知らなかったでは済まされないステマ規制とは 注意すべきポイントと対応策を徹底解説!
2023年10月1日からステルスマーケティングの規制が開始されました(いわゆる『ステマ規制』)。ステマ規制に該当するとみなされた場合、景品表示法違反となる恐れがあるため、あらかじめ注意が必要です。
自社商品の宣伝をSNSでしたいけど…、企業からレビュー投稿依頼されたけど…
『ステマ規制』がよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は
・ステマ規制の定義から対象になる事例
・規制対象にならないためのポイント
を詳しく解説します。
『景品表示法』と『ステマ規制』とは?
▼景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)
商品・サービスの品質、内容、価格等について一般消費者が誤認及び誤認するおそれのある表示を規制するものです。簡単に言うと、この規制で消費者ができる限り多くの商品やサービスのなかから自らが選択できる、公平に選べる環境を守っています。
そのなかでも、不当な表示は大きく分けて3つの種類があります。
① 優良誤認表示(景品表示法第5条第1号)…
実際のものや事実に相違して著しく優良である(質が良い)と誤認されるもの
≪例≫この美容液を使用するとお肌がしっとりするだけではなく、シミもシワもなくなります!
② 有利誤認表示(景品表示法第5条第2号) …
実際のものや事実に相違して著しく有利である(お得)と誤認されるもの
≪例≫参考価格10万円!この商品はなんと1,000円!!
③ その他、誤認されるおそれのある表示(景品表示法第5条第3号)→ステマ規制
優良誤認表示及び有利誤認表示のほか、一般消費者に誤認されるおそれがある表示
≪例≫実際は1,000個在庫があるにもかかわらず『100名様限定!早い者勝ち!』
2023年10月1日から、新たにステルスマーケティングが③の【その他、誤認されるおそれのある表示(景品表示法第5条第3号)】に指定されました。
近年ではSNSの普及とともに有名人やインフルエンサーを利用したステマが横行し、『これって本当に有名人が愛用しているおすすめ商品なの?それとも広告なの?』といったように消費者を惑わせるとして問題視されたことをきっかけに、消費者を守るため、新たに指定されました。
ステルスマーケティングとは
広告であるにもかかわらず広告を隠すステルスマーケティング。
告示の内容はいたってシンプルです。
・事業者の表示であること
・一般消費者が事業者の表示であることがわからないこと
一般消費者が見て広告であるかどうかがポイントとなってきます。
上記からステマには大きく2パターンあります。
① なりすまし型
事業者が自ら表示しているにも関わらず、第三者を装って肯定的な意見を掲載する。
≪例≫
・自社商品やサービスに対して一般消費者を装い、肯定的な投稿を行ったり
他社を批判する投稿を行う
→口コミサイトにて『〇〇ホテルに泊まってみたのですが、他にないサービスで本当に最高でした!!!』
→口コミサイトにて『〇〇食品の▲▲が不味すぎる。二度と食べたくないです。』
② 利益提供秘匿型
事業主が第三者に金銭の支払い、その他の経済利益を提供して表示させているにもかかわらず、その事実を表示しないもの
≪例≫
事業主:投稿に対して『30万円お支払いしますので〇〇が良いとアピールしてください。』
インフルエンサー:SNSにて『普段から愛用している〇〇コスメさんの日焼け止め本当に塗り心地がよくて、ビタミンもコラーゲンも入っていて最高です!(PR表記なし)』
さらに、広告とわかる記載がある場合でも下記のように消費者を惑わせるものは
規制の対象となります。
・消費者が読めないよう小さく記載する
・背景と同系色にする
・大量のハッシュタグに埋もれさせる
・アイコンとPR表記をかぶらせて見づらくさせる
また、2023年10月1日より前の投稿であってもステマ規制の対象内となります。
違反するとどうなるのか
規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。
▼規制対象とならないもの
・広告・宣伝の表示の制作に関与しただけの者:広告代理店、インフルエンサー、アフィリエイター
・表示を掲載しただけの者:媒体社
・ただ単に商品・サービスを陳列して販売している者:小売業者
・取引の場を提供している者:オンラインモール運営事業者
▼ステルスマーケティング告示に違反した場合
消費者庁の調査の結果、違反行為が認められた場合、事業者に対して、措置命令が行われ内容も公表されます。
措置命令の内容例
・違反した表示の差止め
・違反したことを一般消費者に周知徹底すること
・再発防止策を講ずること
・その違反行為を将来繰り返さないこと
また、表示内容に優良誤認または有利誤認もある場合は、告示違反に加えて、優良誤認または有利誤認として景品表示法上の措置を受けることになります。
事例から学ぶ注意点とポイント
▼ステマ規制にならない事例
・第三者が事業主からの対価なく自主的な意思に基づきSNSへ口コミを投稿した
・「広告」「PR」…など一般的に広告とわかる記載をしてSNSへ投稿した
・事業者自身のSNSアカウントを通じて表示を行った
・レビュー投稿の際、金銭が発生しない場合でも提供されたものであることを表示している
・消費者が自身で商品の購入を行い、正直にレビュー記載した
▼ステマ規制になる事例
・商品を販売している社員が個人のSNSで事業主ということを隠して良い口コミを記載する
・競合商品と自社商品を比較した口コミサイトに他社の批判を記載する
・投稿面の背景画像と文字色を同系色にしてPR表記を見えづらくする
・インフルエンサーが事業主から商品提供・報酬をもらっていたにもかかわらず、広告であることを記載せずあたかも自分で購入したように見せてSNS投稿をおこなう
ステマ規制の対象となってしまった場合には措置命令等のペナルティを受けるだけではなく、消費者からの信頼も失うこととなってします。
そのため、下記6項目のポイントをあらためて確認することが大切です。
① 事業者の表示と認識できるか
② 一般消費者が見たときに広告であると認識できるか
③ 事業主と発信者(広告代理店・インフルエンサーなど)との関係性を明示してもらう
④ 発信者(広告代理店・インフルエンサーなど)に対してのSNS運用についての教育・発信確認
⑤ 社内でのSNS運用についての教育・ルール付け
⑥ 2023年10月1日より前の投稿もステマ規制に当てはまらないように対処できているか
最後に
広告であるにもかかわらず広告を隠す、広告とわかりづらい広告が2023年10月1日からステマ規制の対象となりました。
ステマ規制はお客様を守る目的があり、事業主や発信者がその目的を理解しなくてはなりません。『知らなかった』では済まされず、企業の信頼を失ってしまう可能性があります。
そのため、この規制を機に誠実に対処することで、情報の質を高め強固な信頼関係を築くことができるはずです。
今回の内容から、今まで、そしてこれから発信するものに対して、見直しやルール付けをしていただければ幸いです。
『広告』と明瞭にわかるかたちで発信し、信頼性を築き、お客様が安心して購入できるようステマ規制違反を未然に防ぎましょう。