【第三回】軽減税率導入は意外に近い?準備を怠らずに

川上 知己

 消費税率10%への引き上げに伴い、わが国でも低所得者層保護のために軽減税率が導入されることになりました。

 本コラムではEC事業者が知っておくべき軽減税率のイロハを、全三回にわたってお届けします。軽減税率に対応する必要のあるEC事業者の皆さんは是非参考になさってください。

【第一回】EC店舗へ。今から知らないとマズイ軽減税率
https://ecnomikata.com/column/10697/

【第二回】軽減税率導入でEC店舗が取るべき対応まとめ
https://ecnomikata.com/column/10698/

【第三回】軽減税率導入は意外に近い?補助金申請に遅れるな

1.軽減税率の施行時期

 2016年の6月1日、安倍首相の記者会見で、2017年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを2019年10月まで2年半延期することが正式に表明されました。

 軽減税率の導入は消費税率10%への引き上げに対する低所得者対策なので、こちらも2019年10月からの施行となる予定です(2016年8月現在)。

2. EC事業者が準備すること

2. EC事業者が準備すること

 【第二回】軽減税率がEC事業者に与える影響 で触れたように、ECショップで販売する商品のなかに、軽減税率対象品目と対象外品目が混在しているのに、軽減税率非対応のECカートシステムを利用している場合は、軽減税率対応カート機能を有するシステムにリプレイスする必要があります。軽減税率対応カート機能を有するシステムを利用している事業者も、事前に準備が必要になります。

 では、具体的にどのような準備が必要なのでしょうか。軽減税率対応カート機能を提供しているGMOメイクショップ マーケティング部 部長の石井さまにお話を伺いました。

 「2014年4月の消費税8%への引き上げの際には、事業者さまから軽減税率への対応についてのお問い合わせをいただくことがございましたが、現在は落ち着いている印象です。先日、軽減税率導入の延期が正式に発表されたため、事業者の皆さんも様子をみているという状況なのかもしれません。

 MakeShopのシステム上では、すでに商品ごとに異なる税率を設定することは可能な状態になっています。軽減税率の施行のタイミングで、事業者の皆さんにそちらの設定機能を開放することになります。各事業者さまに個別に設定を行っていただくことになるので、特に手続き等は必要ありません。既存の商品登録と同様に、CSVによる一括変換も可能です。

 税率変更設定への対応はEC事業者さまごとになるため、対象商品の取り扱いの有無を事前にしっかり確認しておいたほうが良いでしょう。施行時期や対象品目に関する今後の情報アップデートについても、注視しておく必要があると思います。」
(GMOメイクショップ マーケティング部 部長 石井さま)

 軽減税率対応カート機能を有するシステムを利用している場合は、比較的スムーズに準備が進められそうです。しかし、リプレイスするとなると当然費用がかかり、 軽減税率対応カートに変更することはEC事業者にとって大きな出費になりそうです。

 今のところ、軽減税率に対応するためにレジや卸の受発注システムを入れ替える場合には中小企業庁の補助金が交付される予定です。ECショップと実店舗をお持ちの事業者の場合は、軽減税率対応レジへの入替えについては補助金を申請することができます。

3.軽減税率対策補助金制度

3.軽減税率対策補助金制度

 軽減税率への対応が必要となる中小企業・小規模事業者等の方々が、軽減税率対応レジの導入や、受発注システムの改修などを行うにあたって、国がその経費の一部を補助する制度です。軽減税率に対応しなければならない中小事業者には、補助金が交付されます。

補助率:原則2/3(3万円未満のレジ購入の場合3/4補助)
補助上限:1台あたり20万円(商品マスタの設定が必要な場合には+20万円)


 補助金の申請は揃える書類や申請書等が多く記入も難しい為、事業者が簡単に申請できるよう指定ベンダーによる代理申請や、申請をサポートする制度を設けています。詳しくはこちらのサイトをご覧ください。

http://kzt-hojo.jp/http://kzt-hojo.jp/

 軽減税率対策補助金の申請期限は、今のところ2017年3月31日となっています。申請期限が延長される可能性もありますが、早めに申請しておくと良いでしょう。

4.まとめ

 【連載】EC事業者が知っておきたい「軽減税率」のイロハでは、全三回にわたって軽減税率の概要とEC事業者に必要な準備について解説いたしました。軽減税率の導入まではまだ2年以上の期間がありますが、対応しなければならない場合は早め早めに準備を進めておいたほうが良いでしょう。

 今後の情報アップデートにも注目してください。ご相談はいつでも承ります。お気軽にどうぞ。


著者

川上 知己 (Tomomi Kawakami)

iPad,iPhoneを用いたクラウド型POSレジ『スマレジ』などのサービスを提供する株式会社PLUGRAMのデジタルマーケティング担当。
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