レディースアンダーウェア調査〜AR計測、3Dスキャナの登場は市場を変えるか〜

小林芽久未

スマートフォンに特化した若年層プロモーション・ネットリサーチ事業を展開する株式会社テスティーでは「EC×若者」をキーワードに若年層調査・分析を実施し、若者の意識や消費行動を読み解きます。日々のサービス運営やマーケティングなどにおいて少しでも読者の皆様のお役に立てたら幸いです。

今回は20代女性553名を対象に行ったレディースアンダーウェアに関する調査をお送りします。調査の結果をご覧ください。

1.サイズ計測経験と悩みの有無
2.AR/3Dスキャナー利用意向
3.オーダー希望購入価格

1.サイズ計測経験と悩みの有無

普段からブラジャー等のアンダーウェア(以下、アンダーウェア)を利用していると回答した20代女性553名を対象に調査を行いました。まず、サイズ計測に関して聞いたところ、「購入時は毎回計測する」と回答した人は18.4%、「サイズが変わったと感じたら計測する」と回答した人は32.5%、「自分で計測して該当のサイズを購入する」と回答した人は22.4%となりました。

「サイズは測らない(測ったことがないも含む)」は26.7%となりました。

続いて、「ブラジャーに関して悩みはありますか?」と聞きました。「(悩みが)ある」と回答した人は46.6%となりました。

そこで、「(悩みが)ある」と回答した人を対象に自由回答にて得た悩みの詳細を一部ご紹介します。

・自分に合うサイズがわからない、恥ずかしくて採寸したことがない(29歳女性)
・サイズがない。値段が高い。付けて痛いなど(29歳女性)
・白い服に透けない下着がほしい(26歳女性)
・自分のサイズでの可愛いデザインがない。サイズの測定が恥ずかしい(27歳女性)
・ワイヤーが痛いと感じるときがある(21歳女性)
・つけ心地と機能性と値段が全て良いものがなかなか見つからない(25歳女性)
・左右差が大きいので調整が大変(23歳女性)
・良いものを使いたいが、値段が高い。買い替え時期がわからない(23歳女性)
・替え時がわからない(22歳女性)
・正しい付け方がわからない (24歳女性)
・良いサイズとデザインを兼ねたものがなかなかない(26歳女性)

採寸が恥ずかしい、サイズが合っているかわからない、付け方がわからないなど様々な悩みが挙がりました。計測に関しては、販売員に対する「恥ずかしさ」がネックになっていることが伺えます。

2.AR/3Dスキャナー利用意向

続いて、販売員に直接測ってもらわなくてもサイズ計測が可能なAR(スマホのカメラ機能を使って自分で測る)や3Dスキャン(全身のスキャンデータをとってサイズを計測する)を利用した計測方法を利用してみたいと思いますか?と聞きました。

全体では約6割が「利用したい」と回答しました。前の設問においてアンダーウェアに関する「(悩みが)ある」と回答した人のうち、8割以上が利用意向を示しました。

そこで、利用したいと回答した人を対象に「利用したいと思う理由」を聞きました。

・販売員に測って貰うのは恥ずかしいし、スマホで簡単に測れるならやりたい(29歳女性)
・その時のサイズを完璧に測定できそうだから(23歳女性)
・他の人に体型を見られたくないから便利だと思った(20歳女性)
・自宅で出来ると楽になり、ネット通販等で気軽に購入しやすくなる(26歳女性)
・全身のバランスも一緒に見れるとダイエットなどの指標として使える(27歳女性)

など、計測のネックとなっている恥ずかしさの解消や購入場所の広がり、データ化することによる2次的なメリットが挙がりました。

その一方、「利用したいとは思わない」と回答した人からは

・データの流出がありそうで怖い。また、エラーや上手く測れなさそう(28歳女性)
・販売員に測ってもらう方が、直接話せたりつけた感じも見てもらえるから(23歳女性)
・データが残ってしまって、情報が漏れたら怖いから(23歳女性)
・ちゃんとプロに見てもらいたいから(29歳女性)
・販売員の方が相談もできるから(27歳女性)

など、販売員(プロ)に相談をしたいという意見や、画像や数値をデータ化した際の情報流出が懸念点として挙がりました。

3.オーダー希望購入価格

最後に、AR/3Dスキャンでサイズ計測を行なった場合にセミオーダーあるいはフルオーダーが可能だった場合に購入検討する金額について聞きました。

画像上段は現状の「アンダーウェア平均購入額」、下段は「AR/3Dスキャンでオーダー可能な場合の希望購入価格帯」となります。

現状は「5,000円以上」での購入者は17.8%ですが、オーダー可能な場合は29.5%と10pt程度の人が購入額が上がってもいいと感じている様子が伺えます。

現状、ワンセットあたり平均購入額が3,759円だったのに対して、AR/3Dスキャンを利用してオーダー可能な場合の平均希望購入金額は5,237円となりました。

自分の体にフィットしたものを購入可能な場合は、現在より多少高額になっても購入を検討すると言えそうです。

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以上、20代女性対象の「アンダーウェア」に関する意識調査の結果をお送りしました。

全2回に渡りお送りしたアンダーウェアに関する調査結果から、購入時に計測を毎回行なっている人は18.3%と2割以下であることや、およそ2人に1人がアンダーウェアのサイズやラインナップなどについて様々な悩みを持っていることがわかりました。

下着の通販では、小さめサイズを揃えた「feast」や大きめサイズを揃えた「OverE」など、サイズにとらわれずにデザイン性を重視した国内ブランドも登場しています。

また、サイズ計測に関してもZOZOスーツのような採寸ボディスーツとスマートフォンを利用した3D計測や、ワコールが実店舗にて実施した販売員に計測してもらう必要のない「3D Smart&try」、スマートフォンアプリを利用してカメラで計測可能な「Sizer」など、下着のみではなく様々な服飾品のサイズ計測に関する技術が生まれています。

オーダーの場合、現状の消費額に比べて購買意欲と消費額に関しては上昇傾向にあることからも、計測に対し抵抗感を持っている層に対して新しい技術での商品販促は有効と言えそうです。

■前回調査「レディースアンダーウェア調査〜現状の購買状況、市場感〜」
https://ecnomikata.com/column/23742/
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調査概要
調査期間:2019年9月9日(月)
調査対象:20代/ 女性 / 自社モニター会員/553サンプル
     前回調査「普段ブラジャーを利用している選択者」


著者

小林芽久未 (Megumi Kobayashi)

平成4年生まれ。

株式会社テスティーの広報・ライターを担当。
若年層リサーチに特化したTesTeeにて、調査メディアの運営に携わり
女子高生や女子大生、10〜20代男女を対象に多様なジャンルにて調査を実施。
若年層マーケティングに助力するため、イマドキの若者の実態を発信している。

■企業情報
【株式会社テスティー】https://www.testee.co

■事業内容
・スマートフォンアンケートアプリの開発・運営
 「Powl(ポール)」https://static.powl.jp/lp/
・プログラミング不要のチャット型ツールの開発・運営。
 「Fast Sonar(ファストソナー)」https://fastsonar.com
・若年層/アプリに特化したモバイルネットリサーチ事業の運営
 「テスティーリサーチ」https://www.testee.co/research
・リサーチ結果を紹介するメディアの運営
 「TesTee Lab(テスティーラボ)」https://lab.testee.co