DMMがアフリカでEC事業を行なっているお話#3

津村 亜美

アフリカにECの需要ってあるの?
注文した荷物はちゃんと届くの?
ネットの環境ってどうなの?

DMM.comから2015年に立ち上がったアフリカ事業プロジェクトDMM.Africaは、そんな疑問を持ちながら、現地でさまざまな分野の新規事業を立ち上げています。

その中でもルワンダの首都キガリに拠点を置くDMM.HeHeは、①モール型ECプラットフォーム「HeHe.Rw」、②生鮮食品販売のECプラットフォーム「H Mart」、③オンラインショッピングを支える独自のデリバリーエコシステムに注力しています。今回は、DMM.HeHeの事業をご紹介しながら、アフリカの中でも国を挙げてITに力を入れているルワンダにも触れていきます。

DMMがアフリカでEC事業を行なっているお話#1
https://ecnomikata.com/column/20094/

DMMがルワンダでEC事業を行なっているお話 #2
https://ecnomikata.com/column/21121/

事業③:独自のデリバリーエコシステム

前回ご紹介したECプラットフォーム「H Mart」を運営するにあたり、課題となったのは配達でした。ルワンダは日本のように住所が整備されておらず、そもそも商用以外の小包が自宅まで配達されるシステムがありません。

ルワンダでは、自分宛の小包が郵便局に届くと通知書が届きます。その通知書を持ち、郵便局まで小包を受け取りに行って、初めて自分宛の荷物を引き取れるのです。受け取れるのは国内一か所のみ、しかも、この肝心な通知書も100%手元に届くわけではないため、小包を受け取るまでに数か月かかってしまった、という事もよくあるようです。

手紙など郵便に関しては、国民のほとんどが最寄りの郵便局支局に私書箱を持っており、そこに配達される仕組みになっています。届くたびに通知がくるわけではないので、頃合いを見計らって定期的に様子を見に行く、というのが現状のようです。

荷物の最終停留所から最終受取人に届けるまでの区間を、「ラストワンマイルデリバリー」と呼びます。そして現状のルワンダには、このラストワンマイルデリバリーサービスが確立していません。

そこで、既存のシステムで欠落しているこのラストワンマイルデリバリーを実現するために、物流のエコシステムをDMM.HeHeで一から作り上げることになったのです。

DMM.HeHeのFleet-on-Demandシステムでは、ECショップの販売者は、プラットフォームを通じて顧客の手元へ商品をダイレクトに配送することができます。システムを使用することで、ドライバーを効率よく見つけ、自動的に算出される最短ルートが迅速な配達を実現できるようになりました。

さらに、リアルタイムに荷物の現在地を表示できたり、販売者と顧客が連絡を取れるメッセージ機能があったりと、顧客にとっても安心して使用できるシステムになっており、現在では60%以上のH Martの購入品がこのシステムで顧客の手元まで配達されています。

また、近々郵便局が小包デリバリーサービスを開始する計画ですが、そこでもDMM.HeHeのこの技術が応用されることになりました。

ルワンダのEC業界の現状

DMM.HeHe のデリバリーバイクチーム

ここまでルワンダのECビジネスについてご紹介してきましたが、ケニアに縁があったスタッフによると、経済発展が進んでいる国に比べてルワンダのEC市場はまだ発展中という印象が強いそうです。

ECを通じて提供する、新しいショッピングの経験

ルワンダの首都キガリにある、DMM.HeHeオフィスの様子。 コーディングはインハウスで行われている。

ルワンダの首都キガリにある、DMM.HeHeオフィスの様子。 コーディングはインハウスで行われています。

ルワンダで生活する一消費者として、ショッピング自体にあまりいい経験をしたことがないという声を聞くことがあります。欲しいものがどこに売っているのか、本当に今売っているのかわからないこともしばしば。たとえば、プロテインが欲しかった現地スタッフは、通っているジムに頼んだところ、「来週入荷」が2か月続いたそうです。

他のジムに聞いても今は在庫がないということで、ようやく健康食品を売るお店で見つけたものは通常の2倍以上の値段で売られていたそう。こういった消費者のニーズにオンデマンドで対応できるのが、ECの役割なのです。

また、売主にとっての利点もあります。ルワンダは内陸国のため、商品は多くの仲介者を経由して小売のお店まで運ばれてきます。

ここもテクノロジーを使ってより良いものを消費者に届け、生産者の人たちも喜ぶシステムを構築することでスケールの大きく持続的な事業が展開できるのです。さらに、店頭で現金決済の場合はスタッフがネコババしても分からない売上や在庫数も、ECのプラットフォームを使用すると、オンタイムで最新の数値を確認することができます。

アフリカでのECの将来性

国際貿易センターによると、2025年までにアフリカのEC業界は7.5兆ドルほどの規模に成長すると予想されています。そして、この市場の将来性を狙い世界中の企業が、アフリカ進出を進めています。

アフリカ全土で有名なECプラットフォームに、「Jumia」が挙げられます。Jumiaは、ドイツのインキュベーターRocket Internetが支援しているユニコーン企業ですが、ナイジェリア、ケニア、ウガンダ、ルワンダに進出したものの、ルワンダからはJumia FoodというUber Eatsのようなフードデリバリーサービスを除き、撤退しています。

撤退の原因は現地のニーズにフィットしきれなかったこと(ローカライゼーションの失敗)が主な理由だと言われています。

このように、「アフリカ」と杓子定規にとらえていい部分と、各地域によってカスタマイズしないといけない部分をうまく見極めないといけない場合があります。

中でも、Jumia Foodは、今後ルワンダ唯一の宅配フードデリバリーサービス(調理済みの食品)になるのではないかと期待されています。

さらに、最近アフリカに進出を進めている大企業として、中国のアリババグループが挙げられます。ちょうど先日、同グループ創業者のジャック・マー氏がルワンダを訪問し、eWTP(電子の世界貿易プラットフォーム)のローンチを発表しました。

例えば、アリババグループが運営するECプラットフォーム「Tmall」を通じてルワンダ産の農作物を中国マーケットに輸出できるなど、このeWTPは、ルワンダが目指す国外への輸出を増やす上で重要な役割を果たすと考えられています。

最後に

これからもどんどん人口が増え、所得も伸びていくと言われている市場は将来性があります。その中でGame Changerになれるような事業を作ることができる環境が、DMM.HeHeのチームの大きなモチベーションとなっています。


著者

津村 亜美 (Tsumura Ami)

~~~ プロフィール ~~~
【DMM.Africa】
「5年で100億をアフリカに投資する」とDMM会長の亀山が公言し、2015年に発足したアフリカ事業プロジェクト。現在はアフリカ5カ国に営業拠点を持ちながら、新規事業の立ち上げと運営に特化。常にアフリカでの新規事業立ち上げの機会を探している。

【自己紹介】
沖縄県生まれ。12歳より留学し、英国の大学卒業とともに日本で就職。外資アパレル企業を経て2018年6月に合同会社DMM.comに入社。DMM.Africaの広報・翻訳を担当。一からアフリカについて学んでいます。

【関連リンク】
http://africa.dmm.com/japanese/