと判断される場合。
・必要な証拠: 梱包状態と破損の写真。

「新品」判定は厳格に運用し、開封の有無で区別するルールを徹底してください。

■検品で必須の写真とチェックリスト
商品タイプ別チェックリストを用意し、電子機器や衣類などそれぞれに必要な項目を定めます。必須写真は外箱全体、製品番号、商品本体、付属品、問題箇所のアップです。

1.外箱全体の撮影(6面が理想)
2.製品番号・シリアル番号のアップ
3.商品本体の前面・背面・側面
4.付属品一式の撮影

■判定ログの記録方法と承認フロー
検品結果は統一フォーマットで記録し、写真リンクを紐づけます。判定に迷う場合や高額商品の場合は上位者の承認を得るフローを確立してください。
検品ログに必須の項目(注文番号、SKU、検品日時、担当者、判定結果)を含めることで、後続処理がスムーズになります。

再販・補償・会計までの流れ

再販・補償・会計までの流れ

検品と判定が終わったら、商品の処理と必要な手続きを行います。再販・補償申請・会計処理まで漏れなく進めましょう。

■再販と再梱包の実務手順と承認条件
再販可能と判断した商品は、コンディション設定、状態説明の記載、必要に応じた再梱包、FBAラベルの再貼付などの工程を経て再出荷します。衛生用品や食品は未開封でないと再販不可である点に注意してください。

■不良品の扱いと廃棄・返送の判断基準
不良品や販売不可と判断した商品の選択肢には、メーカー返送、自社保管、廃棄処分があります。判断は修理コストと商品価値のバランスで行い、廃棄する場合はセラーセントラルで処分手続きをしてください。

■補償申請と返金確認の具体手順
Amazon倉庫での破損や紛失が確認された場合は、補償申請を行います。検品時の写真を添付し、状況を詳細に記載することが承認のポイントです。
補償申請後は申請状況と支払いレポートを定期的に確認し、入金の有無をチェックしてください。

■会計処理と在庫評価の調整方法
返品と補償に関連する会計処理では、在庫価値の調整、各種手数料の確認、収支の記録を行います。Amazon支払いレポートと自社会計システムを照合して処理を確実に行ってください。

チェックリストとトラブル対応

チェックリストとトラブル対応

返品対応の仕組みを作った後は、継続的に運用を維持し改善していくことが大切です。ここでは運用チェックリストとよくあるトラブルへの対応方法を紹介します。

■役割別のSOPチェックリストの主要項目
効率的な運用のために、役割別の標準作業手順(SOP)チェックリストを作成しておきましょう。チェックリストは作業漏れを防ぐ基本ツールです。

1.返品管理担当:レポート確認・分析・返送判断
2.検品担当:受領照合・写真撮影・判定記録
3.会計担当:返金・補償の確認と在庫調整

■よくあるトラブル別の原因と対策
返品対応でよくあるトラブルと対策を把握しておくと、迅速に解決できます。例えば購入者が返品していないと主張する場合は追跡番号を確認し、Amazonに確認依頼を出します。
補償申請が却下された場合は証拠不足が多いため、撮影と記録を徹底してください。

まとめ

返品対応は、基準と権限、必要ツールを事前に整え、通知→受領→検品→判定→処理の流れを決めておくことが大切です。まずは一つずつ基準を決めて、今日から実践してみましょう。体系を整えれば作業時間が減り、評価低下や在庫ミスを防げます。顧客満足も高まり安心感につながります。チームで共有して運用を回し、継続的に改善していきましょう。

<ご注意>
本記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。Amazonの仕様・ガイドライン・ルール等は予告なく変更される場合があります。最新の情報は、必ず公式サイトやAmazonセラーセントラル等をご確認ください。


著者

株式会社Cyber-records

2008年にGLOBAL EC COMPANY(GEC)として創業し、以来、ECビジネスの啓蒙者として、運営代行、コンサルティング、ブランディングなどに従事。モールおよびマーケットプレイスのEC支援サービスの提供に加え、ふるさと納税事業や越境ECの支援も行う。

https://www.cyber-records.co.jp/
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