新規顧客獲得費用を安くするためのLPのづくり

松元貴志

D2Cブランドの運営がうまくいかない主要な理由の1つが「新規顧客獲得の費用が高すぎる」ことです。

ECにおける顧客獲得費は、LP(ランディングページ)の出来によって左右されるといっても過言ではありません。

今回は、どのようにLPを作れば顧客獲得費が安くなるかについて解説させていただきました。

D2Cブランドを運営する方にとって日々頭を悩ませるのがCPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得単価)の高騰です。

私自身も、事前に作成した事業計画の数字から大きくかけはなれてしまい広告出稿を一度とりやめるシーンや、張り切ってローンチしたあとまったく売れない、といった状況を度々目にしてきました。

どんなにこだわり抜いた商品を開発しても、CPAが想定よりも大幅に高くなり、赤字になってしまえば販売を続けることができません。

そのCPAに大きく関わってくるのがLP(ランディングページ)です。D2Cブランドを運用してきた経験がある方の多くは、許容範囲内のCPAで新規顧客獲得できるLPを作りたいと日々、悪戦苦闘してきたはずです。

今回の記事では目標のCPA以下で新規顧客獲得のための運用ができるLPづくりの基礎についてお伝えします。

LPとブランドサイトに関しての整理

LP(ランディングページ)の説明に入る前に、簡単に「LP」と「ブランドサイト」の違いについて定義します。

LPは、「顧客に特定のアクションのみを促す」ことを目的にしたページで、主に広告を出稿した際の広告の飛び先になるページです。なぜ広告出稿時に使われるケースが多いかと言うと、出稿量に合わせて費用が出ていく広告運用において、特定の商品やプランに絞って購入を促すことで可能な限り広告費を無駄にせず新規購入を増加させていくためです。

LPは1つのページにすべてのセールス促進コンテンツを入れるため縦長になりがちです。1つのページのみを見て、お客様に納得して商品を買ってもらうためのページです。LPにおいてはクレジットカードや氏名、住所といった購入情報まで画面遷移がなく同じページで完結しています。

使用しているお客様の声もいれることで、Google検索をして口コミを調べることなく、Amazonで比較検討をすることもなく購入してもらうことが理想の流れです。

ブランドサイトは、公式ホームページです。最新作の発売情報や、問い合わせ窓口の休業情報まで様々な情報がリッチに掲載されています。

プレスリリースやGoogle検索でブランド情報を調べられた時に辿り着く先はブランドサイトであることが多いです。

極限まで購入説得のみに情報を絞ったLPとブランドサイトの違いを説明すると、ブランドサイトにはブランドに興味をもって来てくれた人がきます。LPにはブランドのことはよく知らなかったけど広告で何かの効果がありそうと期待した人がきます。

芸能人が発売するブランドでもない限り、販売している商品は公式サイトではなくLPから売れていくことが多いです。ただ商品情報だけをみても、顧客は自然には購買意欲が喚起されないからです。

ブランドサイトをきれいに作ることも大事ですが広告運用する場合においては、売上向上のエンジンとなるLPを細かく作りこむことが必須です。

LPは何度も修正し、複数パターンを作成する

EC初心者の方は、制作会社から納品されたLPを完成だと思いこんでしまいます。しかし、営業資料を顧客の反応やサービスのアップデートなどに応じてどんどん改善していくのと同じで、最初に納品されたLPはあくまで原型に過ぎません。

広告運用を繰り返していくなかでデータを根拠に振り返りながら何度も何度も修正をしていきます。

例えば最初にLP制作を依頼する段階から、ファーストビューのみ複数パターン作ってもらうことも1つのテクニックです。

ファーストビューとは、スマホやPCなどで一番最初に出てくる画面です。当然ですが、画面の下にいけばいくほど離脱が発生していきます。ファーストビューが最も見られる場所なので特に力を入れて作る必要があります。

ファーストビューはどれがよいか検証するために、例えば「価格が今だけ1980円」「20代のときのような素肌に」「〇〇(芸能人)も愛用」「楽天で売上ナンバー1」といったメッセージのを考えます。考えるだけでは結果はわからないので複数パターンを作り、実際に広告を出稿し、どのパターンが一番売れるかを調べてみます。

ファーストビューだけの変更であればコストもあまりかからないので、テストがしやすいです。他にもテストすべき項目があるので説明していきます。

LPのコンバージョン率をあげるための検証項目

LPのコンバージョン率(訪問者のうち何%が購入に至るか)を考えるうえで一般的に検証される項目です。

1.読み込み速度
LPは分量が多く、ファイルも大きくなるため読み込みが遅くなりがちです。読み込み速度はGoogle社が提供するPageSpeed Insightsですぐに計測することができます。

職場のwifi環境下でLPをチェックしていると読み込み速度に不満を感じることはあまりありません。

しかし、実際にLPを通して商品を買っていただく際は、電車の乗車中のwifi環境下ではいところだったり、電波があまり強くない田舎からであったり、格安simによる購入であったりと、読み込み速度が遅くなる要因が複数あります。

環境がよくないところから自分で実際にアクセスしてみて他社のサイトと比較してみてください。

読み込み速度をあげる方法は、画像を圧縮したり、1つの画像を複数にきったりと様々あります。LP制作会社に相談しましょう。

2.価格
LPにおいて価格は購入していただけるかの大きな要素です。当然安いほうが売れやすくなる傾向にあります。

一方で、初回価格を3,980円から2,980円にしたところでコンバージョン率に大きな差がでないということもあります。初回価格を下げた時に、2回目以降の価格に転嫁するのか、定期縛り(定期購入の最低購入回数に制限をつける手法)をつけるのか様々工夫する点があります。

ただし、初回価格と2回目価格に大きな差があると気軽に購入する顧客が増えることから解約率も高くなりLTVが落ちることが多いですので、最適な価格はLTVとCPAのバランスをみながら検証してくことが必要です。。

3.購入フォーム
購入意思があるのに、購入フォームのせいで購入されないことはしばしばあります。個人情報をいれたのに、何か不備があるということで買えなかったので買うのをやめたという事例は多数あります。

LPで売るものは必需品ではなく買わなくても影響がないものばかりです。その時の気分で買うか買わないかが決まり、一度買わない選択をしたら、二度とLPに戻ってこないことがあります。

購入する意思があるタイミングで確実に購入してもらえるように購入フォームを手軽にして、購入を阻害(そがい)する要因を省きましょう。

ECカートによっては購入フォームの変更を簡単にできない場合もあります。購入フォームをテストできるようにしましょう。

性別の記入欄や、職業の記入欄は必要ではなければできるだけなくしましょう。目があまりよくない方にとってはスマートフォンを使って、購入フォームに個人情報を記入するのは大変な作業となります。

最近は購入フォームとしてチャットボットを導入する企業が増えています。チャットボットは1項目ずつbot形式で質問してくる形なので記入漏れが少なく、コンバージョン率の向上に寄与します。

個人の経験に過ぎませんが、チャットボットを導入すると90%以上のLPでコンバージョン率が向上します。チャットボットの費用とコンバージョン率の向上分を比較して、費用対効果があえば継続してチャットボットを導入することを推奨しています。
チャットボットの中でアップセルを仕込んでおくことで、コンバージョン率の向上とLTVの工場の2つのメリットを同時に取るようなテクニックもあります。

4.決済手段
決済手段も購入フォームの一部となりますが、決済手段が複数あるほうがコンバージョン率はあがります。クレジットカードを持っていない方は日本国内には予想以上に多く、代替決済手段を用意しておくことが重要です。

最近はPayPayも決済手段として使えるようになっています。他にも携帯電話会社の決済手段であるキャリア決済や、Amazon Pay、後払いといった多様な決済手段があります。

LTV(Life Time Value:顧客あたりの累計売上)の観点でみるとクレジットカード払いにしてもらうことが圧倒的にメリットがあります。しかし、前述の通り、クレジットカードをもっていない方、使わない方が一定数いるなかでどのような支払手段がよいか検討してください。

基本的に、多くの決済手段があればよいですが、代引きは手数料や支払い拒否の確率があがることから代引きを導入するかは検討してください。

コンビニで支払う決済手法も、前払いパターンではなく後払いパターンのほうがLTVの向上に寄与します。

前払いはパターンとは支払わないと商品を発送しないパターンで、後払いパターンは商品が届いてから支払うパターンです。

後払いの場合、商品が届いた段階で、債権が後払い業者にいくパターンが多いのでお客様に支払いを催促する必要がなくなります。(*債権が移行した時点で、メーカー側が督促すできなくなります)

5.ファーストビュー
先程説明したファーストビューですが、スマホ画面用に作り込んだファーストビューを検証することで、コンバージョン率を高めていきます。

ファーストビューについては、ヒートマップと呼ばれる離脱場所を特定するツールを導入することで測定できます。

どのファーストビューが良かったどうかデータを集めて比較してください。

有料のツールもあり、どれも大きな大差はないですが、無料で使いたい場合はMicrosoftが提供する「Clarity」で十分です。

ヒートマップを見ていると思わぬところで離脱が発生していることがわかるのでファーストビュー以外の検証にも使えます。

LP制作会社の選定方法

LP制作会社は増えてきているため、選び方は難しいです。予算と、実績を見て判断しましょう。あくまで予算の目安ですが、80万円~120万円の幅で考えるとよいでしょう。

クラウドワークスなどでは30万円以下で作っていただけるフリーランスの方もいます。LPの内容はどうでもいいのでとりあえず作りたい場合は、最安値で作ってもよいですがあとで作り直すコストを考えると最初からしっかりしたところに依頼することをおすすめしています。

複数社に見積もりをとるか、使用するECカート会社に紹介を頼みましょう。LP制作会社もECカートによって得意不得意があるので、選択したECカート会社の紹介は信頼できます。

LP業者に制作を依頼するときの注意点

LP制作会社には、ブランドの背景と、トンマナ(色使いや、フォント)を伝えましょう。基本的におまかせする部分をできるだけ少なくすることがいいLPになる秘訣です。

LP制作会社はLPのデザインや制作のプロであってもコンバージョン率が高いLPを作ることのプロではありません。

LPのコンバージョン率を高めることができるのは事業主しかいません。

最初にでてきたデザインに対しても念入りにフィードバックをして、修正を依頼しましょう。修正は1回だけという会社もありますが、徹底して作るべきなので追加料金を払ってでも完成度を高めましょう。

コンバージョン率を高めるためではありませんが、同時にLPの薬事チェックが必要です。外部の機関に頼むのが王道です。

薬事を守っていないとLINE広告やYahoo!広告では出稿できません。

LPをフル活用した最適な獲得方法

意図どおりに1つのLPが完成したとします。そのLPを使って、広告もしくはインフルエンサーを活用して顧客獲得をすすめていきます。

例えば、1種類のLPを活用して、GoogleやFacebook/InstagramやLINEなどの広告プラットフォームに出稿します。

実際に出稿してみると、Instagramが最も安く獲得できそうなことがわかりました。

そこで、Instagram上に絞って広告を出稿します。バナーや動画のフォーマットをいくつか作り、クリック率が高いバナーを調べたり、購入までの広告費が安いバナーを調べたりして、最適なバナーを調べます。

さらに広告を出稿する際にどういうターゲットにしぼったらいいか、もしくは全くしぼらずに配信したらよいかも調査します。

こうしたプロセスを経て、最も安く獲得できる広告チャネルおよび具体的な出稿手法を見つけていきます。

上記に加えて、LTVも測定したうえで、その商品にとってもっともよい広告チャネルは何かを絶えず問い続け、検証していく必要があります。

また、LPの中身は同じであってもURLを変えてチャネルごとに測定する必要もあります。

LPのURLを簡単に複数作れることも大事

全く同じLPであっても流入ごとに計測を行なうためURLを分ける必要があります。ECカートを選ぶポイントの1つでもありますが、手軽にLPを複製し、URLを短時間で発行できる機能があるかは重要です。

ECカートの中には発行できるURL数に制限があったり、単なる複製作業だけでも工数がかかったりすることがあります。

例えば、ecforceではURLの複製や生成が非常に簡単に行えるため、多くの事業者に使用されています。特に外部の代理店もECアカウントに入る可能性がある場合は、機能制限が細かくできるecforceはおすすめしています。

インフルエンサーのファン以外にも商品を売っていく際には、手軽にURLを発行できる点に重きを置いてカートを選びましょう。

LPは商品開発と同じくらい熱量を持とう

LPの完成度によって広告費や利益が変わってきます。発売開始前までは商品開発に力を注ぎますが、発売後はLPを商品だと思って改良に改良を重ねましょう。

成功しているD2C事業を展開している会社によっては毎日LPを作り変えています。

春夏秋冬といった季節によって変えたり、時事ネタにあわせて変えたりする会社もあります。

膨大なテスト結果をもとにどういったLPが販売している商品にあうか調べていくことでD2C事業での成功の道は開けていきます。


著者

松元貴志

早稲田大学創造理工学研究科経営デザイン専攻修了。新卒でユニリーバ・ジャパンに入社し、ヘアケアマーケティングブランドの従事。人材関連会社を創業し、人材会社に売却。その後、代表を務める株式会社メジオにてD2C事業を開始。アパレル事業からヘアケアの定期通販事業まで展開。現在は創業した株式会社BrandismにてD2Cブランド立ち上げを支援。

https://brandism.co.jp/