第1回 スタートアップ店舗様向け 売上100万円の壁

藤井 玲

初めまして。
私は、EC運営会社のアートトレーディング株式会社の藤井と申します。

今回はECサイトの運営を、1つのビジネスとして確立する為に、ステップごとに何をしなければならないのか、次のステップに上がるためにはどんな事を学び、考え、どんな「仕組み」を作っていかなければならないのか?

このような内容で本日より6回のコラムでお伝えしていきたいと思います。
ステップは分かりやすい用に、売上高ごとになっております。
私がお伝えすることを自分の店に置き換え、では、実際に何をすべきなのかとイメージし、1つずつでも行動に移していっていただけると、成果が見えてくると思います。
では、進めてまります。

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第2回 売上300万円台を超えるためには。~初めての踊り場を知る~
https://ecnomikata.com/column/9504/

第3回 月商500万円から先の更なる成長に備えて。
https://ecnomikata.com/column/9765/

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はじめに、ECの市場について少し触れておきます。

ECの市場規模自体は、右肩上がりで成長してきており、10年前とは比べ物にならないくらい我々の生活になくてはならないものになりました。

しかし、市場は飽和状態、供給過多状態で競争は激化し続けています。
その為、ライバルが売れているからといって甘い考えで出店をしても、全く売れないというような結果が待っているだけです。

その流れはどんどん加速し、成功している店舗と失敗している店舗の差は広まり、売れているところはどんどんシェアを伸ばし、そうでないところは市場から撤退するという事が実際に起き始めています。

さて、それでは市場から撤退する側ではなく、成長していく店舗になるためにはどうすれば良いか?
応えは簡単です。
会社として、「本気で取り組む」という以外にありません。

ECの市場を理解し、ECの市場におけるライバルを理解し、何をすれば売れるのかを正しく理解し、本気で取り組んでください。

特に、心配なのが、ECサイトの運営を「今のビジネスよりも簡単で、楽に売れる」と思っている
経営者がいかに多いかという事です。経営者がこの考えを変えなければ、撤退する側になるでしょう。

なかなかECを任されているスタッフは、経営者にこのことを伝えられないと思いますので、私が代弁しておきます。
お金をかけずに売れる、オープンしたらすぐに売れる、人件費、経費がかからず売れる、仕事の合間に少しやれば売れる、これらすべて間違いです。

今回のコラムを通じ、

・他社が売れているから自社も簡単に売れると思う事は間違いだと知る。
・ECサイトの運営はただ頑張れば売れるという認識が間違いである事を知る。
・ステップごとにやるべきことがあることを理解し、それを実施する。
・バックヤード(受注・コールセンター・物流)機能の重要性を知る。
・成長を持続させるために、業務を仕組み化していく事を知る。
・ECサイトの成長には戦略が必要だという事を知る。

この様な事を考えるきっかけになれば幸いです。

では、始めて参りたいと思います。

第1回 スタートアップ店舗様向け 売上100万円の壁

モールでも頻繁に特集されているように、恐らくこのステージにいる運営者様はとても多いのだろうと思います。
本気で取り組んでいるのに、この段階をクリアできなければ、早い段階で閉店に追い込まれることになるでしょう。
その為、私としては、何としてもあっという間にクリアしてもらいたいステージです。
では、どうすれば良いでしょう?

「これだけは他社に負けない!という自社の自慢の商品に徹底的にフォーカスする!」という事です。

この考え方はとても重要です。
このコラムで知ってほしい1つの要素、「戦略的に考える」という事につながってきます。
特に、売上が立っていない段階では、スタッフも少ない、広告予算も少ない状況だと思いますので特に重要です。

具体的な施策として、

「これだと思える商品「1点」に注力し、ページ制作、レビュー集め、検索対策、広告、すべての持てる力を集中し、投入する。」

1点です。あれもこれもはダメです。
基本的にECの市場は、売れている商品や店舗がどんどん売上を伸ばし、売れない商品や店舗は全く売れないというシビアな世界です。
その為、1点だけでも他社に勝つ商品を作るという事が重要です。

厳しい言い方と思われるかもしれませんが、100万円を目指している店舗様の商品は、頑張ってたくさん商品登録してもほとんど上位表示されません。しかし、これは仕方ありません。
既にライバル企業が長い間出店し、多くの販売実績をもち、顧客から信頼を得ています。
そんな中に、出店したばかりの店舗が他社と同じサービスレベルで商品を登録しても絶対に売れません。
その居並ぶライバルに勝たなければ売れないわけですので、必ず優位性のあるものでなければなりません。

1つ大事な事なので付け加えますが、実店舗と同じと考えないでください。
実店舗には、地の利があります。特に他社に勝っていない商品でも、近くの他の店舗で売っていなければ売れる事もあると思います。
しかし、ECは、隣の店舗へは、1クリックで行けます。
常に比較されている。そして、比較されて勝たなければ購入という行動には出ません。
特に販売実績のない店は尚更です。

このことを理解すれば、すぐにこのSTEPは乗り越えられます。
今回は、ECを運営していく為に大変大事なワードとなる「他社に勝たなければ売れない」という事について、お伝えしました。それでは、また、次回。


著者

藤井 玲 (Akira Fujii)

2002年に自社の直営店として、輸入雑貨のECサイトをまだまだ小さな会社だった楽天市場に出店。以降、Yahoo!店、Yahoo!オークションストア、ビッダーズ店と自社店舗を経験。

その後、東証一部上場企業のファッション系ECサイトの運営全般のサポート業務を行うことになり、自社運営サイトを全て閉店し、EC運営代行事業を開始。

EC運営代行事業を行っていくなかで、EC運営には、ECに特化した受注や物流、在庫管理の問題を解決する仕組みが必要だと痛感し、EC特化型在庫管理システム【スマロジ】を開発し、提供を開始した。

自身も小売業出身の為、小売業の皆様の気持ちが一番分かるITの専門家として 難しい専門用語をなるべく使わずにご説明、ご提案することをモットーとしている。