【第3回】EC店舗を襲う不正の今~【3社比較】Amazon/楽天/Yahoo!の対応は?~
EC業界において、実は不正注文が大量発生しているってご存知ですか?
この連載では、EC業界を取り巻く不正の全体像、そして不正からEC店舗を守る方法に迫ります。
<過去掲載分もご参考ください>
第1回:セブン銀ATM不正引き出しは対岸の火事ではない
https://ecnomikata.com/column/9728/
第2回:あなたは見抜ける?不正注文の具体例
https://ecnomikata.com/column/9953/
はじめに
これまで「第三者によるクレジットカードの不正利用(カード詐欺)」に対し、第1回では増加している背景を、第2回ではカード決済の弱点を具体例とともにご紹介しました。
第3回の今回は、大手ECモールごとの対応方針の違いをご紹介いたします。カード詐欺に対し、どのような対応をしているのでしょうか。
規約などで公開されている情報からは、各モールごとの方針に大きな違いのある事が分かります。この事を知らないままでは、EC店舗を運営する上で大きなリスクとなります。なぜなら、カード詐欺はこれまでご紹介したように、ある日突然被害が急増するためです。各モールの違いに応じた店舗運営をするなど、今後の参考としていただければ幸いです。
上の図は、誰が最終的な金銭被害を負担するのかについて、シンプルに整理したものです。AmazonマーケットプレイスではEC店舗の負担とはなりません。一方で、楽天市場ではEC店舗の負担となります。以下、各モールごとの詳細を記載します。
Amazonマーケットプレイス
原則、EC店舗を詐欺被害から守る。詐欺被害時の請求は0円。
カード詐欺で売上取り消しとなった場合(チャージバック)、Amazonからの通知に応じて、EC店舗は調査協力することが義務となっています。
~楽天市場は方針が異なります。次のページでご紹介します~
楽天市場
原則、EC店舗の自己責任。詐欺被害時はEC店舗に全額請求。「楽天には一切迷惑をかけない」という表現が印象的です。
その代わりに、「チャージバック補償団体保険制度」という有料オプションの保険制度があります。ただし、EC店舗側でも適切な運用をしていることが適用条件である点には注意が必要です(例:楽天またはクレジットカード会社が提供する不正使用情報を常に確認し、受注に際して当該取引が当該不正使用情報に該当しないことを店舗において確認していること)。
もちろん、楽天市場は以下のように一定のカード詐欺対策をしており、EC店舗を守っていないというわけでは決してありません。
【楽天セミナー②】詐欺を突き止める手段とは?
https://ecnomikata.com/ecnews/8729/
Yahoo!ショッピング
原則、月間50万円までは詐欺被害から守る。超える場合はEC店舗の自己負担。
なお、Amazonと同様に調査協力義務があるほか、ヤフーが要請した場合には、ヤフーが提供する一定の不正利用防止措置(カード認証項目の追加設定など)を実施していることが義務となっています。
~次のページは「まとめ」です~
まとめ
これまでの内容を整理すると、下図となります。
今回はカード詐欺という、一つの論点に対する大手ECモールの違いをご紹介しました。各モールの特徴を正確に理解することで、より良いEC店舗運営へと生かしていただけたら幸いです。
※今回は話を分かりやすくするため、「国内住所への配送」かつ「カード詐欺」に限定して整理。「海外住所への配送」や「EC店舗と注文者間のトラブルによる売上取り消し」などのケースは除外。
※2016年7月20日時点で各社Webサイトに掲載されている規約等に基づき執筆
【第4回】~ヤフオク、メルカリに盗品が?~(https://ecnomikata.com/column/10360/)