DMMがアフリカでEC事業を行なっているお話#1

津村 亜美

突然ですが、「アフリカ」と聞いて何を思い浮かべますか?果てしなく続く大地、動物がたくさんのサファリ、伝統的な暮らしをつづけるマサイ族などでしょうか。では、「アフリカでEC」となると、何を想像されるでしょうか?

テレビでアフリカ特集を観たことはあるし、バックパッカーの友人がSNSに投稿していた写真はいいね!したけれど、現地の暮らしやビジネスの様子をイメージしにくい・・・そんな方も多いのではないでしょうか?

そもそアフリカにECの需要ってあるの?
注文した荷物はちゃんと届くの?
ネットの環境ってどうなの?

DMM.comから2015年に立ち上がったアフリカ事業プロジェクトDMM.Africaは、そんな疑問を持ちながら東アフリカのルワンダでECプラットフォームを運営したり、非接触型ICカードの展開や商社業務を行なっていたり。試行錯誤を繰り返しながら、現地でさまざまな分野の新規事業を立ち上げています。

日本企業としてアフリカ進出を進めているDMM.Africaの視点で、現地のECビジネスを探っていきたいと思います。このコラムが少しでも、読者の皆様とアフリカの距離を縮められたら嬉しいです。

DMMがアフリカ事業を始めたきっかけ

DMMがアフリカ事業を始めたきっかけケニアのアンボセリ国立公園。アフリカというとこのようなイメージの方が多いのではないでしょうか?

初めまして、DMM.Africaの広報を担当している津村と申します。まだ入社4ヶ月目の新人ですが、今回ご縁がありECのミカタでコラムを書かせていただくことになりました。アフリカ駐在中の担当者から生の情報を聞きながら、現地の様子をご紹介させていただきます。

DMM.Africaは、DMM.comの海外進出の一環として発足したプロジェクトです。発起人は、弊社会長本人。たまたまアフリカに旅行した際に多くの現地の人々がスマホを使っているのを目にし、「次はアフリカだ!」と思い立ったのが始まりだそう。帰国後は「アフリカ行きたいやつ集まれ」と社内にメールで発信し、手を挙げた中から選ばれた社員数名に100万を持たせ、現地へリサーチに行かせたのが始まりです。「アフリカに5年で100億円投資する」と明言し、2015年末から本格始動しました。

アフリカでECプラットフォームも運営しているDMM.Africa

アフリカでECプラットフォームも運営しているDMM.Africaタンザニア最大の都市、ダルエスサラーム。東アフリカのインド洋に面した港町は、同国の経済の中心となっています。

「アフリカ」と言っても約54の国と地域があり、エリアごとの環境や文化もさまざま。私が働いているDMM.Africaにおいても、東京オフィスだけでも日本人だけでなくモロッコ人、コンゴ民主共和国人、ケニア人、セネガル人、インド人のスタッフが在籍しており、たまに「ここは本当に六本木一丁目だっけ?」と思ってしまうほど、国際色豊かな環境です。

発足から3年弱が経ったDMM.Africaは現在、アフリカの5カ国に拠点をもち、新規事業を立ち上げ、各事業を運営しています。ルワンダ共和国でECプラットフォームを運営していたり、公共交通に非接触型カードを普及させたり、別の国でまだまだコンフィデンシャルな新規事業を進めていたりします。

アフリカで働くって?

アフリカで働くって?ルワンダでECプラットフォームを運営する、DMM.HeHeのオフィス。セキュリティもしっかりとしており、中にいるとここがアフリカなのか日本なのか区別がつかないほど。

「アフリカで働くって、大丈夫なの?」と聞かれることも多いのですが、実際に各国の拠点にいるスタッフは立派なオフィスビルの中で働いており、インターネットも快適で毎週のように東京オフィスと(通話アプリで)会議をしています。もちろん、思うように進まない事もあるようですが、通勤の満員電車もなく!けっして悪い環境ではないようです。

生活面に関しても首都にオフィスがあるので、スーパーやショッピングモールなども身近にあり、特に最近は美味しいレストランも多数あるそうで、ほとんど困ることはありません。(日本食屋がある国も多く、日本が恋しくなっても大丈夫だそうです)

弊社には、アフリカ出身のスタッフや、10年以上アフリカ関連の仕事をしている日本人スタッフが多く在籍していますが、彼らは「多くの日本人は現状より少し以前の”アフリカ”のイメージを持っている」と感じることが多いようです。

特に都市部では前述のように先進国と大差ない生活をすることができますし、一緒に働く同僚に関しても教育水準が高く、真面目で勤勉な方々が多いそうです。

アフリカとITのリープフロッグ現象

特にIT化に関しては各種メディアで「リープフロッグ現象」などと紹介されていますが、元々の社会インフラやシステムが整っていなかった分、近代的なテクノロジーが社会に浸透する速度が日本よりも早い印象です。

たとえば、日本ではポケベル→PHS→携帯電話→スマートフォンと段階をおってコミュニケーションツールが変わってきましたが、多くのアフリカの国では、何もない環境にいきなり携帯電話が浸透し、今では多くの人がスマートフォンを持っています。アフリカでは個人用のノートPCが普及するより先にスマートフォンが広まったため、約10年前は多くの人にとってネットカフェでしか利用できなかったインターネットがPCでの利用を飛び越え、スマートフォンで使われています。

また、携帯電話のネットワークも4Gに対応しているところが多く、日本と変わらない速度で外出先でもインターネットが楽しめるそう。東京にいるスタッフも出張の際は現地でSIMカードを購入し、アフリカから常にメッセージのやりとりをしています。

アフリカのEC事情

アフリカのEC事情ケニアの首都ナイロビにあるショッピングモール「ザ・ハブ・カレン(The Hub Karen)」は2016年にオープンした同国最先端のショッピングモール。モダンで西洋的な雰囲気が特徴的です。施設に入る際は、空港のようなセキュリティチェックを求められます。

今年の5月に、ルワンダの首都・キガリでアフリカを代表するICTイベント「トランスフォーム・アフリカ・サミット2018」が開催されました。その際行われた投資家向けのプレゼン大会では、複数国のスタートアップ企業がEC分野の事業に関するプレゼンを行なっており、ECに対する注目の高さがうかがえます。

そんなテクノロジーの面では日本と変わらない側面を持つアフリカですが、ECの分野においてはまだまだ課題もあり、今後さらなる発展が予想されています。

第2回ではルワンダでのECプラットフォーム運営についてご紹介していきたいと思います。ぜひ楽しみにお待ちいただければ嬉しいです!


著者

津村 亜美 (Tsumura Ami)

~~~ プロフィール ~~~
【DMM.Africa】
「5年で100億をアフリカに投資する」とDMM会長の亀山が公言し、2015年に発足したアフリカ事業プロジェクト。現在はアフリカ5カ国に営業拠点を持ちながら、新規事業の立ち上げと運営に特化。常にアフリカでの新規事業立ち上げの機会を探している。

【自己紹介】
沖縄県生まれ。12歳より留学し、英国の大学卒業とともに日本で就職。外資アパレル企業を経て2018年6月に合同会社DMM.comに入社。DMM.Africaの広報・翻訳を担当。一からアフリカについて学んでいます。

【関連リンク】
http://africa.dmm.com/japanese/