レリアンのライブコマース事例 実店舗の強みを活かした配信のコツを聞く

藤次 一嘉

株式会社レリアン
左から
猪股 星理子氏
伊藤 達哲氏
秋元 直子氏

コロナ禍の影響を受け、今や説明不要なほど普及が進んでいるライブコマース。ECのミカタでは、SaaS型ライブコマース・ツールである「TAGsAPI」(※)を提供している株式会社Mofflyの代表取締役・藤次一嘉氏をコラムニスト兼インタビュアーにお招きして、ライブコマースの最前線をお伝えする。

第3回となる今回は、百貨店を中心に女性向けファッションブランドを展開する株式会社レリアンの伊藤達哲氏、そのライブコマースにレギュラーとして出演されている社員兼モデルの猪股星理子氏と秋元直子氏に、店舗を持つブランドならではの強みを活かしたライブコマースの配信のコツを伺った。

※TAGsAPIとは
自社ECサイトにて、ライブ配信を通じて商品の接客・販売ができるクラウド型ライブコマース・サービス。

高い頻度の配信で固定のファンを作る

ーーまずはライブコマースを導入されたきっかけをお伺いしたいです。

伊藤:直接のきっかけはコロナ禍によって店舗の集客が落ちたことです。弊社は店舗がほぼ百貨店のインショップなので特に影響が大きく、店舗以外の販促ツールが必要でした。

そこでいくつかのライブコマースのツールと比べて、TAGsAPIを導入することに決めました。ライブコマース事業部という新設部署を作り、現在は6名で日々の配信を行っています。

導入スピードは非常に早く、最初の問い合わせから初回配信までは1ヶ月ほどでしたね。

ーー非常に導入が早かったので、弊社としても身が引き締まる思いでした。店舗以外の販促ツールの中でも特に「ECサイトで行うSaas型ライブコマース」を選ばれた理由はなんでしょうか?

伊藤:InstagramなどのSNSを使った販促というのは3年ほど前から行っていたのですが、集客や売上に繋げることが難しい状況だったんですね。その中で「ライブコマースが中国で爆発的に伸びている」ということを知って興味を持ちました。

猪股:ライブコマースを行うに当たって「SNSを使ってライブ配信を行う」という選択肢もあったのですが、私達のブランドはお客様の年齢層が比較的高く、InstagramのようなSNSになじみが薄い方も多いんです。

お客様に見て頂きやすくするのであれば「ECサイトでボタンを押したら配信を見られる」というクラウドサービス型が最適だと思いました。

ーーライブコマースを導入されたことで、ECからの売上はどの程度伸びたのでしょうか?

伊藤:コロナ禍という事もあり、EC自体の売上は伸びています。全体売上におけるEC化率10%という数字を掲げていましたが、達成されています。ライブコマースの導入により、お客様に親近感のある商品提案が出来ていると思います。

ーー非常に好調ですね。現在、レリアン様では週2~3回というかなり高頻度の配信を行っていらっしゃいますが、毎回の視聴者数はいかがでしょうか?

伊藤:視聴者数については、当初目標をかなり高く設定していたんですね。ただ、やって行くうちに目標が適切ではなかったことに気づき、ご担当の方とも相談して現在は1回の配信で約250UUを目標にして配信しています。

状況で言うと、人気のある店長が出演する回やコラボレーション回であれば目標を達成しています。ただ、視聴者数が少ない回でもコメントは安定していただけているので、固定のお客様が根付いてきて下さったのかなと思っています。

ーー高頻度の配信で毎回一定の視聴者がいらっしゃるというのは、固定ファンに恵まれた非常に人気のある配信だと感じます。

猪股:ECサイトでお買い上げいだたいた方にアンケートをお送りしているのですが、「いつもライブを楽しみにしています」と言うお声をいただくこともあって、ライブコマースを熱心に見てくださっているお客様がいる、というのは実感しています。

秋元:電話で注文を受けたときに「あのファッションライブに出られている秋元さんですか!」と言うお声をいただくことも多くて、すごく嬉しいですね。

身近な店舗スタッフの出演はお客様にとっても、嬉しい

身近な店舗スタッフの出演はお客様にとっても、嬉しい

ーーいままでの配信の中で、特にうまくいっていたものや、手応えを感じた配信はどういうものでしょうか?

猪股:やはり我々の原点は店頭ですので、実店舗の店長やスタッフが出演すると非常に盛り上がりますね。スタッフ自身が「今度ファッションライブに出るので見てくださいね」と宣伝するのは、いつも出ている我々が「次回も見てくださいね」と呼びかけるのとは違う訴求力があるんです。

秋元:「店頭でいつも接客をしてくれる身近な方がライブに出る」というのは、それだけでお客様に喜んでいただけたりするんですね。コメントも非常に愛情があるものが多くて「早くお店に行きたいです」といった涙が出そうな嬉しいコメントもたくさんいただきます。

ーー店舗スタッフの方々とお客様との繫がりが非常に強いことがわかります。

猪股:それは我々のひとつの強みだとも思っています。ファンの方々に支えられているブランドですので、ライブコマースでもそれが活かされていると思います。

ーーライブコマースを行うことで、視聴者とのコミュニケーションにも良い影響が出てきているということですね。配信のコツについてもっとお聞きしていきたいのですが、視聴者とのコミュニケーションで特に心がけていらっしゃることはありますか?

秋元:コメントはすべて拾うようにしています。ライブコマースはそれが一番重要だと思いますので「このシャツはどんなスカートに合わせると良いですか」と言われたらスタジオから出て走ってスカートを持ってきて着替えて見せる、というライブならではの対応をしています。

ーー店頭で行われている接客と同じレベルの対応をライブコマースでもされているということですね。

秋元:あとはご購入いただいた方からのアンケートで「このサイズで配信して欲しい」「入学式で着る場合はどうすればいいか知りたい」といったご要望をいただくことも多いので、そういったお声にもほぼすべてお答えするようにしています。

猪股:お手入れ方法なども細かく説明するようにしています。良いものは長く着ていただきたいので、商品を売るだけではなくその後のアフターケアも含めたご紹介をしています。

固定化されたオペレーションで高頻度の配信をまわす

固定化されたオペレーションで高頻度の配信をまわす

ーー配信体制についてもお伺いしたいのですが、現状何名ほどで配信を行っているのでしょうか?

伊藤:通常は出演者2名とスタッフ2名の4名、本当に少ないときは出演者2名とスタッフ1名ですね。スタッフはライブに合わせて商品を登録したり、アナウンスをしたり、コメントを読み上げるなどの作業を行っています。

週2回ほどで配信していることもあって、オペレーションが固定化して少ない人数でも回せるようになっていますね。

ーー着実に経験を積まれてきた結果ですね。集客の方法などについてもお聞きしたいです。

伊藤:配信頻度が多いこともあり、常に次回の配信に繋げるようにしています。あとはメールマガジンで「今週はこういったライブを行います」という告知を事前にお送りして、配信の30分前にもお送りするようにしています。それ以外だとプッシュ通知、ECサイト内のバナー、LINE会員向けの通知などです。

店舗スタッフが出演する場合は、事前に配信イメージの写真を準備して店頭での紹介に使ってもらうようにしています。あとは、店舗スタッフからもお客様にダイレクトメールを送ってもらっています。

ーーなるほど。最後に、今後の配信の予定についてもお聞きしたいです。

秋元:8月も週に2回のペース配信を行います。また、8月下旬には新店舗がオープンしますので、店頭からオープン記念のライブ配信も行う予定です。

ーーなるほど。今後も見逃せない取り組みが続いていきそうですね。本日はありがとうございました!

【レリアンの次回ライブコマースはこちらから視聴可能】
8月23日 13時~ 【サンローゼ赤坂 OPEN Live】
https://www.leilian-online.com/include_html/live/index.html?live_id=GfhFR0hLgE4pggjt0bY6


著者

藤次 一嘉

2014年、東京大学大学院修了後、Googleに入社。営業・マーケティングに携わった後、2017年、Mofflyを創業。その後、クラウド型ライブコマース・サービス「TAGsAPI」を立ち上げる。