【第4回】台湾のSNS事情から考察する、台湾ECのあるべき姿~最新台湾EC事情~
前回は、台湾のWEB動向からモールに負けないECサイトづくりについて、私の考えをお話いたしました。
第4回目となる今回は、台湾のSNS事情から台湾ECのあるべき姿について考えてみたいと思います。
【第1回】なぜ今、台湾なのか
https://www.ecnomikata.com/column/12476/
【第2回】日本と台湾のECの違い
https://www.ecnomikata.com/column/12717/
【第3回】モールに負けないECサイトづくり
https://www.ecnomikata.com/column/13011/
台湾はSNS大国
台湾はみなさんご存知の通り、総人口におけるFacebookの利用率が世界一の国です。余談ですが、(第2回のコラムで触れた)コンビニ密度や原付バイクの所有率も世界一みたいですね。
比較的空いている時間帯の電車の中を見渡すと、日本同様ほとんどの人がスマートフォンを操作し、FacebookやLINE、動画を見ています。そして、百貨店や飲食店の店員も、空き時間を見つけてはスマートフォンを眺めているのです。
また、オフラインからWebに誘導する際の検索窓が、facebookになっている広告を見かけることも。その他にも、レストランやフードコートにはLINE PAYの使い方が書かれたポップがよく置いてあります。
台湾で抑えるべきSNSは?
台湾の特徴として、自社(店舗)のサイトは持たず、Facebookページのみ存在する会社や店舗も多いです。また、家族のコミュニケーションにおいてはLINEグループ。そして仕事のやり取りでは、Eメール以上にFacebookやLINEでのメッセージをメインに活用していたり。日本同様、台湾人の生活とSNSとは切っても切り離せない関係になっています。
FacebookやLINE以外でも、Wechat、Weibo、plurk、Cubieなどといった様々なSNSがあります。しかし台湾のSNSを考える上で、台湾人の利用頻度や利用回数を考えると、FacebookとLINE、Wechatを押さえておけば、十分に事が足りると思います。
・WeChat(微信):中国で人気のメッセージングアプリ。
・Weibo(微博):中国語圏最大のソーシャルメディアで「微博」=「ミニブログ」という意味。
・plurk:Twitterのようなポイントサービス付のミニブログ。
・Cubie:台湾発のモバイルメッセージングサービス。
台湾ECで効果を出しやすいSNS
台湾政府シンクタンクである資策會業情報研究所(MIC)の調査によると、台湾のスマートフォン普及率は日本を上回っているようです。また、スマートフォン利用時間は日本人の2倍近くに上ります。台湾人にとって、スマートフォンはもはや電気や水道と同じくらいに生活に欠かすことができないインフラとなっているのです。
台湾人の生活とSNSとが切っても切り離せない関係である中で、台湾のECの広告においても、SNSの存在は絶大です。例を2つ挙げると、1つ目は、クロスデバイス(PCからスマートフォン、スマートフォンからPC)でリターゲティング配信が可能な、CANVAS(※)など新しい広告形態を展開するFacebook。2つ目は、消費者の生活に入り込んでいるポイント、スタンプ、タイムラインをフル活用して広告展開を行っているLINEです。
※FacebookCANVAS
https://canvas.facebook.com/
台湾ECの未来は「スマートフォン×SNS」の先に
日本では最近、Amazon Dash Buttonの話題で賑わっていますね。定期購入が浸透していない台湾においては、Amazon Dash Buttonに代わる「スマートフォンで簡単に商品を購入できる仕組み」が構築されれば、台湾のECはさらに盛り上がりを見せるでしょう。
また、スマートフォンやSNSを通じた「1対多」ではなく、電話やダイレクトメールといった形を除く「1対1」の新しい関係を築くことができれば、定期購入に代わる新しいリピート購入の型が出来上がるのではないでしょうか。
決してPCやタブレットを蔑にすることではなく、台湾ECの未来は「スマートフォン×SNS」の先にあると感じています。
次回はいよいよ最終回です。これまでお伝えしてきた台湾ECの特徴から、台湾ECの未来を予想したいと思います。是非、ご覧ください!