第3回 月商500万円から先の更なる成長に備えて。

藤井 玲

月商500万円を超えてくると成功店舗の証である月商1000万円への仲間入りという事が急に現実味を帯びてきます。
皆様は、前回のコラムでお伝えした月商300万円台の見えない踊り場を乗り越えてここに到達してきたので、既にECの独自の運営ノウハウが蓄積されてきたことと思います。
そんな皆様には、今この段階でやるべきことを知り、次のステップに向かってスピードをあげていってほしいと思います。
本日の議題は、業務のルール作り、マニュアル作成の重要さとその大きなメリットについて。です。
それでは、始めていきたいと思います。

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第2回 売上300万円台を超えるためには。~初めての踊り場を知る~
https://ecnomikata.com/column/9504/

第4回 成功店への仲間入りの証、月商1000万円達成!これからどうする!?
https://ecnomikata.com/column/10021/
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熟練に頼らない体制作りを。


ECの運営には実にたくさんの業務があります。

受注(注文処理、問い合わせ対応)、物流業務、撮影、採寸、商品登録、画像制作、ページ更新、販促活動(SNS、メールマガジン、広告等)など全て、ルールが必要になります。
そして、出来上がったルールを実践していきながら、最善のものができるまで改善を繰り返します。そして、その経緯を経て、出来上がったルールをマニュアル化します。

例えば、


  1. 商品の撮影であれば、この商品群では、どの角度で何枚撮影するのか?
  2. サイズは、どこを測るのか?お客様が知りたい箇所のサイズが測るようになっているか
  3. 商品登録は、商品名の作成方法、詳細情報の記載事項、記載順等。
  4. 注力商品とそうでない商品の登録作業で行うべき項目の違い。


など。
全ての業務においてルールに落とし込む必要があります。

元々小さなビジネスだった頃には、1名の熟練スタッフの力に頼る部分が多く、他の人が手伝えない状況でした。

なぜ、手伝えないかと言うと、何をすればよいか、どのように行うのがルールなのかを知っているのはその熟練スタッフただ、1名だけだからです。
そして、その熟練スタッフも、それを教えているくらいだったら、自分でやった方が早い。。。
というスパイラルで、誰も手伝えない状況となっているのではないかと思います。

今まではそれで良かったと思いますが、月商500万円を超える頃には、その環境を脱しなければなりません。

なぜなら、人に頼れない環境から脱することができなければ、これ以上の成長が望めないからです。皆様は、これから月商1000万円を目指して行くのですから、それではいけないという事になります。

はっきり言って、マニュアル作成は面倒です。
しかしそれが、ゆくゆく自分の為、もちろん自社の為に力になってくれる人を集めるために必要だと考えれば少しずつ着手できるのではないでしょうか?

御社独自のルールをマニュアルに落とし込みましょう。


まずは、自社の新入社員に教える為に、業務をフローごとに細分化し、「ルール」を書きだしていきましょう。

私がコンサルをする際にも、まず確認しますが、商品登録や写真撮影のルールが徹底されている。というのは、非常に大切な事です。

売れている店にもクオリティがバラバラなお店がたくさんあります。
しかしそういうお店は、本当に見づらいです。
そして、ページごとにクオリティが「ぶれる」お店は、ゆくゆくは、成長の足かせになると思います。その為のルール作りです。そして、作ったルールは必ず徹底しましょう。

少し話しがずれますが、当社のルールで最も重要なものを紹介します。
商品登録をしたスタッフは、自ら確認しOKと判断した後、商品ページを非公開にした状態のまま、管理者に対し、どの商品ページを作成したので、確認し公開してください。というへメールを送ります。
そして、管理者が確認し、問題がなければ公開し、ページ更新スタッフへ新着更新、バナー制作の依頼、メルマガへの告知などの依頼を行います。

これは、当社がプロとして運営を任せれているために、絶対に怠ってはいけないルールです。当然ながら、価格を間違えてはいけません。商品情報を間違えてはいけません。
商品の画像を間違えてはいけません。
全て当然の事ですが、商品を知らずに登録するスタッフがいますので、必ず行います。
また、自分のミスは、自分では見つけられません。その為、どんなに確認が出来るスタッフでも自分で公開はしません。
これを怠れば当社のプロとしての信用が失われますので、一番大事なルールとして、徹底しています。

御社の一番大事なルールは何ですか?それもマニュアルに落とし込んでいきましょう。

マニュアル化をする重要な2つのメリットとは。


マニュアルを作るという事は、実は、皆さまが思っている以上にメリットがあります。

まずは、もちろん、自社のスタッフが同一認識で行う為のルール作りに必要です。

そして新たなスタッフが入社したときに、このマニュアルを見ながら教える事ができます。
一生懸命教えたスタッフが退社する。教えたスタッフは、悔しい思いをします。
そんなときに、また、1から教えなければならないのか!と。
しかし、そんなときも、マニュアルがありますので、同じ苦労をせずに教える事が出来るでしょう。

もう1つのメリット。
これは、月商1000万円を目指すサイトには是非お伝えしたい事です。

初めは自社の為に作成したマニュアルですが、それが出来上がれば、自社の仕事を助けてくれる「アウトソーシング先」に仕事をお願いすることができます。

どうしても、作業が間に合わない、スタッフを増やすよりもアウトソーシングして様子をみたい。売上を拡大させたい!

こういった時に、マニュアルがなければ、マニュアル作成から始めなければなりません。
しかし、私が先に推奨しているように、マニュアルを用意しておけば、いざというときにいつでも仕事をお願いできます。

アウトソーシング先との付き合い方は、任せたい事を明確にする。
長く付き合う事ができる「パートナー」を見つける。

この2つが重要なポイントです。
私は、これが出来ると出来ないとでは、将来の成果に大きな違いになると思います。

今回は、事業を拡大する為の準備として、業務のフロー化、ルール化とそれをマニュアルに落とし込む事の重要性とその先のメリットについてお伝えしました。

いよいよ次は、月商1000万円!成功店舗の仲間入りを果たした後、どうすべきか?
ここからが楽しいですよね。

では、この辺で失礼します。


著者

藤井 玲 (Akira Fujii)

2002年に自社の直営店として、輸入雑貨のECサイトをまだまだ小さな会社だった楽天市場に出店。以降、Yahoo!店、Yahoo!オークションストア、ビッダーズ店と自社店舗を経験。

その後、東証一部上場企業のファッション系ECサイトの運営全般のサポート業務を行うことになり、自社運営サイトを全て閉店し、EC運営代行事業を開始。

EC運営代行事業を行っていくなかで、EC運営には、ECに特化した受注や物流、在庫管理の問題を解決する仕組みが必要だと痛感し、EC特化型在庫管理システム【スマロジ】を開発し、提供を開始した。

自身も小売業出身の為、小売業の皆様の気持ちが一番分かるITの専門家として 難しい専門用語をなるべく使わずにご説明、ご提案することをモットーとしている。