Instagramの活用法「発見型コマース」とは

丸山 祐子

こんにちは!
Facebook Japanのコマース事業部でIndustry Managerをしています、丸山 祐子です。

昨年は新型コロナウイルス感染症の影響でデジタル化への注目が高まり、これまで以上にECビジネスに注力したり、新たに参入した企業が増えた年だったのではないでしょうか。弊社の調査でも、これまで実店舗で購入していたものをオンラインで買うようになったと回答した国内消費者は大きく増加しています。この傾向は今年もさらに加速するでしょう。

そのような中で、自社商品をより多くの消費者に見つけてもらい、売上を伸ばすためには何が必要なのでしょうか。弊社では、Instagramの強みとして提唱している「発見型コマース」こそ、その答えだと考えています。

このコラムでは、なぜ「発見型コマース」とInstagramが皆様のECビジネス成長に役立つのかについて解説します。

商品が顧客を見つける?発見型コマースとは

コロナで変化する消費者のニーズ

昨今の新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの消費者がショッピング習慣を見直しています。昨年4月の緊急事態宣言期間中に実施した弊社の委託調査によると、「従来は実店舗で購入していたものをオンラインで購入した」と回答した国内消費者は1.6倍(※1)にも及びました。長引くコロナの影響、2回目の緊急事態宣言で、このトレンドは継続していると考えられます。

オンラインでのショッピング体験を考えたとき、日用品などの足りないものを購入する、つまり「買いたいものが既に決まっている」状態であれば、検索によって最短時間で目的の商品にたどり着くことができるECサイトが便利でしょう。

しかし、この方法では消費者が既に知っている商品しか発見することができません。また、何が欲しいか分からないけれど買い物を楽しみたいという、ウィンドーショッピングのような漠然としたニーズも満たされないと言えます。

では、新規顧客を開拓したいときや、日用品ではなく嗜好品を扱っているECビジネスは、どのようにオンライン上で消費者に自社商品を発見してもらえば良いのでしょうか。

新しい購買体験「発見型コマース」とは

まさにそのようなニーズを満たすのが、Instagramが実現する「発見型コマース」です。消費者が(既に知っている)商品を検索するのではなく、欲しいものとの偶発的な出会いを生み出すことで「商品が顧客を見つける」という考え方です。

例えば、春に向けて新しい洋服が欲しいとき。下図のように、ECサイトで「シックなトップス」と検索するのが従来のショッピング体験です。買いたいもの(アイテム)は決まっていたとしても、利用しているECサイトで扱っていないブランドとの出会いは見込めません。

しかし、Instagramは個々の利用者の興味関心をもとに関連性の高い投稿や広告を表示するため、いつも利用しているECサイトの出店状況やブランドの認知に関わらず、自社ブランドに興味を持っている消費者に商品を発見してもらうことが可能なのです。

ビッグデータが可能にする発見型コマースのしくみ

なぜ、商品が顧客を発見する「発見型コマース」が可能なのか?それは、Facebook社の持つビッグデータにあります。Instagramをはじめ、弊社が提供するファミリーアプリは全世界で32億人に利用いただいています。利用者の皆様がどのような投稿や広告に興味を示しているのか、様々なアクションデータを機械学習することで、一人ひとりに最適化したコンテンツが表示されるような仕組みを構築しています。

ここに、実店舗の購入状況など企業が自社で所有するデータを掛け合わせることで、発見型コマースの精度はさらに高まります。

発見から購入までをシームレスにつなぐInstagram

Instagramが自社商品を発見してもらうのに役立つことは理解できたが、ECサイトへのトラフィック増加や売上の向上にどのような効果があるの?と思われる方も多いでしょう。それには、大きく2つの理由があります。

理由1: 認知と同時に「欲しい」が生まれる

そもそも、利用者にとってInstagramは、友人や家族など大切な人と交流するための場所であると同時に、商品やブランドなど「好きなもの」と繋がるための場所でもあります。本コラムを読んでいらっしゃる方の中にも、Instagramでお気に入りの飲食店やブランドをフォローしているという人は多いでしょう。実際、利用者の90%が何らかのビジネスアカウントをフォロー(※2)しています。

また、発見型コマースの仕組みについて説明した際にも触れたように、Instagramは利用者ごとの興味関心に合わせて投稿や広告を表示しています。好きなものに関する情報を得たいというマインドセットを持つ利用者に、関連度の高い情報をパーソナライズして表示することで、アクションに結びつきやすい仕組みを実現していることが、Instagramの強みです。

自身と関連度の高い商品を発見するからこそ、認知した瞬間に「自分ごと」になり、「欲しい」という気持ちが生まれます。言い換えると、たまたまフィードに流れてきた広告で紹介されている商品が目に留まり、そのまま購入したというように、アクションが起こりやすいのがInstagramだというこです。弊社の委託調査では、国内利用者の83%が「Instagram上の投稿がきっかけで行動を起こしたことがある」と回答しており、即時でない場合も「ブランドサイトやECサイトなどで後日、商品確認や購入をする」という回答者も44%にのぼります(※3)。

理由2: ショッピング機能でECサイトに送客

InstagramがECビジネスの成長に効果的な理由の2つ目は、商品を「欲しい」という気持ちが生まれたら、すぐに検討・購入できる機能の存在です。2018年に国内で導入した「Instagramショッピング」は、自社のECサイトで販売する商品情報を投稿にタグ付けすることが可能で、利用者は商品名や価格などを閲覧し、商品の購入検討までをアプリ内で簡単に行うことができます。

ちなみに日本の利用者は、このようなタグが付いている投稿から商品詳細を見る割合が他国に比べて約3倍(※4)と高く、ショッピング機能に対して非常にエンゲージメントが高いことが分かっています。

注目の最新ツール「ショップ機能」

ショッピング機能に加えてご紹介したいのが、昨年6月に国内で導入を開始した「ショップ機能(Facebookショップ機能)」です。なお、ショッピング機能と同様、ショップ機能も自社のECサイトを持つ企業で、弊社の定める要件を満たしているビジネスであれば無料でお使いいただけます。

ショップ機能の特長は、Instagram上にオンラインショップを作成し、自社ECで購入可能な商品を一箇所に集約して見せることができる点です。このオンラインショップは、Instagramのプロフィール画面に設置される「ショップを見る」というボタンから訪れることが可能で、フルスクリーンで表示されます。

また、複数の商品をまとめてコレクションとして表示したり、UIの色を変更したりすることもできるため、より多面的にブランドの世界観を表現することができるのも魅力です。利用者が商品を探しやすくなるだけでなく、例えば新シーズンの商品をまとめてコレクションにすることで、関連商品を発見してもらいやすくなるなどの効果も見込めます。

ショッピング機能を使うことで、個々の投稿に商品詳細のタグを付けることができるとご説明しましたが、そのような投稿で紹介している商品を一箇所に集約し、リッチな見せ方で訴求することができるのがショップ機能だと言えます。

ショップ機能のさらに詳しい説明や設定方法については、Facebook Japanの公式Facebookページ(@facebookappJapan)上で公開している、弊社が昨年実施したオンラインセミナー「その先へ with Facebook - InstagramでEコマースを無料で始める」で解説していますので、是非ご覧ください。

まとめ

いかがだったでしょうか。なぜ「発見型コマース」とInstagramが皆様のECビジネス成長に役立つのか?まとめると、以下のポイントに集約されます。

●消費者ニーズが変化する今こそ、発見型コマースを取り入れ、自社に興味を持ってくれる顧客に商品を発見してもらおう
●Instagramなら、商品の発見(認知)と同時に「欲しい」が生まれ、アクションに繋がる
●ショッピング機能やショップ機能を活用し、ECサイトへのトラフィック増加や売上アップを目指そう

今回ご紹介した機能以外にも、弊社では今後もECビジネスの成長に貢献するためのツール改善・開発に取り組んでいく予定です。

同時に、Instagramを通じて顧客と継続的にコミュニケーションを取り、自社のファンを増やすことも非常に重要です。より多くの利用者に投稿を発見してもらったり、ショッピング機能を活用した投稿のエンゲージメントを向上させるためには、日々の投稿を通じてブランドの世界観や商品の魅力を発信し、顧客と積極的に交流することが不可欠です。

※1 IPSOS「Tracking the Coronavirus」(日本の18~75歳2,000人、2020年4月16日~19日)
※2 Instagram内部データ(グローバル、2019年10月)
※3 IPSOS Instagram国内ユーザー調査 (弊社委託による調査、2018年10月 n=1523)
※4 Instagram内部データ(日本、2020年9月)


著者

丸山 祐子 (Yuko Maruyama)

大学卒業後、人材会社で法人広告営業担当に就き、その後、広告会社でソーシャルメディア営業を担当。 主に、Twitter, Facebookをはじめとする新規海外メディアの日本での広告ローンチに従事。 2013年5月Facebook入社。ブランディングを主目的とする消費財、 小売チームとダイレクトレスポンスを主目的とするコマース、旅行業界のClient Solutions Manager, Lead を経て現職