【第一回】EC店舗へ。今から知らないとマズイ軽減税率

川上 知己

 消費税率10%への引き上げに伴い、わが国でも低所得者層保護のために軽減税率が導入されることになりました。

 本コラムではEC事業者が知っておくべき軽減税率のイロハを、全三回にわたってお届けします。軽減税率に対応する必要のあるEC事業者の皆さんは是非参考になさってください。

【第一回】EC店舗へ。今から知らないとマズイ軽減税率

【第二回】軽減税率導入でEC店舗が取るべき対応まとめ
https://ecnomikata.com/column/10698/

【第三回】軽減税率導入は意外に近い?準備を怠らずに
https://www.ecnomikata.com/column/10699/

1.軽減税率とは

1.軽減税率とは

 軽減税率とは、特定の品目の課税率を他の品目に比べて低く定めることをいいます。日本では消費税率を10パーセントに引き上げる際、低所得者対策として食料品や新聞などの「生活必需品」に、軽減税率を適用することになっています。

 日本は、いよいよ2019年10月からはじまります。

2.海外の軽減税率事情

2.海外の軽減税率事情

 軽減税率はアメリカやイギリス、フランスなどですでに導入されています。それぞれの国によって「生活必需品」は異なるため、軽減税率対象品目にもお国柄が出るようです。

 軽減税率導入には、国民の生活への影響を配慮するだけでなく、国内産業を保護する目的もあります。たとえばフランスでは、農家が生産するバターは生産者保護のために軽減税率対象で、企業が作るマーガリンは標準税率対象となっています。税金が高いことを理由に、バターの購入を控える人が出てくることを避けるための、農業国家フランスならではの措置と言えそうです。

 ちなみに州の独立性が強いアメリカでは、軽減税率の導入状況はもちろん、対象品目も州ごとにも異なります。たとえば生鮮食品(Groceries)は、多くの州で非課税ですが、一部の州では軽減税率が適用されたりします。

 しかし、これが調理品(Prepared Foods)になると、ほぼ全ての州で通常通り課税されるようです。対象商品によっては少し遠出して隣の州で買った方が良い、というようなことも起こります。

3.日本の軽減税率制度

3.日本の軽減税率制度

 軽減税率の定義については [1.軽減税率とは] で触れたとおりです。では日本で導入された場合、具体的にどういった品物が軽減税率対象品目になるのでしょうか。

軽減税率対象品目
・食料品(「酒類」「外食」「ケータリング・出張料理等」を除く)
・新聞(定期購読)

 実は、食料品における「外食」と「加工品」の線引きがとてもわかりづらいと言われています。政府内では、外食の定義を取引の場所と態様(「サービスの提供」有無)を明確にすることにより、軽減税率なのか標準税率なのか?に分別しています。

外食の定義
・場所(その場で飲食させるための設備を設置した場所)
・態様(食事の提供(ケータリング・出張料理も含む))
に着目して定義となります。

「外食」にあたる例(標準税率)
• 牛丼屋・ハンバーガー店での「店内飲食」
• そば屋の「店内飲食」
• ピザ屋の「店内飲食」
• ケータリングや出張料理

「外食」にあたらない例(軽減税率)
• 牛丼屋・ハンバーガー店での「テイクアウト」
• ピザ屋・そば屋の「出前」
• 寿司屋の「お土産」
• コンビニの弁当や惣菜

 今回は軽減税率制度の概要と、日本で導入される場合の品目について触れました。軽減税率が導入された際のイメージが湧きましたか?次回は、軽減税率が導入されると「EC事業者にとって」どのような影響があるのかについて考えてみましょう。


著者

川上 知己 (Tomomi Kawakami)

iPad,iPhoneを用いたクラウド型POSレジ『スマレジ』などのサービスを提供する株式会社PLUGRAMのデジタルマーケティング担当。
PLUGRAMが描く「いい未来」のビジョンを、より多くの人に伝えるべく奮闘中!
決済を中心としたサービスを通して、皆さんのくらしをより便利で快適なものに変えていきます。