自社で始めるLP改善、最初の一歩 そして“そろそろプロを呼ぶべき”の見極め方
ここまで3回、LP改善について構造的にお話ししてきました。
第1回:LPは“判断を促す器”であり、広告でも商品でもなく最初に疑うべき場所。 第2回:LP改善はデザインではなく"翻訳"であり、3つの構造的ミスがほとんどの売れないLPに共通する。 第3回:改善は一発で当てるものではなく、「仮説→検証→学習」のループで積み上げるもの。
最終回となる今回は、いよいよ実践編です。EC事業者が今日から自社でできるLP改善の第一歩を、具体的な指標と手順までお話しします。そして最後に、「自社でやるべきフェーズ」と「プロを呼ぶべきフェーズ」の境界線──8項目のセルフチェックリストとともにお届けします。
■本稿は『売れるランディングページ改善の法則』の著者であり、20年にわたり企業のマーケティングに携わる平岡大輔氏(株式会社テマヒマ 代表取締役)による連載コラムです【全4回】
●過去コラムはこちら!
【第1回】広告は当たっているのに、なぜ売れない?
【第2回】キレイなのに売れないLPの正体
【第3回】“完璧なLPリニューアル”が、9割失敗する理由
自社で始める前に、最初に見るべき3つの指標
LP改善を自社で始めるとき、まずやるべきは改善案を考えることではありません。数字を見ることです。事業者の多くは、会議室で「もっとこうしたら良いんじゃないか」と改善案を出し合います。これは全部、思いつき。思いつきの改善は、ほぼ外します。
数字を見るとき、最低限押さえるべき3つの指標があります。
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この3つを見るだけで、LPのどこが「穴」になっているかが見えてきます。改善案は、ここから自然に出てきます。

改善案は“思いつき”ではなく“ログ”から出す
数字を見ることに加えて、もう一つ大事な原則があります。
改善案の質は、ログの量で決まる。
会議室で考えた改善案と、ログから出した改善案は、当たる確率がまったく違います。ログとは具体的に――
●ヒートマップで、どこで読まれていないかを見る
●GA4で、どのデバイス・どの流入経路で離脱が多いかを見る
●カスタマーサポートに来る質問を集める(=LPで答えきれていない不安)
●既存顧客に「決め手」を聞くアンケート(=効いている翻訳)
ログがあれば、改善案は会議室ではなく画面の中から自然に湧いてきます。
思いつきの改善は外す。ログから出した改善は当たる。

1回の改善で狙うべきゴール、現実的な水準
「1回の改善でCVRが2倍になりました」── そんな話を聞いたことがあるかもしれません。たしかに、ある。でも、それは“10回打って1回当たる”類の話です。
現実的なゴールは、1回の改善でCVR0.1〜0.3%の向上です。
地味に聞こえるかもしれません。でも、月商3000万円のECで、CVR0.3%の改善は年間数百万円の売上インパクトに化けます。それを年に5〜6回積み上げれば、事業の景色が変わります。
当たり前のことを言いますが、改善の積み上げが事業を伸ばします。一発逆転は、運がいいときに起きる“おまけ”です。
ここまでが、自社でできること
ここまで読んで、「これなら自社でできそうだ」と思っていただけたならうれしいです。実際、ここまでの内容を3〜6カ月真剣に回せば、多くのEC事業者は数字を伸ばせます。
ただ、それでもどこかで壁にぶつかります。社内の知見が天井に達する瞬間、判断軸が見えなくなる瞬間──それが、次のステージに進むサインです。
プロを呼ぶべきタイミング ── 8項目のセルフチェックリスト
最後に、自社の現在地を見極めるためのセルフチェックを共有します。8項目のうち、3つ以上当てはまるなら、内製の天井が近づいているサインだと考えてください。

☐ チェック1:ログを見ても、新しい改善案が出てこなくなった
ヒートマップやGA4を見ても、試したい施策のリストが社内で枯れてきている。社内の視点が一巡したサイン。
☐ チェック2:数字は見ているが、どの数字を優先すべきか決められない
データは揃っているが、「次に何を直すべきか」の意思決定が止まる。データの“診断”には経験値が必要です。
☐ チェック3:社内で改善案の方向性が割れて、議論が前に進まない
「FVはこうすべきだ」「いや、こっちだ」と意見が分かれ、誰も決められない。判断基準を社内に持っていないサイン。
☐ チェック4:改善のスピードが落ちてきている
以前は月に2〜3本テストを回せていたのに、最近は月1本も回せていない。仕組みが個人に依存している証拠です。
☐ チェック5:担当者が変わるたびに、改善のやり方がリセットされる
過去の検証ログが残っていない、引き継ぎが属人化している。改善が“組織の資産“”になっていない。
☐ チェック6:競合のLPが明らかに進化しているのに、追えていない
3カ月前と同じLPで戦っている。市場や競合動向を構造的に取り込む仕組みがない。
☐ チェック7:「もっと根本から見直すべきでは」という違和感が消えない
小さな改善は回している。でも「これ、戦略レベルで何かズレてないか?」という違和感が、社内のどこかにずっとある。
☐ チェック8:「改善を仕組みにしたい」という願望が出てきている
属人技ではなく、誰がやっても回せる改善の型を作りたい。これは事業のステージが一段上がったサインです。
【判定(当てはまる項目数)】
●0〜2項目:内製で十分です。本連載の内容を3〜6カ月、丁寧に回してください
●3〜5項目:内製の天井が近づいています。スポットでも構わないので、第三者の視点を一度入れることを検討する時期です
●6項目以上:個人技で回している改善を、組織の仕組みに変えるフェーズです。プロを“作業者”ではなく“仕組みの設計者”として呼ぶ価値があります
プロを呼ぶ価値の本質は「視点の飛躍」と「仕組み化」
8項目のチェックを通じて見えてくるのは、プロを呼ぶタイミングは“困っているとき”ではなく、“次のステージに進むべきとき”だということです。
ではプロが入ると、具体的に何が変わるのか。本質的な価値は2つあります。
1つ目:視点の飛躍。 内製だと、どうしても自社の常識・自社の言語の中で改善案が出ます。第三者は、その外側から仮説を持ち込みます。社内では絶対に出てこなかった切り口が、改善のブレイクスルーを生む。
2つ目:仕組み化。個人技で回している改善を、誰がやっても再現できる仕組みに変える。担当者が辞めても改善が止まらない、組織の資産になる。
内製でできるのは"改善"。プロが入ってできるのは"改善の仕組み化"。 ここに境界線があります。
連載のまとめ──広告費を1万円増やす前に、LPを見てください
連載を通じてお伝えしたかったのは、たった一つのことです。
LP改善は、センスではなく構造です。
構造で理解できるものは、再現できる。再現できるものは、誰でも身につけられる。自社でやるか、プロに頼むかは、フェーズの問題でしかありません。大事なのは、広告費を1万円増やす前に、自社のLPを“判断装置”として見直す習慣を持つこと。その習慣が根づいた事業者から、売上は伸び始めます。
全4回にお付き合いいただき、ありがとうございました。


