通販・D2C王国・九州の陥落 ~単品通販・D2Cの時代変遷と次世代の勝ち組の条件~

加藤公一レオ

こんにちは。売れるネット広告社 代表取締役社長 CEO 加藤公一レオです。

『売れるネット広告社』が本社を置く九州は、オフラインの時代から健康食品や化粧品を中心にさまざまな単品通販・D2C会社が誕生し、「通販・D2C王国」と呼ばれた。ところが最近は、「九州の通販・D2C会社の存在感が薄れている」と感じる方も多いと思う。

果たして、通販・D2C王国・九州は今も“最強”なのか?

一代目から三代目までの単品通販・D2Cの時代変遷を振り返りつつ、次世代の“勝ち組”となる「四代目」の条件もズバリお伝えしたい。

通販・D2C王国・九州の“陥落”

通販新聞が発表した2009年度の通販売上高ランキングでは、化粧品・健康食品分野における単品通販・D2C会社TOP30社のうち、「再春館製薬」「やずや」「エバーライフ」をはじめ、実に14社が九州に本社を置く企業であった。

※出典:通販新聞(2010年1月付)

社数の内訳で見ると、九州が14社、東京が7社で、その他が9社。売上比率で見ると、九州が約35%、東京が約30%、その他が約35%であった。「通販王国」と言われた通り、2009年度時点では、九州は社数・売上ともに“最強”だったのである!

しかし、近年はどうか。それから10年後の2021年1月に発表された2019年度のランキングでは、TOP30社のうち、九州に本社を置く企業はなんと6社にまで減少している。かわりに、猛烈な追い上げを見せているのが、TOP30社のうち17社を占める東京勢である。

売上比率で見ても、九州が約20%、東京が約60%、その他が約20%と、2009年度に比べ、東京勢が30%も伸ばしているのだ。

依然として高い売上を誇る九州の単品通販・D2C会社もあるが、現在では、社数・売上ともに東京の存在感が増しているのが現状だ。ぶっちゃけ、「通販・D2C王国」と呼ばれた九州は、もはや王座から“陥落”しているのである!

単品通販・D2Cの時代変遷

単品通販・D2Cのトレンドは、時代とともに移り変わってきた。

「単品通販・D2Cの元祖」ともいうべき「一代目」が、九州で誕生した元祖・単品通販・D2C会社である。「やずや」を筆頭に、健康食品事業を展開する「えがお」や「健康家族」などだ。「やずや」と「えがお」の2社は、依然として2019年度のTOP30にランクインしているものの、一時期ほどの勢いはなくなっているのが現状である。

次に、「二代目」として台頭してきたのが、東京勢の「カゴメ」「ライオン」「サンスター」などだ。この時期は、もともと知名度の高い大手食品メーカーや大手消費財メーカーが相次いで単品通販・D2C市場に参入し、競争が激化した。これら二代目の売上高は、ここ数年は横ばい傾向にあり大きな成長は見られない。

そして、「三代目」として新たな風を吹き込んだのが、東京発ベンチャー系通販・D2Cの「ファビウス(旧メディアハーツ)」「ランクアップ」「プレミアアンチエイジング」「バルクオム」などである。

これら三代目は、近年文字通り“右肩上がり”の躍進を遂げてきた。「マナラ ホットクレンジングゲル」で知られる「ランクアップ」は『売れるネット広告社』のクライアントでもあるが、2014年には59億円だった年間売上が2019年には114億円に達している。

「DUOクレンジングバーム」の「プレミアアンチエイジング」も2019年に年商100億円の大台に乗り、2020年には200億円を突破。株式上場も果たしており、まだまだ売上を伸ばす勢いである!

一代目・二代目・三代目の特徴

単品通販・D2Cの元祖ともいえる九州勢と、東京発ベンチャー勢の明暗を分けたものとは何だろうか。ここで、一代目・二代目・三代目の単品通販・D2C会社について、それぞれの特徴を見ていこう。

・一代目の強みと弱み

九州勢を中心とした一代目の単品通販・D2C会社の特徴は、新聞チラシやテレビCM、インフォマーシャルといったオフラインを中心とした広告展開で、ツーステップマーケティング[無料モニター・100円モニターから定期コース(サブスク)への引上]により、定期(サブスク)顧客を獲得してきたことである。

ダイレクトマーケティングを理解している優秀な経営者が多く、徹底したCRM(会報誌、コールセンター、DM)によって、LTVの高い優良顧客の育成に成功してきた。

その反面、オフラインの広告展開が中心だったため、近年はネットリテラシーが低い企業が多いことが足を引っ張っている。

また、過去の成功体験があるがゆえに、それに基づいた固定観念を持っている経営者が多く、市場環境の変化に対応しきれていないのも一代目の弱点である。広告も自社運用が主軸で、広告代理店やコンサルティング会社をうまく活用できていないケースが多い。


・二代目の強みと弱み

一代目がオフラインメインの広告展開を行っていたのに対し、東京の大手メーカー系通販・D2Cを中心とした二代目は、オフラインの広告とオンラインの広告を両立させてきた。

依然として、メインとなるビジネスモデルはツーステップマーケティング[無料モニター・100円モニターから定期コース(サブスク)への引上]である。

東京の大手食品メーカーや大手消費財メーカーが多い二代目は、なんといっても企業名やブランド名の認知度が高いところが強みである。「トクホ」や「機能性表示」など、大手の資金力で開発した付加価値のある商品戦略にも特徴がある。

一方で、店頭販売を中心としたビジネスを行ってきた企業が多いため、経営者が通販・D2Cの投資に対して十分な理解をしておらず、PDCAのスピードが遅いところが二代目の弱みだ。

また、大企業・大ブランドとしてのイメージを意識するあまり、ダイレクトマーケティングらしい“コテコテ感”を出しにくく、勢いで買わせる強い訴求がしにくいという点もネックになっている。

・三代目の強みと弱み

東京発ベンチャー系通販・D2Cを中心とした三代目の特徴は、最初から即定期(サブスク)に持ち込み、定期(サブスク)縛り(最低継続回数)を設けるワンステップマーケティングを主戦略としてきたことである。

芸能人やインフルエンサーを使った宣伝活動や、広告代理店・コンサルティング会社などの外部リソースの活用が上手いところも強みであり、カフェなど実店舗への展開などを通したファン作りにも成功してきた。

一方で、一代目が得意としていたCRMがあまり仕組み化できておらず、LTVが高い優良顧客の育成が不十分であることが弱点だ。

また、いきなり定期(サブスク)に申込ませようとするため、広告表現が強くなりがちで、景品表示法や薬機法で刺されやすいというリスクもある。

即定期(サブスク)に誘導するワンステップマーケティングで伸びてきた企業が多いのが三代目の特徴だが、成功モデルに固執し、それに替わる新たな成功事例を生み出せていないことが課題である。

ワンステップマーケティングは崩壊寸前

次世代の“勝ち組”となる「四代目」の話をする前に、今後の単品通販・D2C業界の動向を大きく変える流れについてお話しておこう。

三代目は即定期(サブスク)に誘導するワンステップマーケティングによって大成長を遂げてきたが、現在ワンステップマーケティングは、ビジネスモデルとして崩壊の危機に瀕している。

その背景として、逮捕者が出たこともあり、薬機法違反や景表法違反などの不正が生じやすい記事型広告への目が厳しくなっていること、消費者を誤認させるような強制定期(サブスク)モデルに対する当局の規制や監視が厳しくなっていることが挙げられる。

そのような状況もあって、以前はワンステップマーケティングをやっていた通販・D2C会社もツーステップマーケティングに移行しつつあり、単品通販・D2C業界全体でツーステップマーケティング復権の動きが目立っている!

“1000回以上”の【A/Bテスト】を繰り返してきた『売れるネット広告社』では、当然「ワンステップマーケティング VS ツーステップマーケティング」のビジネスモデルテストも大小の通販・D2C会社で何度も行っている。その結果、コンバージョン率でも、CPOでも、ワンステップマーケティングがツーステップマーケティングに勝利することはなかった。

お客様にとって経済的リスクがほとんどない「無料モニター」や「100円モニター」を入口としたツーステップマーケティングのほうが、圧倒的に多くの見込客が集まるし、一度モニター商品を試したうえで定期(サブスク)に申込むため、継続率も高くなる。結果として、即定期(サブスク)のワンステップマーケティングよりも、ツーステップマーケティングのほうが、CPAやCPOが良くなるのだ。

恋愛に例えると、ワンステップマーケティングは合コンで知り合った女性に即日プロポーズするようなもの。一方のツーステップマーケティングは、合コンで知り合った女性をまずはデートに誘い、お互いを知ってから結婚を申込むようなものである。

つまり、ツーステップマーケティングのほうがずっと本質的だし、持続可能なビジネスモデルなのだ!

次世代の“勝ち組”となる「四代目」の条件とは?

これらを踏まえて、次世代の“勝ち組”となる四代目通販・D2Cの条件を考えてみよう。これからの単品通販・D2C業界で大成功するためには、一代目から三代目までの“いいとこ取り”をすることが大事になってくる。

ポイントは以下の6つだ。

①ツーステップマーケティング[無料モニター・100円モニターから定期(サブスク)引上)]
前述の通り、即定期(サブスク)に誘導するワンステップマーケティングは、もはやビジネスモデルとして機能しなくなっている。
 
そこで、これからの単品通販・D2Cは、初回は「無料モニター」や「100円モニター」を入口として見込客を集め、本商品の定期(サブスク)コースに引上げるツーステップマーケティングを前提としたビジネスモデルを設計する必要がある。

②徹底したCRMによるLTVが高い顧客の育成
単品通販・D2Cは「1人のお客様にできるだけ多く・長く買ってもらう」ことで利益が出るビジネスモデルである。したがって、新規顧客獲得だけに注力していてはダメで、CRMに力を入れて、LTVが高い優良顧客を育成する仕組みを確立すべきである。

そのためには、同梱物や会報誌、LTVアップフォローメールなど、オフライン・オンライン両方の手段を駆使し、お客様と半永久的にコミュニケーションを取っていくことが重要だ。

③差別化を念頭に置いた商品戦略
あらゆる商品・あらゆる広告が氾濫している今の時代、商品を作って広告を出せば売れるというものではない。これから単品通販・D2Cで成功するためには、差別化を念頭に置いた商品戦略が大事になってくる。

即効性のない健康食品であれば「トクホ」や「機能性表示」といった客観的な権威付けによって商品の付加価値を高めることが重要である。

化粧品の場合、健康食品よりはすぐに効果や相性を実感しやすいが、近年は、手にのせるとあたたかく感じるクレンジングなど「わかりやすいもの」「エッジがきいているもの」が売れる傾向にある。

単に品質にこだわっただけではお客様に伝わりにくいので、お客様から見てわかりやすい特徴や個性を意識した商品開発が今まで以上に大事になってくるだろう。

④タレント、インフルエンサー、雑誌掲載など広報の活用
これからの単品通販・D2Cにおいては、広告だけにとどまらない広報(PR)活動がますます重要になってくる。

企業の広告よりも、ターゲット層に影響力を持つタレントやインフルエンサーのレビューやおすすめ情報のほうが、消費者の信頼や関心を得られる時代になっている。また、ベンチャーの商品であっても、雑誌に掲載されることで信用度は一気に上がるし箔も付く。

そのため、広告でも「タレントの○○さん愛用」「YouTuberの○○さん愛用」「雑誌○○に掲載されました」などと紹介できるように仕込むことが大事だし、当然SNSなども駆使して認知度やブランド力を上げていくべきだ。

⑤効率的な外部リソースの活用
三代目が短期間で大成長できた要因として、広告代理店やコンサルティング会社など、外部リソースを活用したことがある。

単品通販・D2C業界において新時代の“勝ち組”になるためには、外部リソースは今後も積極的に活用すべきだ。広告代理店やコンサルティング会社は類似する商品の成功事例などを持っているため、ノウハウを分けてもらうことにより最短の道で成功できるし、さまざまな媒体と取引を行っているからこそ仕切れる特別枠を持っているなど、自社運用では得られないメリットも多いからである。

⑥オーナー経営で意思決定・スピードを速く
通販・D2Cのネット広告は、リアルタイムで広告効果を測定することができるのが強みだ。同時に、変化が激しいため、単品通販・D2C会社の経営にはスピーディーな意思決定が求められる。

ズバリ、次世代の“勝ち組”になるうえで有利なのは、オーナー経営の単品通販・D2C会社である!

刻一刻と変化する情勢に対応し、時代をリードするためには、大企業型の縦割り組織よりも、オーナー経営者によるトップダウンの意思決定とリーダーシップが圧倒的に有利だからだ。

以上6つが、次世代の“勝ち組”となる「四代目」の条件である。おわかりだと思うが、一代目から三代目の強みをガッチャンコしたハイブリッド型の単品通販・D2C会社である!

これまでの単品通販・D2Cの歴史を振り返ると、一代目・二代目・三代目それぞれに強みがあったが、同時に克服しきれない弱みもあった。次世代の“勝ち組”となる「四代目」になるためには、一代目から三代目に学んで“いいとこ取り”をすることが重要だ。

四代目の台頭が刺激となって、単品通販・D2C業界がますます発展することを期待している。


著者

加藤公一レオ

1975年ブラジル・サンパウロ生まれ、アメリカ・ロサンゼルス育ち。
西南学院大学経済学部卒業後、三菱商事株式会社に入社。その後、Havas Worldwide Tokyo、株式会社ADKホールディングスにて、一貫してネットビジネスを軸としたダイレクトマーケティングに従事し、担当した全てのクライアントのネット広告を大成功させる。
その実践経験とノウハウをもとに、ネット広告のレスポンスを確実にアップさせてしまうため、クライアント企業から『レスポンスの魔術師』との異名をとる。
「やずやベストパートナー賞」受賞。「Webクリエーション・アウォード Web人貢献賞」受賞。「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー ジャパン九州地区」受賞。
広告・マーケティング業界のオリンピック「アドテック」で3年連続人気スピーカー1位。
「全日本DM大賞最終審査員」や「米国 International ECHO Awards審査員」、「九州インターネット広告協会の初代会長」も務めた。著書に『単品通販“売れる”インターネット広告』(日本文芸社)、『100%確実に売上がアップする最強の仕組み』(ダイヤモンド社)、『伝説のEC猫レオレオ 売れるネットショップ繁盛記』(impress Digital Books)。
単品通販(D2C)のネット広告の費用対効果を最大化するクラウドサービス『売れるネット広告つくーる』を監修。

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