ブランドを立ち上げたときに新規獲得のためにすべきチェックリスト

松元貴志

こんにちは、株式会社Brandismの松元です。

はじめてブランドを立ち上げる際は、OEMや容器メーカーとのやりとりをはじめ商品自体に時間をかけがちです。

商品発売の準備に追われて売れるための施策ができていないパターンを見かけます。

発売時に、すべきことをいくつかまとめさせていただきました。準備が忙しい中であってもできる限り記事中の内容を実践して、売れるための足がかりとなれば幸いです。

新規でブランドを立ち上げる際に発売準備で忙しすぎて、細かい点に手がまわらず売上機会を逸してしまうケースが見られます。

新規顧客を獲得するための施策が後回しになってしまわないように細かいチェックリストを用意しました。特に発売前の最後の確認のためにご使用ください。

商標申請

いきなり新規獲得以外のことに触れますが、忘れがちな販売するブランドの商標申請です。ブランド名を考えた際に本来はすべきですが、D2C事業がはじめての方が最も忘れがちなポイントです。

実際に発生した事例として、似たカテゴリの商品で、別の会社が同じブランド名で販売したことがありました。

商標の申請タイミングがわずか1週間の差であり、申請が1週間遅かった会社は、発売後に商品名を変えざるを得ませんでした。すでに億単位の売上があったと推測され、ブランド名を変えるコストはすでに大きくなっていました。

商標申請は特許庁に支払う費用が約3万円ほどになります。あとから申請しようと思っているうちに他社に商標を取られてしまうこともあります。早めに申請しましょう。

すでにブランドを発売することを決めている、もしくは発売した方で商標申請を行っていない方は急いで申請しましょう。

新規獲得のためではないですが、大事なことであるので最初に書かせていただきました。

発売のプレスリリース準備

発売時は最も注目が集まります。D2C事業をはじめた方のFacebook投稿やTwitter投稿を見ると商品を発売した瞬間が様々な方から応援していただけています。

PR TIMESや自社のWEBサイトや、SNSや、大きなWEBメディアなど、できるかぎり露出できるところには掲載をしましょう。発売時に行なうことが大事です。発売後、1ヶ月で掲載しても反響は小さくなります。

プレスリリースをする際にPRエージェンシーに依頼するパターンもあります。PRエージェンシーを活用すると、個人ではたどりつくことができないテレビに露出できる可能性もあります。有名雑誌が取り扱ってくれることもあります。

ただし、発売直前に依頼しても受けてくれないことも多いですので、発売の2ヶ月前までには相談をして、どういう段取りで掲載をしていくかを相談しましょう。

メディア掲載は個人同士のコネクションで動く場合も少なくないですので調整に時間がかかります。

当然ながら商品自体が注目される商品であれば、メディアも取り扱ってくれますが、立ち上げたばかりのブランドが注目を浴びることは少ないのが実情です。

例えば、「世界初!陸上養殖のマグロを活用した鰹節(かつおぶし)」といったキャッチーなものであれば注目を集める可能性は高くなります。通常の化粧品やアパレルであれば発売するだけで注目を浴びることは難しいです。

仮にフォロワーが10万人いるインフルエンサーでもテレビで扱われることは稀です。地道に露出先を1つ1つ探して発売したことをできるだけ多くの人に、そして同じタイミングでプレスリリースをしましょう。

SEO対策

発売当初はブランドのことをよく知らないので、発売の情報を見たときにブランド名で検索を行います。

どういう口コミがあるか、有名な人が誰か使っているか、どういった会社が販売しているのか、公式サイトはどこにあるのかといったことなど様々です。

ここで指すSEO対策とは、GoogleやYahoo!で検索したときに出てくる情報のことです。

WEB上での対策のために自社サイトでブランドの情報をできるだけ多く出す、外部のメディアに記事として取り扱ってもらうことなど様々です。

アフィリエイト報酬を支払うと、発売したブランドに関する記事を書いてくれるブロガーがいますので、SEO対策として活用できます。

初期に購入頂いた方に、口コミサイトに良ければ口コミを書いていただくようにご連絡するのもSEO対策の1つの手です。

SEO対策は様々な方法がありますので、専門家に相談するのがよいです。

ギフティング

ギフティングとは商品を無料で色々な方に配布して使ってもらうことです。当然無料での配布ですので、使ったあとにSNSに投稿してくれるとは限りません。

使ってもらって良かった方に投稿してもらう形がよいでしょう。投稿した方に対価を払う場合は、インフルエンサー代理店に依頼するとよいです。ギフティングはあくまで無料という形です。

ただし、注意点としてはInstagramもルールが厳しくなってきたので、投稿時に企業から商品を提供された旨やタイアップ投稿タグを使用する必要があります。

商品を提供している以上はユーザーが勝手に投稿したということではすまされないこともあります。

SNSアカウント開設

SNSアカウントですが、できるだけ多くのプラットフォームで開設しましょう。Instagram、Twitter、LINE、TikTokです。

なぜ多くのSNSプラットフォームを活用するかというと、人によって情報収集をするプラットフォームが異なるからです。

先程説明したSEO対策はGoogleやYahoo!上の話です。Googleで検索をせずにInstagramのみで検索する方もいます。

SNSで検索したときに情報が全くでてこないと不安になりますので、少しでも情報をだしましょう。

SNSごとに投稿は可能な範囲で使いまわしして大丈夫ですので、アカウントを開設していること自体が重要です。

たまにSNSから問い合わせがくることもありますので、営業日は毎日アカウントをチェックしましょう。

売れている感の醸成

発売直後は売れているというニュースを積極的に発信しましょう。お金を払って、PRしている旨を隠して販売しようとするステルスマーケティングのことではありませんのでご注意ください。

売れている感を醸成するためには、クラウドファンディングが代表的な手法です。クラウドファンディングでは、プラットフォーム側が積極的に露出を手助けしてくれたら目標金額を達成することができます。

プラットフォームにもよりますが、手数料として30%ほどをプラットフォームに支払っても売れたという事実は本発売のときに有効です。

また、製造があまり追いついていない段階で用意できたものを発売して、完売したという情報を本発売のときに活用するのも良い手段です。

製造が追いついていないという事実を完売といった形で逆手にとる手法です。

会社のアカウント、ブランドのアカウント、個人のアカウントを全て使って、ブランドの情報がSNSに出ていたら全て拾いましょう。

Twitterの情報をスクリーンショットして、Instagramのストーリーに掲載するのも立派なやり方です。

ASPとの契約(アフィリエイト)

発売直前に、アフィリエイト広告をとりしきるASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)に依頼して案件掲載してもらうことが可能です。

SEO施策のときに少し言及しましたが、ASPのサイト上に新発売ブランドということで取り扱ってもらうことができれば、記事を書いていただけるブロガーが必ずでてきます。

商品提供をしたら記事を書きますといった依頼もくるので最初のうちは規模に関係なく商品を配って記事を書いてもらいましょう。

薬機法違反の指摘を除くと基本的にはブロガー側の裁量で記事が出来ますので、商品の良さを伝える資料は事前に用意しておきましょう。

広告代理店との契約(広告を使用する場合)

プレスリリースが完了すると同時に広告を使用しはじめると売上ものびていきます。プレスリリースのタイミングで広告を活用すると広告による顧客獲得単価も下がる傾向にあります。

広告運用は自社に運用者がいない場合は、予算を広告代理店にあずけて運用してもらいましょう。最初は、獲得単価が高くなりますので我慢するときです。

徐々に獲得単価が下がっていきますので、設定した目標獲得単価に近づけるように広告代理点と相談しながらすすめていきましょう。

広告代理店に丸投げという姿勢では獲得単価も下がりませんので、競合商品との違いや既存の買っていただいたお客様の購入理由を都度共有しましょう。

集客に大事なECカート選び

ECカート選びは、新規集客を決めるうえで非常に重要な点です。特に外部へ広告代理店を委託する場合や顧客対応業務を外注する場合は、メンバーごとに権限設定できることが重要です。

ECカートの中でも、外部の広告代理店用の管理画面を発行でき、かつ権限を項目ごとに設定できるカートがおすすめです。

細やかな管理権限付与ができるカートは意外に多くはありません。海外製のECカートはこうした点の設定ができないことが多いです。各ECカート会社に問い合わせる際は、権限付与がどれだけ細かく設定できるか聞いてみましょう。

加えて、外部の広告代理店を使う場合も、売上が伸びると複数の代理店を活用することになります。ASPを使用してアフィリエイト広告を実施する場合は確実に複数の代理店を使用することになります。

広告代理店ごとのコンバージョン数や、コンバージョン率を横並びに比較でき、どこの代理店のどのURLが購入に寄与しているかすぐに確認できるECカートもおすすめです。

集客経路ごとの総売上額も比較し、集客コストに対してどれだけの売上が出ているか分析していくことでPDCAを回しましょう。

特に集客経路の分析は重要なチェック項目です。一度でも運用をやってみると、どういう機能が欲しいかは分からないと思いますが、ECカートを選ぶ際に集客時の分析がどれくらい細かくできるかは1つの基準になります。ご参考にしてください。

新規獲得を成功させるために

ブランドを立ち上げたあとに苦労するのは集客です。発売した瞬間だけは売れたとしても、継続的に集客し、毎月右肩上がりで売上を成長させていくことは容易ではありません。

今回挙げたチェック項目は、成功しているEC事業者は間違いなく実施していることばかりです。発売時だけではなく継続的に売れるための施策を行なう必要があります。

売上が伸びていくと、売上に応じた悩みがでてきます。次のステージへ行けるように今回説明した事項をもれなく実行してみることをおすすめします。

各施策を実行できるかどうかはECカートによって制限があります。ECカート選びの際に新規集客に必要なことが実現可能か、各社に問い合わせてください。ECカート会社との面談に今回挙げたことをメモして望んでみるといい選択ができるはずです。


著者

松元貴志

早稲田大学創造理工学研究科経営デザイン専攻修了。新卒でユニリーバ・ジャパンに入社し、ヘアケアマーケティングブランドの従事。人材関連会社を創業し、人材会社に売却。その後、代表を務める株式会社メジオにてD2C事業を開始。アパレル事業からヘアケアの定期通販事業まで展開。現在は創業した株式会社BrandismにてD2Cブランド立ち上げを支援。

https://brandism.co.jp/