倉庫・物流不動産マーケットレポート(β版)調査結果(2017年12月時点)
株式会社シーアールイーでは、大型物流センターや大型賃貸倉庫などの物流不動産における市場動向・調査を記したマーケットレポートを発表しています。
マーケットレポートは、四半期ごと(1-3月、4-6月、7-9月、10-12月)のデータを基に作成しており、今回は2017年12月末時点での市場をまとめました。
本コラムでは、首都圏、関西圏、九州圏、中部圏のエリアごとの市場動向についてですが、より詳細な地域については倉庫・物流不動産マーケットレポート(β版)に記載しておりますのでホワイトペーパーをダウンロードしてご確認いただければと思います。
大型倉庫【首都圏】引き続き、既存物件のテナント付が進む
前Qは、新規供給の影響を大きくうけ空室率が上昇した。今Qは、6万坪弱の前Q比倍の需要があった結果、空室率は4.01%と前Q比0.83pt減少している。
今Qは、茨城南西エリアの需要が2万坪を超え、大幅に空室率が改善したが、成田エリアの空室率には動きがない。
2017CYは、約25万坪の新規供給実績となった。2018CYは、約65万坪の新規供給が見込まれている。
既存ストックに対する供給量としては、約17%と大きく、特に千葉東葛エリアの供給が著しい。
大型倉庫【関西圏】新規メガ物件の供給影響が大きい
前回推察の通り、空室率は、16.08%と5.09pt悪化している。
今期の需要が、1万坪に満たないところに対し、阪神神戸港エリアにメガ物件の供給があったことによる。
2017CYでは、約22万坪と高い水準の需要があったが、新規供給が約35万坪であり、年単位でみると需給バランスが悪く、空室率が倍増している。2018CYの新規供給は、約20万坪となる見込みで、2017CYと同水準以上の需要が必要となる。
新規供給のうちBTSの割合が約1割と少ないことから、楽観視できないマーケット環境である。
大型倉庫【九州圏】空室率は、以前、高止まり
空室率は11.29%と、前Q比0.27pt増加している。
2017CY、唯一の新規竣工物件の消化が進んでいないところに加え、既存物件の空室が若干増加したためである。
2018CYの新規供給は、5,000坪のみであり、かつ、テナントが確定している。
既存物件に対する需要次第のマーケットである。
大型倉庫【中部圏】空室率は、翌Qに改善見込み
空室率は、12.44%と前Q比1.63ptと改善している。
名古屋北エリアでのテナント入居が進んだことが要因である。
2018CYの新規供給は約6万坪、ストック量の20%を超える水準である。特に名古屋南エリアでの空室率は短期的に不安定になると思われる。
中小型倉庫【首都圏】 更に空室率が低下
引き続き、テナントニーズが高く、都内湾岸エリア、千葉東葛エリアにてテナント入居が続いたことから、全エリアにおいて、空室率が2%を下回った。
ラストワンマイルの需要は、底堅く、今後、EC需要の伸びに伴い、更なる需要の拡大が想定されるが、中小型倉庫の供給は少なく、需給のひっ迫は継続すると推測する。
今後も4半期ごとに調査レポートをコラムに掲載していく予定です。
御社の物流戦略にぜひご活用いただけばと思います。
ご不明な点やご質問等ございましたら、弊社までお問い合わせください。
【調査概要】
〇調査地域
首都圏:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県
関西圏:大阪府、京都府、兵庫県を中心とする地域
九州圏:福岡県、佐賀県を中心とする地域
中部圏:愛知県を中心とする地域
〇調査施設
大型倉庫
首都圏 285 棟 (計:12,815,806.41㎡ )
関西圏 67 棟 (計:4,219,591.08㎡ )
九州圏 24 棟 (計:742,891.69㎡ )
中部圏 21 棟 (計:879,058.49㎡ )
中小型倉庫
首都圏 906 棟 (計:732,733.25㎡ )
〇用語定義
大型倉庫 :総賃貸面積1万㎡以上の賃貸物流施設
中小型倉庫:総賃貸面積3,305.8㎡(1,000坪)未満(当社管理のみ)
空室率 :調査時点での空室の割合(空室面積÷総賃貸面積)
〇マーク凡例
☀=空室率5%未満
☁=空室率5%以上10%未満
☂=空室率10%以上
※本レポートは、株式会社シーアールイーが調査対象に関する情報をお伝えすることのみを目的として作成した資料です。
※掲載された内容は、作成時における当社の見解や予測、また関係者へのヒヤリングを基に作成したものであり、将来の市場変動等を保証するものではありません。
※本レポートに掲載された一切の権利は当社にあります。当社の事前の了解なしに転用・複製・配布することはできません。