【第1回】クチコミをアフィリエイトに活用してCVR6倍超!ボーダレス・ジャパンに聞くコンテンツマーケティングの成功ポイント
はじめまして。
アライドアーキテクツ株式会社の吉田です。
私からは、ソーシャルメディアマーケティング(以下SMM)に積極的に取り組んでいる企業の担当者に、現場でのSMM活動について聞くインタビューシリーズ【企業担当者に聞くSMM最前線】をお届けいたします。
コラム第一回目となる今回は、株式会社ボーダレス・ジャパンの担当者に『クチコミを活用したコンテンツマーケティング戦略』について伺った内容をお届けいたします。
クチコミによるコンテンツマーケティングに注力
ビジネスを通じて社会に貢献する「ソーシャルビジネス」を手掛けている株式会社ボーダレス・ジャパン。
多国籍シェアハウスの運営や、発展途上国の農家支援など、さまざまな事業に取り組む中、2014年2月に、バングラデシュの工場で製造したカスタムオーダーメイドの革小物をオンラインで販売するブランド「JOGGO(ジョッゴ)」を立ち上げました。
「JOGGO(ジョッゴ)」は販売促進策としてコンテンツマーケティングに力を注いでおり、
中でも『アフィリエイト広告に商品モニターのクチコミを盛り込む施策』では、コンバージョン率の大幅な向上に成功するなど、目を見張る成果を上げています。同社のJOGGO事業部 髙橋 亮彦氏に、クチコミを活用したコンテンツマーケティングの成功ポイントについて詳しくうかがいました。
——「JOGGO(ジョッゴ)」の取扱商品や販売方法について教えてください。
髙橋:カスタムオーダーメイドの財布や名刺入れ、スマホケースといった革製品をオンラインで販売しています。ユーザーは、商品の形や色の組み合わせを選択し、オリジナルの革小物を作ることができます。名入れも可能です。購入者がご自身でお使いになる場合もありますし、ギフト用としてご注文いただいたり、カップルや夫婦でお揃いの財布をご購入いただくことも多いです。
現在は自社のオンラインショップのみで販売しています。ブランドを立ち上げた当初は認知拡大のためにアマゾンと楽天市場に出店していましたが、モールの店舗は一定の役割を果たしたため昨春に閉店しました。頻繁に行うわけではありませんが、百貨店などで期間限定の催事販売を実施することもあります。
——ECサイトの集客手段として、どのようなプロモーション施策を行っているのでしょうか。
髙橋:アフィリエイト広告とPPC(ペイ・パー・クリック)広告が中心です。ECサイトへのユーザーの流入経路は検索エンジン経由が約60%を占めています。
——SNSは活用していますか?
髙橋:FacebookとTwitter、Instagramの公式アカウントを運用しています。例えばInstagramの活用方法は、商品の写真を投稿してくれた顧客の写真をリポストしたり、オーダーメイド製品に興味を持ちそうなユーザーに「いいね」を押したりといった、地道な取り組みを続けています。
——クチコミを活用したコンテンツマーケティングに力を入れていると聞きました。どのような施策を行っているのでしょうか。
髙橋:商品モニターを募集し、商品のクチコミをブログに書いていただいています。インターネット上にクチコミを醸成することで、商品について検索したユーザーに安心感を与え、購入を後押しすることが目的です。また、クチコミブログからショッピングサイトへユーザーの誘導を図る狙いもあります。最近は、商品モニターが書いたクチコミを、アフィリエイターに提供し、アフィリエイト広告のコンテンツとして活用する取り組みも開始しました。
クチコミを書いてくださるモニターの募集は「【革小物カスタマイズ JOGGO Custom Design】公式ファンサイト」を利用しています。
アフィリエイトのCVRが6〜7倍に
——クチコミ施策の成果は?
髙橋:まず、クチコミはブランドの信頼を補完する効果があると実感しています。「JOGGO(ジョッゴ)」の財布は1個あたり約1万5000円しますから、お客様は購入前に「この商品に、お金を出すだけの価値が本当にあるのか」と悩むこともあるはずです。そういったお客様がインターネットで「JOGGO(ジョッゴ)」について検索したときに、商品を使った第三者の感想がたくさん出てくると、お客様は安心して買うことができるのではないでしょうか。クチコミは、購入を迷っているお客様の背中を押す重要なコンテンツになっていると判断しています。もし、当社が東京・表参道などに店舗を構えていれば、「一等地で商売をやっている」という事実がブランドへの信頼につながるでしょう。しかし、現在はオンラインのみで販売しているため、第三者のクチコミが重要なのです。
——クチコミによる売り上げへの具体的な成果を分析していますか。
髙橋:例えば、2014年12月にモニプラファンブログの利用を開始した当初は、商品の認知拡大が目的だったのですが、1年ほど続けていると予想以上に直接的な売り上げがあることに驚きました。現在、「【革小物カスタマイズ JOGGO Custom Design】公式ファンサイト」で募集した商品モニターのクチコミブログ経由のコンバージョン(購入)数は月間数十件~100件超にのぼっています。コンバージョン率(CVR)が高い記事の特徴は、商品の良い点も悪い点も正直に書いていること。閲覧者は、第三者の率直なクチコミを探しているのでしょうね。
——先ほど、モニターさんが書いたクチコミをアフィリエイト広告のコンテンツとして活用しているとおっしゃっていましたが、その取り組みについて詳しく教えてください。
髙橋:商品モニターが書いたクチコミを、アフィリエイト広告に使えるコンテンツ素材として、アフィリエイターに提供しています。アフィリエイターにクチコミを素材提供する目的は主に2つあります。一つ目は、第三者のクチコミを盛り込んだアフィリエイト広告のCVRは、クチコミが入っていないアフィリエイト広告と比べて高い傾向にあることです。アフィリエイト広告の中に第三者のクチコミを2〜3個盛り込むと、購買を促進する上で有効です。当社が試験的に実施したアフィリエイト広告ではCVRが6〜7倍に跳ね上がったケースもありました。ブログだけでなく、InstagramやTwitterに投稿されたクチコミを転載しても効果を発揮します。
アフィリエイターにクチコミを提供する目的の二つ目は、 「CVRが上がるコンテンツ素材」を当社が用意することで、アフィリエイターに当社の商品を取り上げてもらいやすくすることです。SEOに強いアフィリエイトサイトに商品を取り上げてもらうのは簡単ではありません。有力なアフィリエイターに商品を取り上げてもらうためには、単純に成果報酬の還元率を引き上げるだけではなく、CVRが高まるコンテンツ素材を提供することも有効なのです。
クチコミを効率的に収集出来る公式ファンサイト
——「【革小物カスタマイズ JOGGO Custom Design】公式ファンサイト」のモニターさんが書いたクチコミを、そのままアフィリエイト広告に使っているのでしょうか。
髙橋:そのまま使用しているわけではありません。商品モニターが書いたクチコミの一部を当社が厳選し、「ユーザーの声」の形に加工した上で、それをアフィリエイターに提供しています。
公式ファンサイトで依頼したクチコミは、モニプラファンブログで書いた記事だということを明記すれば規約上は転載できますが、あえて加工している理由は主に二つあります。
一つ目は、モニターが書いたクチコミは、レビューの文体やデザインなどが自身のブログに合わせてあるため、細かい点で「JOGGO(ジョッゴ)」のブランディングにマッチしないことがあるからです。
そして二つ目は、有力なアフィリエイターほど著作権侵害のリスクを避けたいという意識が高く、他者のブログのクチコミをそのまま転載することに対して抵抗感を示す傾向があるためです。それらの事情を考慮し、クチコミのプロモーション効果やオペレーションの手間などを踏まえて総合的に判断した結果、厳選したクチコミを当社のブランディングに合った形に加工して、アフィリエイターに提供することが最適だと判断しました。
——「【革小物カスタマイズ JOGGO Custom Design】公式ファンサイト」のクチコミをコンテンツマーケティングに活用する上で課題も見えてきたということでしょうか。
髙橋:そうですね。ただ、第三者のクチコミを効率的に集められる方法は今のところ他にないため、モニプラを重宝しているのは間違いありません。今後、当社のECサイトのレビューを増やしていく上でも、モニプラファンブログの活用は必要ですね。
また、モニプラファンブログを契約した本来の目的はインターネット上にクチコミを醸成することです。そちらの目的や効果もある程度達成できており、その上で、クチコミをアフィリエイト広告のコンテンツにも流用しているわけですから、費用対効果は十分合っていると認識しています。
品質向上に妥協なし。将来は実店舗も視野に
——アフィリエイト広告で成果をあげるポイントはどのあたりにあるとお考えでしょうか。
髙橋:アフィリエイト広告の具体的な方法論は、商品によって大きく異なるので一概には言えません。
ただ、すべての会社に共通する重要な視点の一つは、「自社の商品の強みと弱みを十分に理解しているか」ということ。競合他社と比べて自社の商品の強みと弱みがどこにあるのかを明確に説明できれば、アフィリエイト広告の戦略は見えてくるはずです。
ここで重要なことは「顧客から見たときの商品の強みと弱み」という視点も考慮することです。
——貴社はビジネスを通じて社会に貢献する「ソーシャルビジネス」を手掛けており、「JOGGO(ジョッゴ)」の事業では工場があるバングラデシュの雇用創出にも貢献しています。社会貢献の取り組みを、例えばアフィリエイト広告に盛り込むなど、プロモーションに生かすことはあるのでしょうか。
髙橋:それは一切ありません。「社会貢献」が事業の目的ではありますが、「社会貢献をしているから商品を買ってください」というプロモーションは行いません。社会貢献をプロモーションに利用すれば、短期的には簡単に売り上げが伸びるのかもしれません。しかし、中長期的に見た場合、商品の品質向上などの取り組みに甘えが生まれてしまうと危惧しています。お客様が商品に大満足してくれないとリピート注文はありえないと思っています。
お客様に満足してもらうためには、社会貢献活動は抜きにして、価格に見合った価値の商品を提供し続ける必要があります。そして、品質向上に妥協しないことが、結果的にバングラデシュの工場で働いている職人のスキルアップを促し、継続的な雇用創出につながると考えています。
——最後に、今後の展望をお聞かせください。
髙橋:ECサイトの利用者をデバイス別で分類した場合、現在はスマホが約90%を占めています。スマホの利用が急速に広がる中で、ユーザーが検索エンジンを使わなくなってきているというトレンドも実感しています。当面はクチコミを活用したコンテンツマーケティングやアフィリエイト広告、PPC広告といった現在の施策を中心にプロモーションを展開していきますが、事業のさらなる飛躍を実現するには、近いうちに新たな施策も必要になるでしょう。すでに新しい広告手法を検討していますし、状況次第では催事販売のさらなる積極化や、実店舗による展開も視野に入れていきたいです。
<プロフィール>
髙橋 亮彦 氏
株式会社ボーダレス・ジャパン
JOGGO事業部
株式会社ボーダレス・ジャパン
https://www.borderless-japan.com/
JOGGO公式ショップ
http://joggo.me/
モニプラファンブログ公式ファンサイト
【革小物カスタマイズ JOGGO Custom Design】
http://monipla.jp/joggo/