D2C(ネット通販)で上手くいっていない時こそ「そもそも」に立ち返る
『売れるネット広告社』メディア部 メディアプランナーの寺田龍一と申します。
私はこれまで、ECサイト運営会社のマーケティング→D2C(ネット通販)の立ち上げ→『売れるネット広告社』と いうキャリアを経てきました。
「事業主視点」「代理店視点」の両方を見てきた身として、事業主にとっての代理店との接し方や、事業主として行うべき舵取りとは何か?という部分をお話できればと思います。
代理店を詰めれば獲得は伸びるの?
「CPA上がってるよ、何とかして!」
「CV数の伸びが鈍化してるよ、さっさと伸ばして!」
「いつになったら獲得が伸びるんですか!」
事業主から代理店に対して、効果が出ていない時によく言われるワードだと思います(実際、私自身も事業主時代に代理店に対して言ったことがあります・・・)。
こういう声がクライアント様からくると、代理店は即座に対応策を考えます。
「クリエイティブを新規作成しよう」とか、「広告のターゲティングを変えよう」とか、いわゆる「施策」というものを代理店は出してくるわけですね。その施策がうまくハマればいいのですが、問題はハマらなかった時です。
代理店が仕事をしていなかった?
その代理店の力が足りなかった?
(たしかにそれもあり得るかもしれませんが)今まで数多くの代理店担当者と付き合ってきた身としては、根本はもっと深いところに原因があるように思います。
色々な要因がありますが、いわゆる「戦略」と言われる部分を事業主自身がきちんと捉えられているか、代理店に共有できているか、ブラッシュアップできているか、というところに帰着するのではないかと思っています。
戦略は合っていますか?
事業会社のネット広告担当者はほとんどの場合、ネット広告経由のCVおよびそのCPAを個人のKPIとして持っています。そしてそれとは別に、全社売上等を全社KPIとして同時に持つことが多いと思います。
さて、この場合ネット広告担当者の動きとしてベストなのは何でしょうか?
ネット経由CVを増やすこと?
CPAを改善すること?
これはある面から見ると〇で、違う面から見ると×です。
私がECサイトのネット広告をインハウスで運用していた際に、「CPA前期対比で50%近く改善 & CV約2倍」の結果を出したにも関わらず、全社KPIは未達だったことがあります。
なぜこういうことが起きたのかというと、(もちろん全社の課題はありますが)一つに、私自身が個人KPIを達成するために思い描いていた戦略と、会社として取らなければならない戦略が一致していなかったからです。
私は個人KPIであるCV数とCPAを達成させるため、リストを精査してリタゲ施策を始めたり、その類似オーディエンスを作成したり、当たりのリスティングキーワードを探したり等の施策をひたすらに進めていました。
しかし蓋を開けてみると、本来は新規顧客をたくさんとってきて「顧客の拡大」をしないといけないのに、当たりキーワードだと思っていたものはSEO経由で十分とれいたとか、既存顧客の休眠復活(これはこれで大事ですが)のCVが多く、「それはCPA安くなるよね」ということが発生していたのです。
会社としては【潜在層にアプローチしなければならない】のに、私は結果的に【顕在層にアプローチしていた】というわけです。
そもそも施策だとか具体的な広告だとかのもっと手前の、戦略部分ですでにズレていたわけですね。
こういったことが事業会社のマーケ部署という、会社全体のKPIをいつでも確認できる場所ですら発生するわけですから、代理店相手ではどうかなど、もはや言うまでもありません。
このズレに気づかないまま施策を開始したら、運が良くて上手くいった時はいいですが、そうでない時は答えのない迷路に迷い込むことになります。
ここを修正しないまま代理店を詰めたり、社内の運用者を詰めたりしてもいい結果は生まれません。いい結果を求めるのであれば、(非常に時間と手間がかかりますが)「そもそも」という部分に一度立ち戻る必要があると思います。
マーケ担当者として「そもそも~」を考える
特に、広告による訴求などを一定数行って結果が伴わなかったときに、この「そもそも~」を考える必要があります。
・打ち出していたターゲティングって合ってるんだっけ?
⇒【そもそも】うちの商品って誰に刺さるんだっけ?
・仮説で出していたターゲットとLP(ランディングページ)のファーストビューって合致してる?
⇒【そもそも】本当にこのターゲットに対してこのファーストビューで良いんだっけ?
・広告クリエイティブの精査って十分にできたんだっけ?
⇒【そもそも】クリエイティブの方向性自体合ってるんだっけ?
言い出すとキリがないですが、
「どういう人が」
「何を見て」
「それを見たことでどんな気持ちになって」
「どんな気持ちでLPのファーストビューを見て」
「どんな理由で続きを読もうと思って」
「どんな購入への誘導があって」
「どう最終的に購入する」のか
要はこの導線の中の【どれか一つでも間違ってないか?】を突き詰めていくわけです。
これは、クリエイティブの訴求軸やLPのストーリーといったデザイン的なものから、商品のパッケージや訴求ポイントなどの商品その物について考察することも含まれます。
代理店が大量に持っている「戦術」を活かすも殺すも、この戦略部分次第なところがあります。
『売れるネット広告社』は、これまで“1,200回以上”の【A/Bテスト】を繰り返してきたことで、たくさんの「戦術」を持っています。この戦術を活かしさまざまな戦法を取れるということは事実ですし、それが弊社の武器です。
しかし、そもそもの戦略部分が間違っていた場合、その効果は半減します。
例えるなら、無茶苦茶切れ味のいい刀をたくさん持っていても、戦闘機が飛び交う戦場であれば役に立たないのと同じです。
その時に、「もっと刀の切れ味を上げるんだ!」とか、「刀で戦闘機を切るためにどうすればいいか!?」と考えるのは無意味です。そもそも刀を持ってくるという戦略自体が間違っています。もしくは、刀をどうしても使いたいなら戦う場所が間違っています。
ここの検証を行い、必要であれば商品自体もブラッシュアップし続け、信頼できる代理店と広告施策を回していく。
管理画面を自分も確認する・レポート内容をひたすら突っ込む、ということも大切だとは思いますが、本来の意味での代理店折衝・舵取りというのは、そういうことではなく、戦略を一緒に考えながら一緒に走り続けることなのだと思います。
まとめ
伸び悩んだ時には「そもそも」に立ち返り戦略を再考する、というお話をさせていただきました。
これは答えがあるものではなく、しかもすぐに修正できるものでもないため、非常に手間がかかりますし、そもそも難易度が高いです。
しかし、事業を伸ばそうと本気で考えた時に、絶対に避けては通れません。
それを考える際、様々なクライアント様と接し、【A/Bテスト】を繰り返してきた弊社のデータや戦術が役立つかもしれません。もし、このコラムを読んでいただいている方で、D2Cビジネスの効果を改善したいという方は、お気軽にご連絡いただけると幸いです。
terada@ureru.co.jp
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