「キレイなのに売れない」LPの正体――“翻訳”が下手なLPがやっている3つの失敗【自社LPセルフチェック付】

最終更新日:

平岡大輔 [PR]

前回、LPは"判断を促す器"であり、広告でも商品でもなく最初に疑うべき場所だとお話ししました。ではなぜ、LPはユーザーの判断を促せないのか。ここで多くのEC事業者が、最大の誤解にハマります。「デザインがイケていないからだ」「もっとプロのデザイナーに頼めば売れるはずだ」――。残念ながら、これは8割外れます。

第2回となる今回は、その誤解を壊しながら、売れないLPに共通する3つの構造的なミスを解剖していきます。自社LPを横に開いて読んでいただけると、きっとどこかでドキッとするはずです。

■本稿は『売れるランディングページ改善の法則』の著者であり、20年にわたり企業のマーケティングに携わる平岡大輔氏(株式会社テマヒマ 代表取締役)による連載コラムです【毎週水曜日更新/全4回】

●過去コラムはこちら!
【第1回】広告は当たっているのに、なぜ売れない?

キレイなのに売れないLPは、なぜ存在するのか

世の中には、デザインが洗練されているのに数字が出ないLPが山ほどあります。逆に、見た目は素朴なのに毎月着実にCVを積み上げているLPもあります。

この違いはどこから生まれるのか?

LPの本質的な役割は、デザインではありません。翻訳です。

事業者の頭の中にある「商品の価値」と、ユーザーの頭の中にある「自分の課題」――この2つはまったく違う言語で書かれています。商品開発者は、技術や成分や製法を語りたい。でもユーザーが知りたいのは「これを使ったら、自分の何が変わるのか」だけ。

LPの仕事は、その2つの言語をつなぐ翻訳機になることです。

達筆な草書で書かれた道案内の看板を、外国人観光客に見せているLP──これが「キレイなのに売れない」の正体です。雰囲気は伝わる。でも、目的地にはたどり着けない。

翻訳が下手なLPがやっている「3つの構造的ミス」

ここからは「翻訳に失敗しているLP」に共通する3つのミスを、それを判断する軸と合わせて見ていきましょう。

ミス①:誰のLPかわからない(主語の翻訳ミス)
事業者は「うちの商品は幅広い層に使えます」と思っています。だからLPも"誰でもどうぞ"の顔をする。
でもユーザーは、LPを見た瞬間に「これは私の話か?」を判断します。主語がぼやけたLPは、誰の心にも刺さりません。
ターゲットを絞ることは、市場を狭めることではない。「これは私の話だ」と思ってもらう確率を上げる行為です。

▶判断軸:ファーストビュー(FV)を見て、3秒以内に「誰向けの商品か」が言えるか?

ミス②:「良さ」は書いてあるが、「変化」が見えない(価値の翻訳ミス)
スペック、成分、製法、認証──事業者が誇りたい情報は全部載っている。でもユーザーが知りたいのは、それを使うと自分がどう変わるのか、それだけです。
「無添加・国産・特許製法」と書かれても、ユーザーには判断できません。「朝の肌のべたつきが、3日で気にならなくなった」と書かれて、初めて判断できます。
LPに並んでいるのが事業者の言語のままなのか、ユーザーの言語に翻訳されているのか──ここが分かれ目です。

▶判断軸:LP内の主要な見出しを「だから何?(So What?)」と問い直したとき、答えが返ってくるか?

ミス③:不安を放置したまま買わせようとしている(判断阻害要因の翻訳ミス)
事業者は、買ってほしい。だからCTAを置く。
でもユーザーの頭の中には、買う直前まで未処理の不安が残っています。
「本当に効くのか?」「合わなかったらどうする?」「他社と比べてどうなのか?」――これらの不安を放置したままCTAを押させようとするLPは、「考える前に決めろ」と迫っているのと同じです。判断を促す器ではなく、判断を急かす凶器になっている。
返金保証、FAQ、第三者の評価、比較表など、不安を先回りして潰す材料が、LPには必要です。

▶判断軸:ユーザーが買う直前に抱く不安を、LP内で先回りして潰せているか?

3つのミスは、上から順に“連鎖する”

ここまで読んで、「うちのLP、3つとも当てはまる気がする」と感じた方も多いはずです。それは偶然ではありません。3つのミスは独立しておらず、上から順に連鎖する構造になっています。

【ミス①(主語が曖昧)】があると、【ミス②(変化が描けない)】も起きやすい。誰の話かわからないのだから、その人にとっての"変化"も描けない。
【ミス②(変化が見えない)】があると、【ミス③(不安が残る)】も起きやすい。自分がどう変わるのか想像できないユーザーは、不安を払拭する材料を最後まで集められない。

だから、もし自社LPを直すなら── 必ず①から見直してください。 主語を立て直さずに②③だけ直しても、土台が崩れたままなので効果は半減します。

あるD2C健康食品ブランドの話

たとえば、月商4000万円のD2C健康食品ブランドの話です(よくある典型例として聞いてください)。

数字が頭打ちになり、社内で「LPをリニューアルしよう」という話になりました。有名なデザイン会社に依頼し、3カ月かけてフルリニューアル。ビジュアルは洗練され、写真もプロ仕様、配色も上品。事業者は「これで売れる」と確信していました。

しかし、公開後の数字は逆に下がりました。

何が起きていたのか。リニューアル後のLPを“翻訳”の視点で見直すと、原因が見えました。

●ミス①:「健康を意識するすべての方へ」──主語がさらにぼやけた
●ミス②:成分の科学的根拠は美しく並んでいたが、「使ったらどう変わるか」が消えた
●ミス③:買う直前の不安(続けられるか/合わなかったら)に、まったく触れていなかった

デザインは良くなった。でも“翻訳”は、むしろ悪化していました。

これは、私が現場で何度も見てきた典型的なパターンです。LP改善で「キレイにする」を目的にすると、ほぼ確実に“翻訳”が後退するんです。

まとめ:直すべきは、デザインではなく翻訳

LP改善は、見た目を磨くことではありません。事業者の言語を、ユーザーの言語に翻訳しなおすことです。

3つのミス──主語/変化/不安──を、自社LPに当てはめてチェックしてみてください。一つでも当てはまるなら、デザイナーに発注する前にやることがあります。

次回

3つのミスがわかれば、すぐにでも直したくなります。「全部まとめて直そう。リニューアルしよう」──多くの事業者が、ここで動き出します。
ですが、それがLP改善で一番やってはいけないパターンだとしたら、どうしますか?

次回は、なぜ「完璧な1ページ」を作ろうとすると失敗するのか、そして、改善で本当に勝つための「仮説 → 検証 → 学習」のループについてお話しします。あわせて、FVを変えるだけでCVRが動く3つのチェックポイントもお届けする予定です。


著者

平岡大輔

平岡大輔 (Daisuke Hiraoka)

マス広告プランナーを経て、2015年に株式会社テマヒマを設立。EC・D2C領域を中心に、LP改善・LPO・広告運用・チームビルディングをワンストップで支援してきた。これまでに上場企業を含む大手から成長企業まで幅広く伴走。2020年には男性向けD2C化粧品メーカーに経営参画し、M&Aを完了。2023年には『売れるランディングページ改善の法則』(技術評論社)を上梓した。リソースのないEC事業者のためのLP改善丸投げサービス「まるなげLPO」を展開中。


■株式会社テマヒマ
https://temahima.co.jp/
■著書詳細
https://amzn.to/42pidwB
■著書X
https://x.com/daisuke_hiraoka
■まるなげLPO
https://marke-gym.com/marunage-lpo/

平岡大輔 の執筆記事